footballhack: システム
ラベル システム の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル システム の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2013年11月26日

ドルトムントの攻撃パターン

4−4−2の泣き所、トレーラーゾーンを使う

名称未設定 001

トレーラーゾーンとサイドのスペースを行き来する 名称未設定 002



2013年11月4日

トランジション理論(2)

Klopp 1012533Libero1

前回の結論は、

局面をセグメント化して認識できなければ切り替えの質は向上しない

ということでした。

局面と局面を分けて考えている限り、その隙間にサボる時間が生まれてしまうのです。だから結論としては、該当する2つの局面をセットにして覚えるセッションを組むことが必要になります。課題となるトランジション局面を取り出して、そこだけをトレーニングできるようにセッションを調整するのです。

例えば、ボールを奪ってからカウンターという練習があるとします。この時、ボール奪取するときのピッチ上のエリアはどこか、陣形はどうなっているか、プレーの速度はどうなっているか、という点を明らかにし、さらに攻撃のパターンも決めます。サイド攻撃をするのか中央をスルーパスで狙うのか、ドリブルで仕掛けるのか等。これらが決定して初めてトレーニングを実際の試合に近づけることができます。

そう言われても、何を基準にトランジション局面を設定すればよいかわからないと思うので、図を用意しました。というのも、試合では必ずしも起きてほしいことだけが起きるわけではないからです。上の例で言うとサイドに追い込んで奪ってからカウンターを仕掛けるトレーニングをしたとします。しかし、実際の試合でサイドでの守備がうまく行かなければトレーニング自体が無意味になってしまいます。ここではサッカーの試合をより正しく分析するための手段として、攻撃と守備をスピードで2分して作図してみました。これでより客観的に試合を分析できるようになると思います。

2013年7月27日

対オーストラリアの二失点目を分析 【東アジア選手権2013】

こんなコメントを頂いたので紹介します。

トピ違い失礼します。センターバックの守備についてですが、本日の日本代表の二点目ですが、バイタルでボールを受けようとした相手のボールを奪いに行き、結果失敗し、センターバックのギャップをやられましたが、ああいう場面の正解の守備はどうすべきだったのでしょうか?センターバックの守備について、少し知りたいと感じました。
ーーーードルトムントのインテンシティが高い守備よりーーーー


それで東アジア選手権の第二戦、オーストラリア戦での二失点目を検証してみようと思ったんです。見てみたら、セオリー通りに上手くいってないところと、個人技術が足りないところがありましたので、良い教材になると思って扱うことにしました。

ちなみにこんな失点です
サポータルフットボール 001


2013年7月24日

ドルトムントのインテンシティが高い守備



本をまとめて4−4−2のノウハウの部分はある程度頭に入ったところで、インテンシティを高めるにはどうすればよいかという課題が浮かび上がりました。そもそもインテンシティとはなんぞや?ここでインテンシティという言葉の定義をするつもりはありませんし、インテンシティという言葉の意味を明らかにするつもりもありません。ただ言えるのは、今シーズンのCLを席巻したドルトムントのサッカーをよく研究すれば、インテンシティがどういうものか見えてくるんではないか、ということです。そこで今回は僕が感動したドルトムントの守備を紹介します。

まずは動画を!CL QFinal vs Malaga


4−4−2 距離感 from silkyskill on Vimeo.

2013年3月1日

ボールラインとDFラインの距離

ラインの高さ 001


グラナダが善戦した25節のバルサ戦を参考にしてみましょう。グラナダは典型的な4−4−2のゾーンディフェンスをやるチームとして認知されています。

芝目の間隔はおよそ5.5mですから、これからDFラインとボールラインの間の距離を見積もることができます。

2012年11月15日

ユベントス 3-1-4-2 攻撃分析

バルセロナセビージャとレバンテとイングランド代表のゾーンディフェンスドイツ代表アスレチック・ビルバオのサイド攻撃サンフレッチェ広島の変則3バックなどなどの分析を終え、一息ついていたところで、他に面白いチームないかなと思っていたら、「ユベントスが面白いらしい」と小耳に挟み、観戦したらなるほど特殊だが機能的で実に興味深いサッカーをしているではないか。そう思いまして、ユベントス分析をやってみたいと思いたったのです。

ユベントス攻撃 001ゾーンディフェンスの崩し方2種を理解すると、ユベントスのフォーメーションとチームとしての狙いが鮮明に見えてきます。では早速いきましょう。













  ユベントスの攻撃戦術を理解するためのメニュー


  • フォーメーション
  • 4番スペースを起点にしたポジショニング
  • 2番スペースとインサイドハーフ
  • 中央の使い方
  • クサビを通すためのスペースクリエイト


2012年8月22日

ビエルサ×ビルバオのコレクティブフットボール2

前回はビエルサがアスレチック・ビルバオというチームにおいてなぜサイド攻撃に重きをいたのかを説明しました。そしてこの戦術は、徹底したリアリズムとパターン化のもと、ポゼッションサッカーとリスクマネージメントを高次元で両立していることをこれから説明したいと思います。


  ビエルサ×ビルバオのサッカーを味わうためのメニュー
  1. システムの見方
    1. 4−3−3?
    2. 4-2-3-1亜型
    3. 4-1-3-1-1
  2. ポゼッション
    1. 攻撃時間を長く、守備時間を短くする
    2. ゲームの支配
    3. スリーバックポゼッション
  3. リスク管理
    1. タッチラインを使う
    2. ロングフィードを使う
  4. サイド攻撃
    1. デ・マルコスの外流れ
    2. WGの差金の動き
    3. クロスランニング
  5. 二次攻撃
    1. やり直し
    2. オンオフポジショニング
    3. 外流れ待機
    4. インナーラップ
    5. 8の字ローテーション(渦巻き理論)
    6. 中央は最後に使う
  6. 崩し
    1. ローポスト攻略
    2. 三者関係
    3. クロスに対してゴール前の人数を増やす
  7. 攻→守
    1. マンツーマン採用の必然性

