footballhack: 2歩1触
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2013年1月3日

イニエスタのダブルタッチ分析

あけましておめでとうございます。初蹴りも終わって時間を持て余してしまったので、最近頂いた質問にお答えしようと思います。質問とはこれです。

イニエスタのダブルタッチは、なぜあんなにもうまくいくのでしょう。 足の踏み変えは使っていないように見えるのですが・・・ レアル戦でカンナバーロ抜いた瞬間はなんで抜けたんだと不思議に思いました。 教えてください。

2012年10月8日

すねコントロール 〜略してスネコン〜

サッカーの上手さというのは信頼性だという話は前にしたんですけれども、さらに深く掘り下げて、サッカーの技術の高さとは一体なんでしょうか?「技術」と一言で言っても、ボールを奪うことやポジショニングや判断や駆け引きを通じた戦術眼まで、言及される領域は多岐にわたります。ここではサッカーの上手さを「ボールを扱うこと」に限定して話を進めていきます。


  サッカーの技術とは

サッカーの上手さは以下の5点に集約して整理することができます。
  • 正対
  • ニュートラル・コントロール
  • 浮き球の処理
  • ボディコンタクト
  • スペースの概念
※ドリブルやキックはもちろん技術の範疇に入るのですが、単純にフリーで運ぶドリブルやセットされてからのキックの技術は工夫のしがいがない=上達するには地道に練習を繰り返すしかないので、ここでは上手さの指標から除外してあります。むしろ選手の技術の高さを決定するのは正対を使ったキックやボディコンタクトをしながらのドリブルであり、この点でキック、ドリブルというのは上記の4点と絡めて考えるのが妥当だという理由もあります。

正対とニュートラル・コントロールについては蹴球計画様を御覧ください。ボディコンタクトについては当ブログにまとめてあるのでそちらを。スペースの概念は崩し論にまとめてあります。 今回はこの中でも偶発的要素が高い「浮き球の処理」に焦点をあてて、モダンなドリブラーが日頃から常用するテクニックをひとつ紹介します。

2012年8月17日

メッシの動画3





要所要所でトータッチ加速を使うことで、メッシは競り合いの中を突き抜けるドリブルを披露していることがわかります。

メッシのようになりたければ中学生までにトータッチで自在にボールを操る術を身につけることが必要です。

普通の選手にはできないことを軽々とやってのけるメッシは怪物ですね。

2011年12月17日

2歩1触の練習法 まとめ2

ここまで、2歩1触の導入から直線ドリブルの高速化をみてきました。詳しくは前回前々回の記事にまとめてありますのでご参照を。ここからは、2歩1触をより実践的に活かすための動き、すなわち旋回とターンを学んでいきます。

では再度、練習ステップを確認してみましょう。
  1. 足裏引き押し出し
  2. 足裏止め押し出し(ケンケン)
  3. 2歩1触 直線
  4. 2歩1触 旋回
  5. ダブルタッチ
  6. マシューズ
  7. 2ステップ(カットインと骨盤パニック)
3の直線に関して、全速力~8割でのドリブルは非常に高度なためスキップします。低速(全速力の5割以下)および中速(6割~7割)での2歩1触を安定して出来るようになったら、次のステップに進みましょう。

2011年12月9日

メッシの高速ドリブルを検証してみよう

2歩1触の練習法をまとめていたら、全速力に近い速度でボールを足から離さないようにドリブルするにはどうすれば良いのか、という点について疑問が沸き起こり、メッシの動画を漁っていたらその回答に近い結論を得られたので、ここに記します。

そもそも、高速ドリブルを実現するには、どんどん加速する足のスピードに対して、細かいボールタッチを保たなければならないという背反する現象を解決しなければなりません。ボールコントロールの制御を考えた場合、普通ならドリブルスピードが全速力の7~8割で頭打ちになってしまうはずです。しかし、メッシやイニエスタ、ディマリア、ロッベンなどはほぼ全速力に近い速度でやすやすとドリブル突破を決めて見せます。

彼らがどのようにボールのスピードを制御しているのか、今回は写真、図解、グラフを総動員して説明してみましょう!

2011年12月3日

2歩1触の練習方法 まとめ1

何件かおなじような質問を頂いたので、ここでドリブルの基本である2歩1触の上達法についてまとめてみます。

トレーニングドリルのステップは
  1. 足裏引き押し出し
  2. 足裏止め押し出し(ケンケン)
  3. 2歩1触 直線
  4. 2歩1触 旋回
  5. ダブルタッチ
  6. マシューズ
  7. 2ステップ(カットインと骨盤パニック)
の順になります


2011年9月19日

セスクのドリブル ボールタッチと視野の確保

セスク・ファブレガスといえば黄金の87年組と言われたバルサカンテラにおいても一際輝きを放ち、シャビの後継者と目されてはいたが出場機会を求めて16歳でアーセナルに電撃的に移籍し、今年ようやくバルサに戻ることが出来た、バルサ哲学を体現する素晴らしい選手です。

何を隠そう僕がサッカーの研究を始めたのも彼のプレーを見たのがきっかけです。なぜあんなに細身なのにボールを奪われないのかを知りたい、というのが強烈な動機になり、U-17ワールドユースの試合を録画したVHSを一時停止巻き戻しを繰り返し、擦り切れるほど見まくったのでした。

彼の良さは、ボールの扱いが滑らかで自然で柔らかく、それと同時に敵味方の位置をすっかり把握しているような駆け引きができている点にあります。また、相手の裏を突く崩しのパスも上手く、展開力もしっかりしていて、高い戦術眼を備えていることもよく分かります。

それらを可能にしている技術とは一体何であるのか?
それはこのブログのメインテーマである二歩一触です。

二歩一触の基本コンセプトは、ボールの確保と視野の確保を同時に行うことです。

2011年8月18日

メッシの2ステップ伍 骨盤パニックをやってみよう


前回の記事では図の左側の2つのドリブル突破を解説しました。今回は右側2つの説明をしたいと思います。以前「ドリブル方法論2 後足を踏ませる」でも少し触れましたが、今回はより詳しく見ていきましょう。

