今回は2歩1触のドリブルで相手DFに接近し、ぎりぎりの間合いまで来たときのことを考えます。
仕掛けのドリブルの段階で言うと下の
4 方向とスピードに変化をつける
5 ボールタッチを変化させ敵の脇をすり抜ける
6 変化のボールタッチを小さくしてすぐボールに追いつく
を考えていく事になります。この3つのポイントは区別をして認識する必要がありますが、実際には同時に行ないます。
その前に、ぎりぎりの間合いとは何か考える必要があります。ぎりぎりの間合の中で何が起こるかということは、すべての守備者は経験的に知っています。“ボールホルダーのキャラクター”と“1対1が行われているゾーン”を考慮にいれれば、ボールホルダーが何をしたいかということは、だいたい悟ることができてしまうのです。
ぎりぎりの間合いの中では、反射的な動きが大事になります。というよりも、反射的な動きしかできません。反射的な動きは積み重ねた経験から生み出されるものです。特に小学生、中学生くらいの時に習得した動きがもろに身体表現として現れてきます。ぎりぎりの戦いを制するには、この反射的な動きを制御する必要があります。
またぎりぎりの間合いの中で安易に優先順位の高いプレーを選択すると、DFに簡単に読まれてしまいます。
そこで、この間合いに入ってもさらにボールを押し進め、よりDFを後退させることを考えてみましょう。方法は↓のビデオにあるように、ボディフェイクを交えながら2歩1触のドリブルを続け、まっすぐ押し通るようにドリブルするというものです。
フェイクを入れてもまっすぐボールを押し出す意識が必要です。
これをすることで、DFをさらに追い詰めることができます。DFをパニック状態まで追い込めば、あとはシンプルな進路変更で簡単にDFをかわすことができると思います。
日本人のドリブルやフェイントに対する考え方はこれと真逆で、ぎりぎりの間合いに入ったら、フェイクの動作をしてその反対側にボールを切り返すというものです。日本では、クーバーコーチングで紹介されるような様々なフェイント動作を身につけ反射的に行うことが、上達への近道だとされる間違った考え方が信じられています。また、クローズドテクニックの反復練習が大事とされる風潮があります。さらに拍車を掛けるようにフリースタイルフットボールなんてものも支持される世の中になってしまいました。
このフェイクを入れて逆方向にボールを切り返すという動作が体に染み付いてしまったのが、今の現役のJリーガーたちです。ピッチ上すべてのゾーンで、相手に寄せられたときにこの方法で状況を打開しようとするシーンが多々見られます。結局、相手と競り合いになりルーズボール状態に陥ってしまうわけですが。
話はそれましたが、仕掛けのドリブルでぎりぎりの間合いまで接近したら、ボディフェイクを加えさらに前進し押し通る気概をもつことが、ひとつの打開策になってきます。
すると体勢を崩したDFと衝突するような格好になります。うまく行けば、敵の脇をすり抜けられます。タックルを受けたとしても、もしかしたら運良く自分の前にボールがこぼれてくるかもしれません。ボールコントロールを失っても、DFの背後にボールを運べるかもしれないので、突破できなくても相手に後ろ向きにクリアさせることができます。コーナーキックやスローインを勝ち取れます。
横に切り返すとDFに寄せられてしまうばかりか、自陣方向に向かってボールを跳ね返させてしまいます。
仕掛けのドリブルの成功率は5割でいいので、大きな気持で大胆に相手に挑むことが、良い結果をうむことにつながると思います。
スペイン代表のフェルナンンド・トーレスなんてドリブル失敗しても平気な顔をしていますよね。でも毎回、前に切り替えして勝負を挑んでいます。このメンタリティーが10%の好機をモノに出来る能力を光らせているのだと思います。日本ではガンバの平井がそんな感じのプレーをしてるので、個人的に期待しているのですが。
長くなったので次回も突破のドリブルに必要な変化を考えていきます。
次は→ドリブル方法論4 突破のドリブルに必要な変化2 助走を活かす身体操作
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