3までは前回の記事で学びました。4以降でどのようにサイド攻撃を組み立てているか考えて行きましょう。

2012年8月21日

ビエルサ×ビルバオのコレクティブフットボール1

いよいよ2012−13シーズンのリーガエスパニューラが開幕しました。今年は盤石のモウ・マドリーに新体制のバルセロナが挑むという構図でシーズンが進んでいくんでしょうか。他のチームは財政的に苦しいこともあってなかなかこの2強に太刀打ち出来ないかと思いますが、今回は伏兵であるアスレチック・ビルバオを取り上げようと思います。

ビエルサが就任した昨季、リーグ順位こそ奮いませんでしたが、2月から4月にかけてのパフォーマンスが素晴らしく、マンチェスター・ユナイテッドを破ってみごとEL決勝まで進みましたアスレチック・ビルバオ。ビエルサの知将としての指揮力とアスレチック伝統の
気骨あるチームスタイルが織りなす、機能美あふれる機械論的コレクティブフットボールの仕組みに迫ってみましょう。


2011年12月26日

2011年サンフレッチェ広島の問題点を総括する

Jリーグが終わり、年末が近づく今日この頃、皆さま如何お過ごしでしょうか。今回は事後的で申し訳ないのですが、今年のサンフレッチェを総括したいと思います。

サンフレッチェについてはネット上で様々な議論が交わされています。例えば下の
スポーツナビ-広島が起こすセンターバック革命
あるいは
メディアプンタ-サンフレッチェ広島についての考察 
こういった記事に広島のことがよくまとめられていますので、参考にすると良いと思われます。

今季のサンフレッチェはご存知の通りミシャ・ペトロビッチ監督の6年間の集大成を披露する最後のシーズンとなり、J制覇少なくともACL出場圏内を目標としていました。しかし結果は7位。その問題点を明確にするためにも、下の順位変動図をまずは見てみましょう。

キーポイントは7月と10月で、特に10月の最後、対柏戦を落としたことが、終盤で上位に食い込めなかった理由の一つにあげられると思います。

広島の問題点は暑さに弱いことだと結論づけたいんですが、7月に1分けを挟んで三敗したことがそれが説明していると思います。

ではなぜ、広島が暑さに弱いのか検証してみましょう。


2011年10月30日

試合分析法2 システムの組み合わせ、噛み合わせ

前回はサッカーのゲーム構造の基礎理解について書きました。今回はそれを踏まえて、システムの噛み合わせや選手配置の組み合わせを考えていきます。

システムというと最初に思い浮かぶのは、試合前のスタメン発表時の表ではないでしょうか。4-4-2だとか4-3-3だとか、右が誰で左が誰のような。単刀直入に言うと、これらはあまり意味がありません。試合中は選手配置がぐちゃぐちゃになることが多いからです。ではなぜ、システム論が意味を成すかというと、前回説明した、攻守の切り替えの4つのステージを思い返せば分かります。

攻守の切替時(攻→守、守→攻)は各選手が各々の判断で動くので布陣は当てになりません。しかし、安定時(セットオフェンス、セットディフェンス)は各選手が自分のポジションに戻る時間があるので 、トレーニングで共有したチーム戦術を発揮させやすくなります。つまり、セットオフェンスとセットディフェンスの戦術はトレーニング次第で改善できるし、それによって試合の主導権を握る戦い方が重要になるのです。

以上のことから、システムを見る時は、セットオフェンス時とセットディフェンス時の2つに分けて考えることが必要です。

では、システムを見るときはいつ見ればよいでしょうか。

2011年7月6日

サンフレッチェ広島のシステムに潜む機能美

今回は前々から書きたかったサンフレッチェ広島のシステムについて書いてみます。サンフレッチェ広島は、数あるJリーグクラブの中で唯一にして最も機能的で独特のサッカースタイルを築いていると僕は考えています。横浜Fマリノスの木村和司監督が、「広島には色があっていいなぁ」というような発言をしたことからもそれはうかがい知れます。では早速、広島のシステムについて考えていきましょう。


 広島のスターティングメンバー発表時のシステムは3-6-1だとされています。おおよそ左図のようなメンバーで組まれるようです。

ここから広島のシステムはボール保持時とボール非保持時に即して2つの動きを見せていきます。

まずはボール保持時、攻撃時の配置を見てみましょう。



 広島の選手がボールを奪いバックパスなどで安定した状態でポゼッションを始めたり、ゴールキックなど後方のリスタートから攻撃を始めるとき左のように各選手が動きます。

サイドの選手は高い位置へ移動し、ウィングは相手チームのDFラインまで、サイドバックはあたかも4バックのサイドバックの高さまで上がります。 するとセンターバックのところに大きなスペースが出来てしまいます。

注目は赤矢印で差したボランチの選手の動きです。2人いるボランチのうち一人が最終ラインに入り、開いた中央のスペースを埋めて、ビルドアップを助けます。
 このようにサイドの選手はワイドに広がります。ここから特徴的な広島の攻撃パターンを見てみます。