骨盤パニックとは現バイエルン・ミュンヘン所属の宇佐美貴史選手がある番組に出ていた時、自身のドリブル法を説明するためのキーワードとして出てきた言葉です。

簡単に言うと、DFの骨盤を右に左に旋回させるようにドリブルのコース取りを変えるというテクニックだそうです。


 では、その骨盤パニックを試してみましょう。

2011年8月17日

メッシの2ステップ四 カットインのうまいやり方

最近流行りのカットイン。バスケではインサイドにドライブするなんて言ったりするんでしょうか。最近注目している浦和の原口はカットインからのシュートが武器ですね。原口の魅力はなんといっても動きのしなやかさです。腰から上と下とで身体が分離しているような柔らかさを見ると僕は興奮してしまう質なのです。今回はそんなカットインの方法について、2ステップと絡めて解説してみましょう。

今回紹介するのは左の4つのドリブルの形です。2回に分けて書きたいと思います。




2011年8月16日

メッシの2ステップ参 ボールコントロールと重心コントロール

だいぶ前に書きかけになっていたテーマ、メッシの2ステップについての続編です。以前の記事では2ステップとはスピードに乗った状態でボールをDFに晒して食いついてきたところを抜くドリブルテクニックだと書きました。今回は2ステップを実践する上で不可欠なボールコントロールと重心コントロールのバランスについてのお話です。

ではまず下の動画をご覧あれ。初めの2つのプレーに2ステップを見ることが出来ます。


上の動画の2つめのシーンを静止画で抜き出してみましたので、解説してみましょう。

2011年7月13日

スキップドリブルドリル

以前、独特のリズムの発生の過程を書いてみました。今回はそれに付随する内容です。

独特のリズムを体得できるようなトレーニングメニューを色々と考えてはみましたが、さして良い方法も見当たらず悶々としていたところ、大変お世話になっている蹴球計画というブログにおいて非常に興味深い記事があったので紹介します。

  1. 個人技術:両足とび、間を作る、シャビ
  2. 両足とび シャビ 検証
  3. 個人技術:シュートからプレーを作る(正面を相手に向ける、両足で飛ぶ、足の下を抜く)、イブラヒモビッチ
これらはドリブル最中に両足を揃えて浮かすことを技術として扱った記事です。これらの技術には一つの法則があるように思えます。


すなわち、ドリブル最中に通常走行(左右の足を交互に接地する走法)からスキップへの移行による足の踏み変えです。イブラヒモビッチの記事は少し違うかと思いますが、シャビが行っているのはまさにスキップを用いたステップの変化です。

ですからスキップと通常走法を織りまぜてドリブルすれば、自ずと独特のリズムを体感できるのではないかと考えました。

では実際にやってみたので御覧ください↓


まぁあくまでエクササイズなので実際に試合で使えるとは限りませんのであしからず。特に最後のスキップと通常走法を交互に行うドリブルなんて見た目以上に難しいので是非やってみてください。

次→セスクのドリブル ボールタッチと視野の確保

関連記事→メッシのドリブル3-1 独特のリズム

2011年1月18日

同調、リズム、ドリブル

先ほどNHK教育で「すいえんさー」という番組を見ました。毎回面白いテーマを扱い、科学的にかつバラエティ要素ふんだんに製作されているのでたまに見るんです。女の子が可愛いというのもありますが笑。

放送のテーマは道端で接近しながら対面する2人が通せんぼしてしまう「お見合い」という現象です。「お見合い」の原因は「同調」であるということが紹介されていました。→すいえんさー「いよいよ火曜は道でお見合い!!」

「同調」とは目に映る人の動きを無意識に真似してしまう人間の特性で、これを意識的に防ぐのは難しいということでした。詳しい内容は再放送を確認していただけるとよろしいかと。

番組後半、筑波大学のサッカー部と浅井武教授が登場し、同調を破るステップワークの紹介がされました。サッカー科学を研究する浅井氏をTVでみたのは久しぶりで、少しココロ踊る気分でした。

彼の主張をかいつまむと、サッカーにおいてDFはドリブラーのステップワークに同調することでドリブル突破を防ごうと心がけ、逆にドリブラーはDFの同調を促し眼前で同調を破ることで抜くタイミングと方向を悟らせないようにして突破を試みるということです。

これには非常に賛同します。以前このブログで扱った「独特のリズム」という項の主旨と合致します。

番組で紹介されていた「お見合い」を回避する方法に「ちょこちょこ走り」というものがありました。お見合いを回避するには有効かもしれませんが、実際にサッカーグラウンドでは有効であると言い切れません。

DFの眼前でステップを細かく踏むことのデメリットは2つあります。DFに突破のタイミングを教えることと、前進スピードを緩めざるを得なくなることです。

ステップワークを細かくすることはフェイク動作と考えていいでしょう。フェイク動作はその動作に時間がかかればかかるほど、次のプレーがターンと加速であることをDFに知らしめてしまいます。また、「ちょこちょこ走り」のようなフェイク動作は同時にボールを押し進めることができなくなるので、ドリブルスピードが低下し、次の加速という動作にスムーズに移行することが難しくなります。

「ちょこちょこ走り」 に近いフェイク動作を実践するジュビロの駒野選手やガンバの加地選手はお世辞にもドリブル突破が得意とは言えません。以上の理由でDFの眼前でただステップワークを細かくすればいいという考え方は有効でないと考えています。

自分が考えるベストのドリブル突破法は「ちょこっ走り」です。2歩1触で正対しながらDFに接近し、DFのステップワークを同調させます。そこから「ちょこっ」とステップワークを変化させて加速して抜き去ります。この「ちょこっ」は同じ足の2度着きや3連符のリズムの導入などです。このようなドリブルを実践しているのが香川やメッシ、ディマリアやロッシなどです。無駄をそぎ落とし、人間の無意識領域の習性を利用してドリブルする様が美しいと感じるわけです。

