footballhack: 試合分析法2 システムの組み合わせ、噛み合わせ

2011年10月30日

試合分析法2 システムの組み合わせ、噛み合わせ

前回はサッカーのゲーム構造の基礎理解について書きました。今回はそれを踏まえて、システムの噛み合わせや選手配置の組み合わせを考えていきます。

システムというと最初に思い浮かぶのは、試合前のスタメン発表時の表ではないでしょうか。4-4-2だとか4-3-3だとか、右が誰で左が誰のような。単刀直入に言うと、これらはあまり意味がありません。試合中は選手配置がぐちゃぐちゃになることが多いからです。ではなぜ、システム論が意味を成すかというと、前回説明した、攻守の切り替えの4つのステージを思い返せば分かります。

攻守の切替時(攻→守、守→攻)は各選手が各々の判断で動くので布陣は当てになりません。しかし、安定時(セットオフェンス、セットディフェンス)は各選手が自分のポジションに戻る時間があるので 、トレーニングで共有したチーム戦術を発揮させやすくなります。つまり、セットオフェンスとセットディフェンスの戦術はトレーニング次第で改善できるし、それによって試合の主導権を握る戦い方が重要になるのです。

以上のことから、システムを見る時は、セットオフェンス時とセットディフェンス時の2つに分けて考えることが必要です。

では、システムを見るときはいつ見ればよいでしょうか。

 一つにゴールキック時があります。このときほとんどのチームが守備のシステムを組むことが多く、またアウトオブプレー時間なので、ゆっくりと布陣の様子を観察することができます。攻撃時のシステムはビルドアップをしている時に見ることができます。DFラインでボールを回している時は時間的余裕もありますし、そのチームがどこから攻めようとしているかが、はっきりとわかるからです。また、この時ボール非保持チームはセットディフェンスのシステムを組んでいます。

攻撃時と守備時のシステムを把握したら、それをホワイトボードでもノートでも良いので、平面図に表してみます。すると、選手が重なるところと重ならないところが浮かび上がってきます。また、配置の偏りや守備の穴、攻撃のポイントなども分かってきます。こうすることで2チームのシステムの噛み合わせを確認することができます。相手チームの穴を自チームの強みで突いていくのが、システム論の狙いです。

この平面図に各選手の動き方や、パスの通り道を書き入れていくと、チーム内でのコンビネーションやチームの特徴が現れてきます。これがシステムの組み合わせです。選手配置の組み合わせを最適化することで、チームの総合力を最大化し、ゲーム支配を試みようとするのが、システム論の目的です。

システムは選手の能力を引き出し、選手が効率的にプレーするためにあります。システムに人を当てはめるのではなく、人ありきでシステムを組みます。

その際に重要なのは、スタートポジションプレーエリアという考え方です。スタートポジションを変えるというのは、システムを変えることで初期のポジショニングを強引に修正してあげるという意味を持ちます。これにより、より少ない運動量で効率よくプレスに行けたり、空いたスペースに動きながら侵入出来るようになることが、往々にしてよくあります。

このような意図を持って選手交代やシステム変更、チームの構築を進めていけば、合理的で強いチームが出来上がります。

一つの例に4-4-2を取り上げた記事があるのでそちらが参考になるかと思います。→守備について 4-4-2

システム論、戦術論に関しては右の書籍4‐2‐3‐1―サッカーを戦術から理解する (光文社新書)に基礎的な考え方がありますので、詳しく知りたい方はこれを読むのがよろしいかと。

次→試合分析法3 選手の特徴を理解する

0 件のコメント:

コメントを投稿