まず、センターバックの位置に入った二人は、機を見てドリブルでボールを前に運びます。

ボランチの森崎浩は相手のFWとMFの選手の間に入ってボールを引き出します。

李とムジリの2トップ下は引く動きと飛び出す動きを組み合わせながら、1トップの佐藤寿人とのコンビネーションランで突破を図ります。

注目はミキッチのドリブル縦突破です。ドリブルのコース取りがいいので是非参考にしてもらいたい選手の一人です。

森脇は中に絞ってミドルシュートなどを狙い、左サイドの山岸はカットインと裏への抜け出しで突破を図ります。


 広島のパスワークで非常に特徴的なのは、中央を通すフリックパスです。

左の図は森崎浩経由で、彼がボールを引き出しダイレクトで後方の李とムジリにボールを渡すプレーを表しています。
 あるいは2人のトップ下の李とムジリが引いてきて、そこにパスを合わせフリックで寿人を狙うプレーもよく見られます。特に李選手はフリックした後動き直して、寿人を壁役にしたワンツープレーが得意です。
 後方からのロングパスで相手チームの守備の狙いどころをぼけさせるプレーもよく見られます。

ストヤノフというロングパスの名手が抜けた後、DFラインから一気に寿人の裏を狙うプレーは減りましたが、このような長いパスプレーはピッチをワイドに使う広島ならではのやり方です。

多少パスがずれたり受け手のコントロールが上手くいかなくても、ルーズボールをしっかりと拾える仕組みになっています。なぜなら、広島の選手はワイドに且つ均等にピッチに陣取ることで、一人ひとりが使えるスペースを最大に保っているので、相手チームのカバーリングが遅れてしまうからです。


 つづいて守備時の陣形を見てみましょう。

相手チームにボールが渡った瞬間、広島の選手は左図のようにリトリートして守ります。
 すると左のようになります。

5-4-1の陣形です。

広島のDFラインはかなり低いところに設定してあります。これはJ1復帰後にあまり守備が安定しなかったことからの改善点なのでしょう。

ゴールにしっかり蓋をして守ろうという全員守備の思想です。



 ここからは向きを変えます。水色の選手は攻撃側、相手チームです。

李とムジリの2シャドーはあまり守備に熱心でない場合が多く、帰陣も他の選手と比べると結構遅かったりします。

ここから左サイドにボールを展開されたときの動きを見てみましょう。


 左サイドにボールが渡ると、各々の選手がスライドして、選手間の距離を保ち、スペースを埋めます。

すると、
 左図のようになります。左ウィングの山岸が高い位置からプレッシャーを掛け、残った4枚でDFラインを形成します。
 このように広島の5バックはどちらかのウィングの選手がツルベの動きを繰り返し、常にDFラインに4人の選手がいるように働きます。

ウィングの選手は上下動、3バックは横移動でスペースを埋めて守備にあたります。


格下相手のときには時折、左図のような配置も見られます。










まぁとにかく、広島は良くパスを繋ぐチームだし、システムの機能美も相まって見ていて非常に面白いです。個人で言うと、李のビッグブリッジや押し通るドリブル、ミキッチの縦突破、中島のドリブル時のルックアップ、寿人の動き出しと体の使い方、森脇と森崎浩のミドルシュート、森崎和の危険察知能力等、見所も満載です。


欲張りですが、もう少しトップ下が低い位置まで降りてきてビルドアップを助けながら、ローテーションしてゆったりと中央突破してくれたらいいなぁなんて思います。

関連記事→2011年サンフレッチェ広島の問題点を総括する

CWC広島出場記念→FWの動き方3 ゴールへの嗅覚とは【第一回】

2010年12月21日

バルサのセットディフェンスに見るシャビのPG化

最近のバルセロナの戦い方を見て、2010シーズンのバロンドールを受賞したバルセロナ、シャビ選手の攻守に渡る役割を考えていきたいと思います。

セットオフェンス時とセットディフェンス時では選手配置が異なるという話は「ザックジャパンの試みと攻守の切り替え1」で説明しました。

バルセロナの戦い方を見た場合も同じことが言えます。ピッチのどのゾーンでボールがプレーされているか、ボールポゼッションはどちらのチームにあるかという条件の違いで、選手配置は異なってきます。

■バルサのセットオフェンス
では下にセットオフェンス時のバルセロナの選手配置を書いてみましょう。


大まかに左のような感じになることが多いです。ペップは相手チームに合わせてポジションを変更することがあるので、いつもこのとおりではないですが。

特によく変更されるのはWGのポジションとバックラインの形成の仕方です。

ただ、CMFの位置や役割は試合毎に大きな変更がありません。



このときのシャビの役割は主にボールを配ることです。パスをちらしたり、タメを作ったり、飛び出してゴールを狙ったり、まさにゲームメイカーの役割を果たします。

同じCMFでも、バイタルエリアにするする侵入してパスを待ち構えるイニエスタより、後方に下がってまでビルドアップに参加するシャビのほうが、ボールを運ぶという意味での役割は大きいです。

■バルサのセットディフェンス
次にセットディフェンス時の選手配置を見てみましょう。このとき2つの状況を区別して考えます。1つ目はセンターラインの後ろ10メートルくらいにDFラインを引いて、相手のDFラインでビルドアップをさせる場合です。図にしてみました↓

攻撃が終わり、プレスを掛け、相手がバックパスでバルサのプレスをかわしてボールを下げたときは、左図のようになります。

このときメッシ、イニエスタ、シャビの三人はGKまで追いかけるように前へ前へプレスをかけつづけます。

もちろんWGのビジャやペドロもプレスに参加しますが、特筆すべきは慣例的にWGのポジションがもつ性格(攻撃専門で守備は怠りがち)に甘んじることなく、帰陣してサイドバックの前のスペースを埋める意識が非常に高いことです。

また、イニエスタとシャビに関しては、後ろのスペースを気にすることなくガンガン前へプレッシャーをかけに行きます。前へのプレスの意識はWGであるビジャペドロよりもイニエスタシャビのほうが高いように感じます。

では次に全員が自陣に帰陣した状態でのバルサのセットディフェンスを見てみます。

バルセロナではこのようにリトリートした際、選手自身の判断で自分が一番近いポジションを埋めるように4-4のラインを形成しているように見えます。決まりごとはこのブロックを作ることのみで、誰がどこを埋めるかはその場の判断に委ねられているようです。