いずれにせよ、番組で紹介された「同調」という概念はドリブル突破を考える上で非常に重要であると考えています。



関連記事→音楽、リズム、ドリブル

メッシのドリブル 「独特のリズム」

ドリブル方法論1

2010年12月5日

優れたドリブルのスタイル 2歩1触の可能性

このブログでは再三にわたって2歩1触というドリブルのスタイルの優位性を説いてきました。その内容の一部は→の「メッシのドリブル 2歩1触」と目次の2タッチコントロールのシリーズで説明しています。

欧州で活躍する選手のほとんどがこの2歩1触でプレーしていることが、このスタイルの優位性を証明しています。ペドロやフレブなど一部の選手は両足でプレーするところを見ると、2歩1触のスタイルが最善の手段であるとは言い切れません。しかし、よく指導者が口にする「精度の高いファーストタッチコントロール」や「視野の広いパス」や「ゴールを意識したプレー」は、この2歩1触により可能になることがより多くの人に知られるべきだと思います。

■「2歩1触」とはどのようなプレーなのか
2歩1触とは言葉どおり、2歩で1回ボールタッチするプレーのことを指します。大抵の場合、利き足のみでボールを扱うことになります。左利きの選手の殆どがこのようなボールの持ち方をします。これは右利きの選手と比べると、使う脳の部位が異なることが原因だろうと思われます。

2歩1触のプレーは体の向きに対して常に同じ位置にボールを置くことを意味します。利き足の前方やや斜め外方向です。ボールの位置に体を合わせるのではなく、センチ単位でボールの位置を調整することを自動化させ、ボールを意のままに操ることを目標にする技術です。


2歩1触でプレーできる選手は、あたかもボールが足にくっついているような印象を与えます。ボールと共に移動するということが極めて自然に行えます。また、常にボールを押し進めてプレーを行うので、スペースの活用法を自然に学べます。


■2歩1触のメリット
前に別の記事にも書きましたが、2歩1触のドリブルから得られるメリットは以下のことが挙げられます。

1 いつでもキックができる → いつでもパスで逃げたりキックフェイントを使える

2 いつでも方向転換ができる → 取られそうになったら体を入れられる

3 ボールがいつも同じところにあるので、ボールを見なくてもよい → 顔が上がる

4 いつも同じ体勢でキックが出来る→ボディバランスを崩さないので強いパスが蹴れる

サッカーで一番重要なのが状況判断です。2歩1触でプレー出来れば、ボールの確保と視野の確保が同時に行えます。これは高いレベルでプレーする上で極めて重要なことです。

2歩1触は観ること、ボールに触れること(コントロールやドリブル)、ボールを蹴ること(パスやシュート)の3つを同列に考えます。左記の3つは2歩1触の中では同じ現象として考えるのです。これが、選手に流れをもたらし、ボールを扱うことを、空気を吸うことくらいに自然に行うようにさせるのです。自然にプレーすることで相手を欺く多くのトッププレーヤーは、コントロールとドリブルとキックの境目がなく、流れる水のようになめらかな動きを披露してくれます。


■2歩1触から発展可能なプレー
以下に2歩1触のボールタッチから可能なプレーをできるだけ具体的に書き出してみます。小さい予備動作でスムーズに移行できるプレーだけを羅列しました。

・インサイドキック

・アウトサイドキック、トウキック、チップキック※1

・キックフェイント(アウト or イン)※2

・180°方向への切り返し(アウト 足の裏)※3

・アウトサイドで利き足側へ、インサイドで軸足側へ抜ける突破 参考動画→LearnFromMessi_0001.wmv

・マシューズフェイント 参考動画→Sir Stanley MATTHEWS dribbling compilation - christinayan (0:27からです。) 


・ダブルタッチ(利き足イン→逆足イン 利き足アウト→利き足イン)※4

・利き足でのシザースフェイント※5

・足の踏み変えによるリズムの変化

・マタドールターン

・ゴールに向かったドリブルの仕掛け

2ステップ

※1 ボールが常に足元にあるためほとんど予備動作(助走や軸足の踏み込み)のないキックが可能

※2 キックフェイントというよりキックキャンセルに近い。2歩1触ドリブルではボールタッチと同じ姿勢からキックをすることが可能。このため、DFにプレーの意図を読まれづらいという特徴がある。中盤においては、キックの動作を伴わなくても、視線だけ周りに配って少し大きな蹴り足の引き上げを伴いながら2歩1触のドリブルで突き進むだけで、相手DFがドリブルのコースを空けてくれることがある。

※3 アウトサイドでの切り返しはほとんど予備動作なしでできるが、足の裏でのストップは膝を少し高く上げるため読まれやすい。しかし、足の裏でのプレーはその後360°どの方向にもボールを動かせるのでとても意外性が高い。インサイドでの切り返しやクライフターンは体の向きを変更せねばならず動作が大きくなる。その上、進行方向を相手に教えてしまう。キックフェイクとしてなら有効。

※4 ダブルタッチは狭いところを抜いていくのに極めて有効。ただし、逆足イン→利き足インのダブルタッチは予備動作が大きくなり相手に読まれやすい。なので、利き足側に行きたい場合は利き足アウト→利き足インのダブルタッチを使うといい。

※5 常に利き足側にボールを置く2歩1触のスタイルでは、逆足での跨ぎ動作は現実味を帯びない。わざわざ仕掛けのタイミングを相手に教えるようなもの。両足でプレーする選手にはこの限りでないが。

以上が21世紀初頭までのサッカー史において、淘汰され洗練されてきた技術体系です。つまり、これらは速く考え速くプレーするために選手達に選ばれ続けたテクニックであるということです。それ以外のテクニック達はオプションに過ぎないというのが持論です。

■2タッチコントロール
2歩1触の考え方ではボールを常に自分の支配下に置くこと(利き足の前にコントロールすること)が最も重要になります。

パスを受けてからボールを支配(コントロール)するまでの時間が短ければ、その分余裕を持って顔を上げることができます。そのためにトラップの際はボールを注視します。続いて2タッチ目で完全にボールを支配下に置き、同時に顔を上げることで、トラップ時の2歩1触が完成されます。方法は右記を参考にしてください→「2タッチコントロールが有利なわけ」