まず言えることは、セットディフェンス時にメッシは守備の役割が免除されるということです。バルサがリトリートしたときはメッシは守備をしません。オフサイドポジションをふらふら歩いていたり、抜群のサッカーセンスでカウンターを狙えるポジションに突っ立っていたりします。

加えてシャビも前線に残っていることが比較的多いです。守備に優れたブスケツがボールサイドに詰め、開いている中央をイニエスタが埋めるシーンが多く見られます。シャビは浮いたポジションから、ボールホルダーの背後に忍び寄りボールをつついて奪取するプレーが好きそうです。

もちろん相応の相手を迎えるときは下のように4-1-4-1をひいて万全を期します。

イニエスタ、シャビ、ブスケツの関係は局面によって流動的に変わっているようです。

ブスケツが最終ラインに入る際はシャビとイニエスタで中央を埋めています。

そして、この形でボールを奪った際、シャビがポジションを下げる形をとって、後方のビルドアップの起点になります。他の選手がどんどんシャビを追い越すことで、相対的にシャビがポジションを下げることになるという言い方もできます。

キープ力に優れたシャビはカウンターを断念した後、ドリブルやパスを使って味方がセットオフェンスの配置につくまで時間を稼ぐことが出来るのです。

ボールを失ったら前方へ、ボールを奪取したら後方へ動く方法はバスケットボールのポイントガードの動き方に似ています

攻撃を始める際は後方でボールを受けてドリブルで相手陣内へ運び、守備を始める際は最も前方で厳しく当たり相手の速攻を予防するのがポイントガードです。必然的に活動範囲はコート全体に縦に広くなります。

またバスケのポイントガードはコート上の監督と呼ばれるらしく、まさに司令塔としての状況判断力が要求されます。

こうやって書いているとシャビはまさにポイントガードだなぁとつくづく思うわけです。

こういった他のスポーツの戦術の取り入れ方を見ていると。バルセロナが総合スポーツクラブであることの恩恵を受けているように感じます。ペップがバスケを参考にしているという情報があるわけでないので、勝手に決め付けることはできませんが、一観戦者として興味深い思いつきだったので書いてみました。




ザックジャパンの試みと攻守の切り替え2

前回はザックジャパンに全く触れずにシステム論に流れてしまいましたけど、今回こそ攻守の切り替えからザックの取り組みに繋げたいと思います。


■攻守のサイクルと実力差
前回からの引用図をさらに詳しく説明しますと↓

 この図の指し示す重要な問題はそれぞれのステージへの移行の仕方です。つまりこの図においては、文字よりも矢印が重要だと言いたいのです。

原則的には水色の矢印が示すとおりに①→②→③→④と循環するのがサッカーというスポーツです。これは育成からプロから草サッカーからバルセロナまで変わりません。(団子サッカーにはないかもしれませんが。。。)

しかし、チーム間に力の差がある場合③まで到達せずに④へ移行したり(Aの矢印)、①と②の繰り返し(Bの矢印)になってしまうこともあります。

テクニックや身体能力で劣るチームや機能していないチーム、総じて弱いチームは、③を経由しないサイクルに陥ることが度々起こります。

Aの矢印をたどり①→②→④の循環が示すサッカーの一例は、縦ポンといわれる縦に速いサッカーです。またはダイレクトプレーを重視し、個の力やコンビネーションで押し切るサッカーもこの循環をたどっています。現在のマドリーはこのスタイルのサッカーでは最強ではないでしょうか。

Bの矢印が示す①→②→①→②の循環は、よほど実力差がない限り起こりえないでしょうが、アマチュアレベルで稀にみることができます。とにかく縦に蹴っても繋がらないどころかまともにクリアすら出来ない状態に陥ります。試合中に泣き出してしまうかもしれません。

無理に③の時間を増やそうとすると、ボールロストした直後相手の②の力に自軍の④がいとも簡単に突破され失点します。つまりカウンターでやられるってことです。

したがって戦略的に攻撃時間を減らすことでゲームを支配しようとするチームが現れることになるのです。

この手のチームは非常に多いです。全世界の半分以上はこういうチームなんじゃないかなと思います。自チームより強いチームを相手にするとき、少しでも勝つ可能性を高めたいなら守備的なチームづくりをするのは当然です。

反対に③を経由できるチームとはどんなチームでしょうか。もちろん強くて上手くて速いチームです。相対的に相手チームより自チームが同等以上の力があれば①→②→③→④のサイクルを手に入れられるでしょう。

自チームより強いチームがいない場合、堂々と攻撃的に戦うことが出来ます。負ける可能性が低いのならば楽しいサッカーをしようじゃないかと。攻撃時間を増やすことで、③→④→③→④という理想のサイクルを手に入れます。ポゼッションサッカーの完成です。至上の喜びを味わえそうです。

しかし現実では、実力が拮抗した相手に挑む時でさえ守備的な戦術を取るチームが非常に多いです。なぜなら長いリーグを戦う場合や、メンバーを固定して戦う場合、ある程度戦術を固めたほうが安定した成績を残せるからです。毎回対戦相手に合わせて攻撃重視でいくか守備重視でいくか変えていては、効率のよいチームづくりが出来ません。

こういった理由でチームづくりを始める際は①のセットディフェンスから構築する監督が多いようです。

■ザックさんのチームづくり
ここでザックの言葉を登場させましょう。先日の親善試合前の合宿で選手に叩き込んだことは2つだとされています。「守備時の連動したポジショニング」「縦への意識」です。