上記のとおりに2タッチコントロールが実践されれば、おのずとファーストタッチの精度が上がりますし、同時に有効な視野の確保も可能になります。これによって視野の広いプレーのための条件が満たされるのです。


■仕掛けるプレー 
2歩1触で目指すべきレベルは、どんな速度でプレーしていてもボールを支配することです。

アタッキングサードでは、ボールを常に利き足の前にコントロールすることで、常にシュート体勢をつくることが非常に重要になります。「いつでもシュートできるんだぞ」という姿勢をDFに見せつけることで、ゴール前の攻防を有利に運ぶことが可能になります。

この姿勢こそが「ゴールを意識したプレー」の条件になると思います。

2タッチコントロールからのミドルシュートあるいは2タッチ目でDFを外してシュートなどのプレーはトップレベルの試合で頻繁に見られます。

高速で敵に接近する仕掛けにおいても、2歩1触で行えば、ボールコントロールを失わないので、少しずらしてシュートコースを作ったり、相手の出方を見て逆を突いていくプレーが可能になります。抜いた後もボールを近くに置き、すぐにシュート体勢に持ち込めるので、かわすためだけのドリブルや相手を欺くためだけのプレーが減ります。


以上の説明のとおり、2歩1触は人体構造上ごく自然な動きで、一つの予備動作から多様な選択肢を得ることができ、戦局を有利にすすめるために必要な技術だと考えています。そしてファーストタッチの精度の向上、有効な視野の獲得、ゴールを意識したプレーの習慣づけも期待できます。


関連記事→2歩1触のための超基礎

次→明日から使える正対技 静止ver


 

2010年11月13日

音楽、リズム、ドリブル

(2拍子+3拍子)÷ドリブル=独特のリズム そんな話をひとつ。

メッシのドリブルに関しての一連の記事の中に、独特のリズムとはどうやって生まれるかについて書いたものがありました。(メッシのドリブル3-1 独特のリズム)今回はそれの補足です。

タンウンタンウンタンウンタタンウンタンウン

これはメッシが緩急とリズムの変化をつけて、敵を抜き去るときの左右の足の着地音を表したものです。これをさらに詳しく説明するとこんな風になっているのではないでしょうか。↓

タンウンタンウンタンウン タタン ウンタンウン
|←   2拍子   →|3拍子|←2拍子→|

つまり太字の切り返しの時に3拍子3連符が正しい言い方ですが)になってるんではないかという話です。



■2と3の切り替え

話は飛びますが、2歩1触のドリブルを素人にやらせようとすると、左右の足の着地間隔が不均衡になり

タッカタッカタッカタッカ

のようになってしまいます。これはボールを蹴ることに慣れていないため、蹴り足がボールに触れることを意識しすぎてしまって、蹴り足の着地が遅れるためだと考えられます。一種のリズムの訛りが生まれます。そしてこれはヒトが球を転がす原点であり、「自然なドリブルの姿」のように見えます。

しかし、このままでは2歩1触で自分の意のままに旋回したり、速いドリブルは出来ません。出来る人もいるだろうけど。

試合で2歩1触の高速ドリブルを相手に御見舞いしたい場合、この訛りを矯正して

タンウンタンウン

としなければなりません。ここが2歩1触の第一ハードルなわけなんですけど。つまり、ボールなしで普通に走るときと同じように、左右の足の着地間隔をなるだけ均等にしてドリブル出来れば、スピードに乗ったドリブルが可能になるのです。全速力の7割程度の速度で出来るようになれば立派な運び屋になれます。

だけど、これだけではドリブラーになれません。敵を抜いていくことが出来ないんです。敵を抜くには変化が必要です。それがリズムの変化です。リズムを変化させることで結果的に速度と方向が変化していきます。どう変化させるかというと

タンウンタンウンからタタンタッカあるいはンタタと変化させます。

どれも3拍子(3連符)ですね。ちなみに3連符とは1拍の間に3度刻むことです。タタタ

変化というか元に戻すだけなんですけれど。初めに出来たこと(タッカ)を一度矯正して(タンウン)また元に戻す(タタタ)。

2拍子と3拍子を意図的に切り替える事が出来れば、スピードに乗ったドリブルと目の前の敵を打ち負かすステップワークが両立します

このイメージを持っておけば、フェイント動作の鍛錬時に筋肉に頼らないスムーズな身体操作を身につけられるのではないかというのが持論です。

例えば下の動画のビジャなら、 タンウンタンウンタッカタンウンタンのように抜いていきます。


切り返し直前に軸足を引きずるように2度着きしているステップを厳密に擬音化するなら、
タンウンタンウンタツッカタンウンタンとなります。


ちなみにメッシの2ステップ(詳しくは今後ビデオを載せる予定です)の場合

タンウンタンウンタッカタンタウンタン

のように抜いて行きます。メッシは切り返し動作に入る直前にステップワークがとてつもなく細かくなることがあります。敵の狙いを半拍ズラしてすり抜けるような。



他にもタタンタタンとかンタンタッカとかステップワークを変化させるだけで無限にフェイク動作のバリエーションが生まれます。

2拍子のままでもスピードを活かせば抜いていくことが出来ます。が、2拍子のまま方向を変化させると過度に筋肉を使うことになり、結果的に動作自体が遅くなることがあります。故障の原因にもなりかねませんので筋肉系選手以外にはオススメできません。

子供にフェイク動作を教えるときは動作の大きさや速さだけを言及するより、上記のような音やリズムを用いて指導すると、直感的に伝わるかもしれません。

「ここはタタンと行くんだ」とか「タッカタンって感じでちょっとタメるといいよ」とか


■民族音楽:複合リズムとドリブル

それで音楽についてなんですが、世界中に広まった音楽の起源は元々はアフリカ大陸にあるらしいのです。人類の祖先が元々は一つで、アフリカ大陸からヒトの祖先達が世界中に移動していったことを考えても納得出来る事実だと思います。

このアフリカの音楽の根底をなすリズムは何かと言うと、です。アフリカ源流のリズムは3拍子が基本なのです。3拍子の音楽は祭事に用いられます。二足歩行をする人間が自然に生み出せないリズムとして、3拍子は神様を地上に招くときに奏でられたと言われたとか言われないとか。

以前の記事にも書いたように、アフリカだけでなく現存する多くの民族音楽では3拍子あるいは3連符のリズムが用いられています。 中には2拍子と3拍子を曲中に入れ替えるものやポリリズム(複数の奏者が違うリズムを演奏する)といったものまであります。初めからドリブルのリズム変化に親しみやすい音楽が海外では奏でられていると考えることも出来ます。

近い将来、アフリカ出身でとんでもないテクニックとフィジカルを備えたストリートサッカー出身のスターが現れるんじゃないかと妄想も膨らみます。

一方、日本の伝統音楽の基調となるリズムは2拍子でモノリズム(複数の奏者が同じリズムを奏でる)と言われていますが、民俗音楽である祭囃子や民謡などではハネたリズムいわゆるスウィングが用いられます。ドッドドッドドッドドッドという和太鼓の合奏などが良い例です。これもいわば3連符の仲間です。日本人は祭囃子や民謡に親しむことで、ドリブルに独特のリズムが出るようになるかもしれません。

日本人のサッカー少年少女達には是非将棋と和太鼓を習ってもらいたいと強く思います。

こんな風に考えていると、ブラジル→サンバ→ジンガ→ステップワーク→ドリブルのような関連性が少し見えてきて面白いです。


はじめに戻りますが、「自然なドリブルの姿」をそのまま維持してプロ選手として活躍するのがロナウジーニョ・ガウショであり、メッシであり、香川真司です。特にロナウジーニョはスピードに乗った直線的なドリブルをする際でさえ、ステップワークの訛りがありますね。



2010年10月12日

子供にドリブルを上達させるには

サッカー選手にとって幼少期のプレー経験が一番大切です。なぜなら、大人になってから体に染み付いた身体操作の癖を修正することは非常に難しいからです。このことは選手なら経験的にわかるのではないでしょうか。伝説的なプレーヤーは幼少期からそのプレースタイルが変わっていないという事実を挙げれば、序文の説明に事足りると思います。

今回は子供にドリブルの悪い癖を付けさせず、良いドリブルを身につけさせる方法を提案します。

1 芝生あるいは砂浜でプレーさせる

2 かならず複数人でプレーさせる

3 このとき必ずゴールを二つ設定する

4 クーバーコーチング禁止 コーンを使ったジグザグドリブル禁止

5 グリッドを使用したトレーニングでスペース感覚を磨かせる

以下説明です

 土あるいは砂利のグラウンドではボールがどんどん遠くに転がっていってしまいます。このような環境ではボールを常に足元で扱う習慣はつきません。スペースにボールを蹴って追いかけるスタイルが助長されます。

芝生や砂浜の上でなら、ボールはすぐ止まります。ボールを蹴ってもすぐ止まるということは、ボールが体から離れにくくなるということです。この感覚を育むことでボールの転がり方を支配する習慣をつけさせやすくなると思います。

 子供は見て学ぶ生き物です。何も教えずとも良いプレーをみて真似しようとします。また、相手と駆け引きをする習慣を対人プレーで身につけることが重要です。

 ゴールを2つ設定することは攻撃方向を設定することと同義です。攻撃方向を決めるということはスペースの活用法を身につけさせるために必要不可欠です。

 一人で練習をさせることやシャドードリブルをさせることは、子供をファンタジーの中に閉じ込めることになります。サッカーという現実に目を向けさせるためには対人での練習が必要ですし、複数人でゴールを設定したゲームが最適です。

クーバーコーチング的な動きは、スペースの活用という観点から見て全くの無駄であると言わざるをえません。相手を騙すことだけに焦点が集まるプレーは、連続的にシーンが移り変わる特徴を持つサッカーのゲームの中で、あるワンシーンの打開だけに集中してしまう悪い癖を選手に植えつけかねません。駆け引きの中でしかフェイクは有効ではありません。また、駆け引きのあとで必ずパスやシュートなどのプレーが続くのです。連続的に判断を変更でき、生まれては消えるスペースの活用法を知る選手を育てるにはやはりミニゲームが最適です。

クーバーコーチングの動きではフェイクを入れてからその逆側にボールを動かすというものが多いです。例えばシザースフェイントでは左にまたいで右に切り返すような動きがあります。この動きを幼少期に反復的に練習すると、大人になってからもこの動きが体に染み付いて離れません。その結果競り合いになりそうな時にクーバーコーチング的動きで相手をいなそうとします。競り合いの時に体を入れることより、クーバーコーチング的動きが優先されます。こういう動きが反射的に発揮されるように育てられた選手はJリーグにもたくさんいます。大変残念なことです。また、押し通るドリブルを身につける際にクーバーコーチング的動きがその習得の弊害になります。

ジグザグドリブルの練習法でよく見られる光景として、いろんな部位でボールにタッチさせるようにコーチが条件を出すことです。利き足と逆足で同じようにボールタッチできるように練習させようとします。これも全くの無駄です。

サッカーの試合の中では、ほとんどの場合選手は利き足でプレーしようとします。そのほうが確実にプレーできるからです。加えて利き足だけでプレーする、2歩1触のスタイルでは状況判断もよくなり、駆け引きも上手にできるようになります。よって逆足のボールタッチの練習に長い時間割くことは無駄です。

ジグザグドリブルの練習では始めはゆっくり確実に丁寧にやることが主眼とされます。たしかにこれは間違ってはいません。ゆっくりやる理由は後々速いスピードでできるようにするためです。サッカーの試合の中ではテクニックをスピードの乗った状態で発揮することが重要になります。速くやることを忘れてゆっくりしたスピードの中だけで練習することは本末転倒です。これでは選手にゆっくりしたスピードでしか発揮できないテクニックや身体操作が染み付いてしまいます。こういう選手が後にテクニックを速いスピードで発揮しようとすると、幼少期に練習した”遅い癖”が邪魔になってしまうのです。 ジグザグドリブルの練習は高度なレベル(速いスピード)のテクニックを習得するのに足かせになってしまう場合があります。