守備時の連動したポジショニングとはつまりセットディフェンスの構築にほかなりません。全員が帰陣し守備配置を整えた段階で、つまりブロックを形成した状態で、ボールの位置に合わせて連動してポジショニング修正をする習慣をザックさんは叩き込んだわけです。

映像で見る限り、市船とかでやってそうなシンプルな戦術練習を行っていました。どういう練習かというと書籍「世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス」(宮崎隆司著)に詳しく書かれているものだろうと思われます。

縦への意識とは、守備から攻撃への切り替えにおいてよりダイレクトにゴールを目指すということです。縦へ走ることで敵を置き去りにし、縦へのパスコースを増やし、良質なカウンター攻撃を生み出しやすくする意識付けです。

上の図で言うとちょうど①と②の部分を改善している最中なのですね。“ザッケローニ氏はサッカーの攻守の切り替えにおける四つのステージに関して、一番目の守備構築と二番目の守備から攻撃への切り替えの2つを重点的に日本代表へ指導した”と書けば今までの文章は全て用なしになってしまうわけです。回りくどすぎました。。。

サッカー史に名前を刻んだ名監督は、特にアリゴサッキに代表されるイタリア人監督の多くは、クライフが率いた「ドリームチーム」バルセロナのトータルフットボールに影響を受けたと言われています。ザックさんも例外ではなく、、、という話は他で語られているので端折ります。

何が言いたいかというと、監督も選手も観客も皆、攻撃的サッカーが好きなんです。だけど、結果を残すには守備的に戦うことが最短の道であることはサッカー界では常識になっています。一観客としては、ザックさんの日本代表改革が「セットオフェンス」の領域まで進んでいくことを真に願う次第であります。

余談ですが、某スポーツニュース番組のインタビューで清水の岡崎選手が「指示が細かい」などの発言をしていました。また、ガンバの遠藤選手は「中学生でもわかる当たり前なこと・・・」とおっしゃってました。

今更「細か」くて「当たり前なこと」を指導される意味を考えた上での発言なら何も文句はありません。これらの言葉を素直にとると、ザックさんに否定的な解釈もできます。もしかしたら敢えてネガティブにも取れる表現をすることで、メディアを通して僕らにメッセージを送っているのかもしれない、なんて深読みをしてしまいました。単に番組制作側の問題かもしれません。




2010年12月20日

ザックジャパンの試みと攻守の切り替え1

来月1月に開催されるアジアカップの放映権を握った某局が、視聴率の盛り上げのために日本代表選手のインタビューを小分けに放送する番組を見てしまいました。サッカー全体の地位向上や普及のためですから文句はないのですが、自局で放送するからという理由だけであからさまな特集を組むというのは、メディア精神が感じられません。今に始まったことではないし、理想を語っても意味はないのですが。

そんな感じで斜に構えて見ていたのですが、なかなかわかりやすく面白いことを言うので、これはネタになるなという感じで今回の記事です。

■サッカーの試合中に発生する4つのステージ
ステージというか攻守の切り替えをより分かりやすく区分し、4つに分けて考えようというものです。いつの号か忘れましたが、サッカークリニックでスペイン人指導者が論じていた攻守の切り替えです。(スペインの指導者養成コースではサッカーの基本として紹介されるそうです)下図参照

通常攻守の切り替えと言われる攻撃と守備との間の移行部分は、状況によって2つの性格に分かれるってことです。

状況とは攻撃から守備に移るのかあるいはその逆か、です。

ある1チームの視点にたったとき、サッカーのゲームは原則的に、この矢印に沿うように進んでいきます。



ここからは持論です。

攻守の切り替えの移行部(最近ではトランジションという言葉が使われるそうです)は、上図の枠の色で示したとおり、攻→守は攻撃に、守→攻は守備の戦術の一部と考えます。なぜなら攻→守は攻撃視点で戦術をたてるほうが容易ですし、守→攻は守備視点で戦略をたてるほうが自然だからです。新たに図を作ったので考えてみます。下図参照。




 上の図をより具体的な言葉で置き換えてみました。

①のセットディフェンスとは安定的に敵にボールポゼッションを与えたときの守備を指します。最近よく言う『ブロックを形成した守備』 はこれにあたります。

②のダイレクトプレーはカウンターと言うほうが性格的に分かりやすいと思います。ゲームが不安定状態でボールを保持している状況を指します。

③のセットオフェンスとは安定的にボールを保持した状態での攻撃を指します。相手を敵陣に押し込んだ形でのポゼッションや横方向へのビルドアップなどがこれにあたります。

④のプレスとはゲームが不安定状態のときボールを保持していない時を指します。ボールロストして必死に取り返しに行く時などがこれにあたります。

安定不安定に関してはこちらをどうぞ
マクロつなぎ論 安定不安定1
マクロつなぎ論 安定不安定2


■セットオフェンスとセットディフェンス
攻守の切り替えを考える前に攻撃と守備について考える必要があります。上の図で言うならセットオフェンスとセットディフェンスです。(これらは自分が分かりいいように作った言葉です。)

ポジショニングという観点から見て、攻守の切替時(上でいう②と④のとき)は各選手のポジショニングは8割以上各選手の瞬間の判断に委ねられると言っていいかもしれません。攻守交替が起きたときに、「お前はここにいろ」とピッチ外から指示することは難しいからです。ゲームが不安定なときにゲームは動きます。そんなときは冷静に周りを見て判断する時間的余裕はありませんから、選手自身の経験や勘をもとに行動が起こされます。このため、ピッチを上から見ると②や④時には選手配置がぐちゃぐちゃになります

反対に①や③のときは②や④のときとは違いポジションを修正するための時間的余裕が生まれます。選手はより均等な距離を保つようなポジショニングを心がけ、俯瞰してみると綺麗に並んで見えるようになります。よって、①や③のときはあらかじめトレーニングしていた戦術を遂行しやすくなります。こういう理由から①や③を「セット」された攻撃あるいは守備と呼んでいます。CKやFKをセットプレーと呼ぶことと同じ考え方です。