 グリッド練習ではどの方向にもプレーでき、かつ周りを見ないと他人とぶつかってしまうので、子供たちは自然に2歩1触のドリブルを始めます。また、コーチが条件を付けることで色々なバリエーションでトレーニングを進められます。

大事なのはスペース感覚を身につけさせることです。そのために常にスペースを意識させる条件付をします。 またスペースは人の位置によって決まるので、他人の位置関係に目を配らせるような条件付も必要です。また子供は競争が好きなので互いに競い合える条件をつけることも大事です。

関連→日本と世界 ストリートサッカーの現状


2010年9月18日

ドリブル方法論5 突破のドリブルに必要な変化3 切り返しのボールタッチ

前回は仕掛けのドリブルから相手の間合いに入ったときのギリギリの状態での身体操作について考えました。今回はその身体操作からの軽いボールタッチの重要性を説きます。

今回考えることはドリブル方法論のまとめに照らし合わせて考えると以下のポイントに当てはまります。

5 ボールタッチを変化させ敵の脇をすり抜ける

6 変化のボールタッチを小さくしてすぐボールに追いつく

7 敵の進路に入るようにドリブルを続けるかシュートやパスをする

まず5について。これは以前の記事に書いたとおり浅く切り返すことにあたります。なるべく相手の体の近くをすり抜けるようにすれば、進路のロスが少なく次のプレーを無理のない体勢から行うことができます。

6について。このボールタッチは5のボールタッチと同じです。つまり、相手をかわしにかかるとき、そのボールタッチをなるべく小さく、そして変化の角度を少なくすることが大事と言いたいのです。なぜかというと、このボールタッチが大きくなると次にボールに触るまでに時間がかかってしまうので、その間に相手に寄せられてしまったり、別のDFにカバーに入られてしまうからです。

日本人で“ドリブラー”と呼ばれる選手は概して足が速くボールを体から離してダッシュ力で勝負するタイプが多いです。しかし、これらの選手が世界レベルで通用するかというと、まったく通用しません。なぜかというと、世界レベルではよりフィジカルレベルが上がって走力ではかないませんし、カバーリング能力が高いDFも多いのですぐに2人目のDFに止められてしまうからです。

ボールを体から離して身体能力だけで勝負するドリブルのほうが、技術的には非常に簡単です。しかし、より高いレベルのドリブルを習得するには、ボールタッチを多くしてボールを体から離さないようにする難易度の高い技術が必要になるのです。

7敵の進路に入るようにドリブルを続けるかシュートやパスをする について。これはよく言われるように相手を抜ききったらその相手の進路に入るようにドリブルを続けるということと、すぐさまシュートやパスをする意識を持とうということです。ドリブルは手段です。ドリブルでゴールを決めることはなかなかありません。ゴールを決めるにはシュートを打たなければなりません。そのためのドリブルだということを忘れてはなりません。

また、シュートの意識を高く持てばドリブルも活きてきます。相手がキックフェイントにかかりやすくなるからです。それからシュートコースを作るためにドリブルの進路も良くなります。ドリブル上達のためにはシュートなど次のプレーにつなげる意識が必要不可欠なのです。

ここまで考えてきた理想のドリブル法を頭に入れて、多くの試合を観戦し自分なりのドリブルスタイルを確立できるように練習してください。




2010年9月3日

ドリブル方法論4 突破のドリブルに必要な変化2 助走を活かす身体操作

今回も前回に引き続き、ぎりぎりの間合いに入ったときの身体表現を考えていきます。

こちらのビデオを御覧ください↓



始めのシーンは興梠選手の仕掛けのドリブルです。2歩1触で接近することは出来ています。次の瞬間ボディフェイクを入れて相手を揺さぶり、相手も思ったとおりに動いてくれたのですが、興梠選手自身もバランスを崩し、突破のチャンスを逸しています。押し通る気概を持っていれば華麗にDFをかわしていけたと思います。

このように日本の選手はボディフェイクをする時にボールを押し進めないので、ドリブルの速度が下がり、DFに余裕を与えた状態で、切り返し動作に入ることが多いのです。DFにとっては、バックステップの速度が下がれば、その分余裕を持って予測を働かせることができます。

一方、ドイツ代表のSBラーム選手など海外の選手はボールを押し進めながら駆け引きをすることが当たり前にできています。

ここまでは前回の話しでした。今回紹介する突破法は、ボールを刈るようなボールタッチでスムーズに加速し、慣性の法則を生かして、相手より一歩速く動くという方法です。

どういうものかというと、上のビデオでマルキーニョス選手が実践しているのでごらんください。

ポイントは足の運びかたです。マルキーニョス選手は左右の足を交互に前方に進めて、スピードを落とさずシュートチャンスを作っています。

一方、中村北斗選手は、切り返しの際、軸足が利き足を追い越しません。一度サイドステップを踏むように減速してから、ボールに向かって再度ダッシュをかけています。

この方法だと、一歩分だけ損していることになります。ゴール前の緊迫したシーンではこの一歩が勝敗を分けます。一歩あればシュートコースを生み出せますし、逆に一歩少なければシュートブロックに遭ってしまいます。

1対1からシュートを放つようなシーンでは、マルキーニョス選手のように、ぎりぎりの間合いに入った際、方向とスピードの両方に同時に変化をつける身体操作が大事になります。

ドリブルの方法としては、マルキーニョス選手のようにリズムの変化を用いてもいいですし、リズムの変化をつけずにスピードと方向に変化をつけるという方法でもいいと思います。どちらの方法でも大事なのは、ドリブルで接近したときのスピードを充分に活かす意識を持つことです。

この仕掛けのドリブル法では、相手DFはバックステップをしていて、ボールホルダーは前向きで走っているのです。この状態からよーいドンと超短距離走をしてボールホルダーが負けるはずがないんです。これで負ける場合は、身体操作やボールを運ぶ角度に間違いがあるということになります。

このボールタッチと身体操作でインサイド、アウトサイドをそれぞれ使って左右のどちらにも突破できるようになれば、1対1からシュートチャンスを生み出すことはそれほど難しくなくなるはずです。

ただし、我々日本人の1対1の身体操作の中には、上のビデオでの中村北斗選手が示しているように、間違った足の運び方が刻み込まれています。これを修正することは並大抵のことではないと思います。

まずは考え方を修正することが必要です。

日本ではボールタッチすることと、走ることが分けられて考えられています。ドリブルやフェイントはボールを行きたい方向に転がしてから、その方向に走ることだという固定観念があるようです。そう考えていない人でも、その人の身体操作がそのような概念を表していることがよく見受けられます。

この悪い癖をなくすには、力まず8割の力で取り組むことが大事だと思います。相手を打ち負かせたいという強い気持ちが体に力みを生み、ズムーズな身体操作を不可能にしている気がします。

本当はメッシのように軽いステップワークでかわしていくのがカッコいいんですけど、あれは無理なんで。とりあえずは、今紹介した刈りこむボールタッチで勝負を挑めるようにするのが、日本人にできることだと思います。

次は→ドリブル方法論5 かわした後のボールタッチ

ドリブル方法論3 突破のドリブルに必要な変化1 押し通る気概

今回は2歩1触のドリブルで相手DFに接近し、ぎりぎりの間合いまで来たときのことを考えます。

仕掛けのドリブルの段階で言うと下の

4 方向とスピードに変化をつける

5 ボールタッチを変化させ敵の脇をすり抜ける

6 変化のボールタッチを小さくしてすぐボールに追いつく

を考えていく事になります。この3つのポイントは区別をして認識する必要がありますが、実際には同時に行ないます。

その前に、ぎりぎりの間合いとは何か考える必要があります。ぎりぎりの間合の中で何が起こるかということは、すべての守備者は経験的に知っています。“ボールホルダーのキャラクター”と“1対1が行われているゾーン”を考慮にいれれば、ボールホルダーが何をしたいかということは、だいたい悟ることができてしまうのです。

ぎりぎりの間合いの中では、反射的な動きが大事になります。というよりも、反射的な動きしかできません。反射的な動きは積み重ねた経験から生み出されるものです。特に小学生、中学生くらいの時に習得した動きがもろに身体表現として現れてきます。ぎりぎりの戦いを制するには、この反射的な動きを制御する必要があります。

またぎりぎりの間合いの中で安易に優先順位の高いプレーを選択すると、DFに簡単に読まれてしまいます。

そこで、この間合いに入ってもさらにボールを押し進め、よりDFを後退させることを考えてみましょう。方法は↓のビデオにあるように、ボディフェイクを交えながら2歩1触のドリブルを続け、まっすぐ押し通るようにドリブルするというものです。


フェイクを入れてもまっすぐボールを押し出す意識が必要です。

これをすることで、DFをさらに追い詰めることができます。DFをパニック状態まで追い込めば、あとはシンプルな進路変更で簡単にDFをかわすことができると思います。

日本人のドリブルやフェイントに対する考え方はこれと真逆で、ぎりぎりの間合いに入ったら、フェイクの動作をしてその反対側にボールを切り返すというものです。日本では、クーバーコーチングで紹介されるような様々なフェイント動作を身につけ反射的に行うことが、上達への近道だとされる間違った考え方が信じられています。また、クローズドテクニックの反復練習が大事とされる風潮があります。さらに拍車を掛けるようにフリースタイルフットボールなんてものも支持される世の中になってしまいました。

このフェイクを入れて逆方向にボールを切り返すという動作が体に染み付いてしまったのが、今の現役のJリーガーたちです。ピッチ上すべてのゾーンで、相手に寄せられたときにこの方法で状況を打開しようとするシーンが多々見られます。結局、相手と競り合いになりルーズボール状態に陥ってしまうわけですが。

話はそれましたが、仕掛けのドリブルでぎりぎりの間合いまで接近したら、ボディフェイクを加えさらに前進し押し通る気概をもつことが、ひとつの打開策になってきます。

すると体勢を崩したDFと衝突するような格好になります。うまく行けば、敵の脇をすり抜けられます。タックルを受けたとしても、もしかしたら運良く自分の前にボールがこぼれてくるかもしれません。ボールコントロールを失っても、DFの背後にボールを運べるかもしれないので、突破できなくても相手に後ろ向きにクリアさせることができます。コーナーキックやスローインを勝ち取れます。

横に切り返すとDFに寄せられてしまうばかりか、自陣方向に向かってボールを跳ね返させてしまいます。

仕掛けのドリブルの成功率は5割でいいので、大きな気持で大胆に相手に挑むことが、良い結果をうむことにつながると思います。

スペイン代表のフェルナンンド・トーレスなんてドリブル失敗しても平気な顔をしていますよね。でも毎回、前に切り替えして勝負を挑んでいます。このメンタリティーが10%の好機をモノに出来る能力を光らせているのだと思います。日本ではガンバの平井がそんな感じのプレーをしてるので、個人的に期待しているのですが。

長くなったので次回も突破のドリブルに必要な変化を考えていきます。

次は→ドリブル方法論4 突破のドリブルに必要な変化2 助走を活かす身体操作

2010年9月2日

ドリブル方法論2 後足を踏ませる

今回は突破のドリブルの中で相手DFにバックステップを踏ませるまでを考えていきます。

段階分けした説明だと以下の

1 パスを受けてスムーズに仕掛けの体勢に入る

2 敵の正面に向かって突き進む

3 ぎりぎりの間合いまで近づく

の三つまでを考えます。

まず1ですが、この時大事なのは、素早く仕掛ける体勢を作り相手DFにポジションを修正する時間を与えないことと、後ろから追ってくるDFに追いつかれないことです。

十分なスペースがあれば、ファーストタッチを大きめにとり、スピードに乗るという方法があります。しかしここでは、2タッチコントロールの有効性を説きたいと思います。ボールを足元にストップしてから間髪入れずに敵の正面にボールを動かしていくという技術です。この方法なら狭いスペースでも確実に仕掛けの体勢に入れます。