そしてセット状態で組まれた戦術は攻守交替時にも威力を発揮します。

セットディフェンスにおける課題は、失点しないようにしっかり守ることから始まり、いい形でボールを奪い素早い攻撃につなげることへシフトしていきます。

セットオフェンスの課題は、簡単にボールロストしない攻撃の組み立て、攻撃を完了させるための崩しを経て、相手のカウンターを許さず、ボールを失っても相手が苦しい体勢から攻撃を始めなければならないように後手を踏ませる攻撃へシフトしていきます。


こういった諸事情から個人的にシステムを語るときは、攻撃時のシステムと守備時のシステムを分けて考えています。

例えばバルサなら攻撃時は3-3-3プラス1(アウベスのことです)、守備時は4-1-4-1というふうに、スタメン発表される形式上の選手配置をもとにシーン別でのシステムを考えるわけです。

なんだか思ったより長くなってしまったというか寄り道しすぎてしまったので続きは分けて書きたいと思います。

つづき→ザックジャパンの試みと攻守の切り替え2



2010年10月19日

守備 サイドでの2対2

今回は2対2 サイドの守備を考えます。

4-4-2同士の攻防ではサイドでの覇権争いが重要になります。

左図の赤丸で囲まれた状況を考え、対応すべき方策のいくつかを挙げたいと思います。

左の図では黄色丸のチームが守備側、赤青の人型が攻撃側です。



今は攻撃側の右サイドバックがボールを持ち、右サイドハーフへの縦パスを狙っています


黄色チームの左サイドバックはオフサイドラインを形成するためこの位置にポジショニングし、その前の左サイドハーフはブロックを作るようにして、この位置に構えています。

縦パスが入ったところから、黄色の2人の守備陣の動きを見ていきます。





まず一般的に考えられるのが、マンツーマン的なバランスを維持しながら寄せるという方法です。

1対1で勝てると見込める場合や相手の攻撃のコンビネーションが悪い時は有効です。

小学生でもできる方策です。考えるべきことがはっきりしているのでボール際の攻防に集中できます。

このあとに考えられる展開はどんなものがあるでしょう。


攻撃側は7割くらいの確率でオーバーラップを仕掛けてくるでしょう。


このとき、マンツーマンの意識が強すぎると左のようにサイドハーフが長い距離を移動してカバーリングに回ることになります。

こうすると、サイドハーフの選手は疲れます。

サイドハーフの選手はカバーリングの為に味方と敵の合わせて2人分走るコースを迂回せざるを得なくなります。すると相手のサイドバックの選手にボールが渡ったときに、寄せ切れないことがあります。

マッチアップを崩さないという意味ではこのほうがいいのですが。


次はよく言うスライドってやつです。

黄色の守備2人がズレることでマーク対象をスイッチします。

こうすると2人で走る距離を等分できますし、攻撃側のサイドバックにボールが渡った際に、より近い位置まで寄せることができます。

ただし、スピードの伴ったオーバーラップに対してパス交換が完璧に行われると置き去りにされる可能性があります。また、マーク対象をスイッチする瞬間ボールホルダーがフリーになるので、上手い選手だとその一瞬を逃さずに打開を図ってきます。


以上サイドの2対2からのオーバーラップに対する守備でした。現在では後者の方法が取られることが常識となっています。

つぎは少し戻って、前段階で他に打つ手はないか考えます。


よく言われるのが「囲んで奪え」ということです。

サイドバックが縦を切り、サイドハーフが中を切るようにして近くまで寄せていき、タッチラインと挟むようにしてボールを奪います。

全力ダッシュで寄せないとこの状況は作れません。

ボールホルダーが明らかに下手な場合や、パスのズレなどでボールホルダーが体勢を崩している場合は有効です。


ではボールホルダーが上手い場合はどうなるかというと。


簡単に後ろにはたかれ、サイドを変えられるか、勢い良く寄せた分バイタルエリアを空けてしまうので危険なパスを出されてしまいます。

ボールサイドだけ性急な守備をすると他の選手(ここでは中央や逆サイドの選手)と連携が取れずにスペースを空けてしまいます。

これを繰り返していると守備側は本当に疲れます。やられている感が募っていき試合終盤にトドメを刺される可能性が高まります。


また、ドリブル突破されることも考えなければなりません。

寄せていった分、かわされた後のスペースが大きくなり、相手に余裕を与えてしまいます。

奪えれば良いが奪えない場合ピンチを招くというリスキーな守備が、この「囲んで奪う」です。







では上記以外の守備の方法を考えてみましょう。状況を最初の段階に戻して考えます。

この状況からサイドハーフが相手のサイドハーフに寄せます

サイドバックの選手はポジションを下げるようにカバーリングに入ります。

すると、この状態からは、相手がオーバーラップしてきてもスライドせずに対応でき、縦への突破もカバーリングによって対応できることがわかります。

また、ダッシュして寄せる必要がなく、ゆっくり寄せていけばいいので、中央や逆サイドの味方との連動も簡単です。


この方法で守備をする限り、サイドにボールが展開される度にDFラインを下げざるを得なくなります。しかし、これはゾーンディフェンスの目的に適っています。これを繰り返すことで相手の攻撃のスピードをコントロールし、結果的に自陣ゴールラインと味方DFラインの間を狭め、相手に活用できるスペースを与えないことで決定機をつくらせないことができます。加えてGKの助けも得られます。

理想としてはこの状態から左のように、ボールホルダーに縦にドリブルさせ2人で追い込んで奪えるといいです。

サイドバックを余らせる、あるいはサイドバックにスペースを守らせることで、サイドの深い位置を攻略されることを未然に防ぐ方法です。

トップレベルの試合で守備時にサイドバックの選手がなにもしていないように見えるのはこのせいです。



以上サイドの2対2を見てきました。最後に説明した方法はプロリーグで頻繁に見られるのでチェックしてみてください。




2010年10月17日

守備について 4-4-2のサイドハーフ

前回は4-4-2の守備においてリトリート時と前プレ時に分けてちょこっと整理してみました。
今回はDFラインを中間地点に引いた場合のSHの動き方について考えます。

下の図のような状況で、赤丸で囲まれた二人(FWと右SH)のうちどちらがボールホルダーに寄せるべきかという問題なのですが、明確な答えはありません。 誰が行くべきかはチームの方針や相手チームとの力関係によって変わるからです。
なので、ここでは避けたいプレーを考えてみます。





←の図ではFWがプレスに行っています。しかし、簡単に中に戻されてしまいました。逆サイドのFWは反応していません。

これではプレスに行った意味はなくなってしまいます。FWが動いた分だけスペースを相手ボランチに与えてしまいます。






次はSHが寄せた場合です。ボールホルダーに寄せても、パスコースを空けたままだと、簡単に繋がれて相手にゾーンを上げさせてしまいます。

連動が大事です。
上記の問題の回答としてはこんな方法もありです。

ボールホルダーに寄せずに相手のSBにドリブルさせることで、時間をかけさせます。ドリブルして近づいてくる間にパスコースを切りながら誰かが寄せに行きます。

この場合はFWが寄せに行くのがいいでしょう。

後方の選手が連動して動かない場合は無理にアプローチに行かず現在のポジションを守ることも大切です。つまり、スペースを守る選択をするということです。

SBをビルドアップの起点にするチームを相手にする場合、自チームのSHとFWの動きが守備の第一歩目になります。

SHの選手にとって、自分がどう動くべきかは周りとの連携にかかってきます。

赤線で結んだ隣同士の選手の動きを把握しながら守備のポジションどりを取ることが大事です。

そのために、常に周りを見る必要があります。

アプローチに行く前には必ず首を振って、後方の味方が連動しているか確認するといいでしょう。特にボールの移動中に首をふることは攻守両面においてとても役に立ちます。


あとは監督の守備方針に従いましょう。

前回から引き続き、友人からの依頼で、4-4-2のシステムでの守備時のSHの動き方について考えてきたんですけど、書いている本人が4-4-2でのプレー経験が少なく、参考になる書物もないので、試合観戦から得られた情報を元に書いてみたんですが、間違い等ありましたら、遠慮なくコメントなりいただけると嬉しいです。

次→サイドでの守備 2対2




2010年10月16日

守備について 4-4-2

今回は4-4-2システムについて書きます。自分で書くほどのものではないことはわかりつつ、日本には一般論としてシステムや守備組織について書かれた優れた書物がないことを嘆いて、(あと友人に頼まれたこともあって)書いてみます。

今回は4-4-2のシステム同士がぶつかった時のことに限定して考えます。

左図のように赤青の人型が攻撃側を示し、黄色の丸が守備側を示すことにします。





まず、守備側について考えます。守備をするときは、DFラインをどこに設定するかを最初に考えます。そこで、始めにDFラインをペナのラインに引いてリトリートして守るときのことを考えます。
ペナの幅にサイドの選手を置いて、均等にスペースを埋めるように3ラインを築くのが一般的です。このように中央を固め攻撃をゴールから遠ざけます。

この際、サイドのスペースを空けてしまいます。必然的に相手にサイドのスペースを使わせてしまう現象が生まれます。

ボールが赤丸のゾーンに動かされたら、全体でスライドして数的同数か優位をつくるようにしてボールを奪う必要があります。

つまり4-4の2ラインで守る時、相手に赤丸のゾーンに侵入されることは、ある程度前提として考えなければなりません。

次に相手が攻撃時に取りうる選手配置について考えます。
Aは4-4-2のサイドの選手がひとつずつポジションを上げ2-4-4になっている図です。

4バックのシステムでは攻撃時に基本的に両SBは高い位置を取ってビルドアップを開始します。こうすることで前述のサイドのスペースを有効に活用することができます。

逆にSBが高い位置を取れない場合、ビルドアップ時に相手の前プレをうけやすくなります。

この攻撃の形は4-4-2を採用するJリーグのチームの多くが取っています。両SHがより中央に絞って2-4-2-2の形も頻繁に見ることができます。
Bは中盤の4人がダイアモンドに位置した形です。南アW杯のスペイン代表などがこの形でした。

これはより中央に人数を割くことでボールポゼッションを高め、両SBにより多く攻撃参加させる形です。

中盤の選手が相手よりもボールキープ力に優れていればこの形が機能するはずです。
B’は上のBの形に対してよりサイドでの支配力を強力にした形です。南アW杯でスペイン代表がポルトガル代表相手に見せた形です。

この形ではゴール前に人がいなくなるので、速攻ができません。ゴール前に人を走りこませる時間を稼ぐために遅攻を優先します。

ゴール前を固めて守備をするチームに対して、まずサイドに人をかけて攻略することでゴールチャンスを創造します。
Cは両SHを高い位置にあげた形で、4-2-4になっています。

この形から効果的な攻め方は、SBを経由して速いクロスを上げる方法です。相手ゴール前に人数を増やし、そこに素早くボールを供給することでゴールチャンスを増やします。また、こぼれ球もゴール付近で拾えるのでセカンドチャンスも狙え、相手陣内深いところからのプレスも可能です。