また、ファーストタッチでボールが浮いてしまった場合も、素早い2タッチ目の意識を持っておけば、後ろから来るDFに追いつかれずに、正面のDFとの1対1に持ち込むことができます。

では次は2の「敵の正面に向かって突き進む」です。この時は、自分の全速力の5割から8割くらいのスピードで、2歩1触のドリブルを使って突き進むのが望ましいです。なぜなら、相手DFを催眠術にかけるようなボールタッチで一定のリズムに引きこむことができますし、利き足でプレーすることでワンツーやシュートなどに結びつけやすくなるからです。

この図のように↓(攻撃側が左サイド寄りでボールを受けて、ゴールに向かいながら1対1をするシーンを想定します)


このときDFは下の写真のような体勢をとるはずです。

DFがサイドステップもしくはバックステップで後退している場合、DFは攻撃側から見て、左側つまりAの方向にドリブルさせたがっています。このとき、攻撃側は安易にAの方向にドリブルの進路を取ることは、相手の思うつぼになるので避けます。BかCの方向に進んでいきます。

また、DFはCの方向に進むドリブルに対して、左足を伸ばしてボールを奪おうとするので、攻撃側はC側に突破を図る際は、DFの足の届かないところにボールを置く(ダブルタッチを使う)か、タイミングをずらします。

基本的にはBの方向に進んでいくことになります。なぜなら、その後左右両側に切り返すことができるからです。相手を後退させるうちに相手のポジションミスを誘い、その逆側をついて突破することが可能になります。

A方向(縦)に進路を取りたいときは、始めに少しC側に進路を取ってタイミングを計ってA側に加速します。逆の場合も然りです。ただ、A→CよりC→Aのほうが成功しやすい気がします。

DFはこの状態から急激に後方にダッシュをすることが難しいので、攻撃側は勢いを持って(全速力の7割~8割くらいで)DFに接近することで、間合いが離れた位置(1,5~2m)で左右に切り返して、DFを置き去りにすることもできます。よーいドンのスタート時の助走の差を利用する突破法です。

それをさせないためにDFは↓の体勢をとります

(クロスステップもしくは首だけボールホルダーを向いた後方への走り方を使って後方へのスペースをカバーしようとしている。)

こうなったら、ボールホルダーの勝ちです。なぜならこの体勢からはDFはA方向しかカバーできないからです。ドリブルの進路をC方向に取ることで、DFの視野を切ることが可能になります。(イニエスタが得意なドリブルの接近法で、DFを何度も後ろ向きに振り返らせてしまう)

DF自身もC方向に無防備になることを知っているので、間合いの角度をC方向にずらそうとします。(ボールホルダーにA方向への進ませるように誘う)この時にもポジションミスが生まれるので、A方向に突破するチャンスが生まれます。

このように2歩1触のドリブルで相手DFを追い詰めていけば、相手DFは身体的にも精神的にも余裕を失っていきます。こういうときに簡単なボディフェイクが成功しやすい環境が整うのです。

DFにはより早い速度で後退させるように仕向けます。ゆっくりとした後退をさせ間合いが近いという状態は、必ずしもボールホルダーにとって有利な状況ではないからです。そのためにはボールコントロールを失わない程度でなおかつ最大の速度の2歩1触のドリブルで相手に接近することが大事になってきます。

2歩1触のドリブルで接近していくと、ボールホルダーとDFの間に緊張感が生まれます。この時にどのような感覚でどのように体を動かすかということが、1対1に打ち勝つための最大のポイントになるのです。

ここで紹介したドリブルの接近法は2歩1触のドリブルができれば、簡単に実践が可能です。次の段階、「スピードと方向の変化とその際のボールタッチの強さ」を調整し完璧に実践するには、身体的にギリギリの状態(プレッシャーのかかった状態)での反復練習と経験が重要になります。

次は→ドリブル方法論3 突破のドリブルに必要な変化

ドリブル方法論1 突破のドリブルについてのまとめ

メッシのドリブルを分析してわかったことは、メッシのようなドリブラーは育てたくても育たないし、メッシのドリブルを真似したくても簡単には真似できないということです。あの身体操作は練習して身につくものではありません。

じゃあ、ドリブルを練習することは意味ないかというと、そんなことはありません。日本人でも鍛錬次第でビジャやトーレス、イニエスタのようなドリブル突破ができるようになると思います。

彼らのドリブル突破には一定の法則があります。↓にまとめてあるとおりです。

(ここではフリーで前向きにボールを受けてから、正面に待ち構えるDFを打ち負かすという状況について考えます。)

突破のドリブルについての方法論を段階分けしてまとめます。

1 パスを受けてスムーズに仕掛けの体勢に入る

2 敵の正面に向かって突き進む

3 ぎりぎりの間合いまで近づく

4 方向とスピードに変化をつける

5 ボールタッチを変化させ敵の脇をすり抜ける

6 変化のボールタッチを小さくしてすぐボールに追いつく

7 敵の進路に入るようにドリブルを続けるかシュートやパスをする

このドリブルの特徴は何かと言うと、相手を追い詰めることで身体能力差を無にし、駆け引きだけの勝負に持ち込むということです。そのために、サッカーではボール保持者側が常に有利という原則を最大限利用します。

つまり相手に後手(後足)を踏ませるのです。文字通り、バックステップを踏ませるということです。これによって、DFは一方の方向には無防備になります。この状態から勝負を始めることで、ドリブラーはDFの弱点を握った形で仕掛け、相手の出方を伺うことができます。

テレビを見ていると、今Jリーガーは123まで出来ているのですが、4が全然うまくないんですね。いい感じで相手に接近しても抜きにかかったときに、完全に相手に読まれるケースが多いです。

それから、6の切り返しのボールタッチが大きすぎて、折角相手を追い詰めたのに、最後は結局身体能力勝負になってるケースも多々有ります。

この辺りについて考える必要があるので、次回の記事では→ドリブル方法論2 後足を踏ませるを考えます。