この陣形では中盤で数的不利になるので、なるべく中央にはボールを通さずに、サイドから迂回して攻める必要があります。



ちなみに左のC’は4-3-3の形ですが、Jリーグ10シーズンで名古屋や清水の取る形です。

彼らはCのシステムと同じようにパスを外から迂回させて展開し、早めにゴール前にクロスを送ります。

こういった戦い方では必然的にSBが攻撃の主役になります。ザッケローニ氏が日本には優れたSBが多いと発言した理由もよくわかります。Jのチームの戦い方はSBが目立つように設計されているのです。

じゃあ次は最初に説明したDFのシステムと2-4-4を重ねてみます。

すると、守備側のボランチ二人が余ります(赤丸の二人)。その他の選手は見事にマンマークにハマります。これが4-4-2同士では選手の個々の能力が試合を左右しやすいと言われる所以です。

守備側はボラの2人がフリーなので、攻撃側としては中央へのクサビのパスはインターセプトされるか受け手のところで囲まれて奪われる可能性が高まります。

よって必然的にサイドにボールを回すことになります。4-4-2同士でサイドの攻防が多いのはこのせいです。特に日本では香川のように中央で狭いスペースで前を向ける選手が少ないので、サイドに展開せざるを得ません。

もう一度上の図を見ると、攻撃の選手の中で比較的相手ゴールに近く、比較的フリーな選手はやはりSBの選手です。よってSBにボールを展開してそこからクロスを入れるという攻め方がやはり効率がよさそうです。

次にFWが守備に参加しない場合を考えます。
この時、赤の四角で囲まれた中央のゾーンで守備側の数的不利が発生します。

この時の中央の数的不利感が、SHの選手の意識を中央に寄せてしまいます。すると下図の状態が生まれます。

SHが中央の守備に加担することで、相手のSBをより高い位置まで侵入させてしまい、守備全体が後手に回ります。

良い守備は守備者各個人のやるべきことがはっきりしている状態で実現可能です。対応すべき対象が一つに絞られている状態のことです。

ボールか、スペースか、人か。人に付くならば誰に付くべきか、この判断が早い段階で出来れば、いい守備が実現していると言えます。

左の例では、SHが中央のカバーリングに行けばよいのか、それとも相手SBにつけばいいのか迷ってしまいます。

このように選手が2択に追い込まれてしまうのは悪い守備です。
話は飛びますが、守備側のSHを内側に引き止めることでサイドを深く攻略することを、人為的に行うシステムが、前述のBです。←

守備側のMFのラインより手前に攻撃側の人数をかけて安全なパス交換を実現します。これによって空けたサイドのスペースを攻撃的なSBに狙わせます。

これをされると、守備側としてはボールポゼッションを与えてしまい、サイドも深くえぐられるのでやられてる感が強まります。しかし、最終的には 中央で跳ね返せれば失点しないので落ち着いて対応すべきです。

上述のように守備側にとって、味方ボランチの前で自由にパスを回されると、後手に回ってしまいます。

よってFWには厳しく守備にあたってもらうべきです。←通常このように一人がCBにプレスをかけもう一人がパスコースを切りながら中盤の守備を助ける方法が考えられます。

また、相手ボランチがボールを持った際、FWが後ろからダッシュして寄せると、ボールを簡単に奪えることがあります。ぜひ、FWには守備を手伝ってもらいましょう。

次に前線からの守備を考えます。
←のように前線から守備にあたる場合、まずFWが相手CBにプレスをかけて相手のSBにボールを持たせるところから始まります。

なぜなら、SBはタッチラインを背にしているためパスコースが少なく、 サイドに追い込み易いからです。

前線から守備にあたる場合、基本的にはマンツーマンでいきます。

一人でもマークを外してしまうと、その後カウンターを喰らい、前から行く意味がなくなるからです。

方法としては2つ考えられます。

1 後ろから押し上げてスライドしながらマンツーマンで付く。

2 FWが追い込むようにチェイスして、後ろで網にかける。

左は 1の方法です。

前線で追い回す味方の努力を徒労に終わらせないために、後ろの選手は連動してボールサイドに寄せていかなければなりません。

そのためにはどこからプレスに行くか、誰がどのように動くかあらかじめ決めておく必要があります。

4-4-2同士の場合、必然的に両チームの選手がピタリと重なるので、この方法でマンツーマンディフェンスを組む方法が簡単です。
左は2のFWに追い込ませるやり方です。

この方法はFWに守備面において戦術的な負担と体力的な負担を強いることになります。FWには頭のいいチェイシングが必要ですし、 それを可能にする走力も必要です。この方法ではFWの体力的消耗が激しくなるので、試合後半にFWの交代が必要になります。

FWが相手のCBとSBの両方を看ます。まずCBにボールを持たせて、CBからSBに横パスをさせます。

パスコースを切りながらSBを追っていき、左図になったら完了です。

このへんの話は下のビデオで語られています。

こうすることで、FWには大変な負担を強いる反面、相手の攻撃を後ろで待ち構える味方の網にかけることが可能になるので、MF以下の選手はバランスを崩さず、体力も抑えて守備ができます。



そのかわり、FWが相手のビルドアップのパスワークでかわされてしまうと、←と同じ状態になり後手を踏むので注意が必要です。












以上、守備ラインを自陣深くに引いた場合と前線から守備にあたる場合を考えてみました。その中間地点に守備ラインを引いた場合どのように守備にあたるべきかは、チームの方針や相手チームとの力関係によって変わります。監督やボランチCBの選手を中心に話しあって、チームの意思を統一することが必要不可欠です。

まとめ 4-4-2で守備時に気をつけることは、前線からプレスを掛ける場合誰がどのように追うのか決めること。リトリートする場合はMFラインの前のスペースを自由に使わせないこととサイドのスペースにボールを運ばれた場合どのように守備をするか決めることです。

次→4-4-2のサイドハーフの守備