ついにモウリーニョがやってくれました!バルサ相手に前プレを敢行するというポゼッション封じ。以前に書いたようにバルセロナと内容の面で互角以上に戦うには前線からプレッシャーをかけるしかないと僕は思っています。昨年、前プレを敢行したビジャレアル、バレンシアはバルサ相手に互角の戦いをしたと個人的に見ています。
昨シーズンのクラシコでのモウリーニョ・マドリーは、ラインを高めに設定しつつコンパクトな陣形を保ちハーフウェイラインあたりからプレッシャーをかけるという戦法で挑みました。この戦い方はCLでコペンハーゲンがバルサを苦しめた戦い方と似ています。しかし、クラシコ一戦目は大敗北。そこで2戦目からはペペをアンカーに4-3-3で戦う方式にしました。狙いはバルサの中盤のカルテットに対してマンマーク気味に対応することで中盤の攻防を制圧することでした。この試みにはある程度成功してコパ・デル・レイでは見事優勝を成し遂げることとなりました。
しかし、昨シーズンの戦いぶりでは真の意味でバルセロナに勝ったとは言えないと思います。試合の主導権をバルサに渡すことになるので、それはそのままバルセロナにバルセロナのサッカーをさせてしまうことと同義だからです。
2011年8月19日
2010年9月25日
神戸対C大阪100925雑感
神戸4-4-2
セレッソ4-2-3-1
0-0で終了した試合だが、個人的には神戸の勝ち試合だったと思う。
セレッソはビルドアップの時両SBを高い位置に上げて、両CBと2人のボランチとトップ下が一人降りてきてつなごうとする。
それに対して神戸はFWとSHが高い位置からプレッシャーをかけてセレッソの最終ラインに余裕を与えない。これが功を奏してセレッソは中盤でボールを失うか蹴るしかなくなっていた。
神戸がボールを持ったときはSHが高い位置を取り4-2-4のような形になり、中盤を省略するか、サイドから迂回してボールを運ぶことで中盤の数的不利を避けていた。
一方セレッソは4-5-1のようなブロックをつくり、ゾーンで守る方法を取っていた。ゾーンDFの弱点である「マークの受け渡しの際のギャップ」を神戸にうまく突かれていた。
神戸の狙いは前線で数的同数の状況をつくり、そこへ早めにボールを入れたり、サイドに起点を作ってそこから放り込んだりすることのようだった。結果ルーズボールを前線でよく拾えるようになり、ボールロスト後も前線からのプレッシャーでセレッソに攻撃の起点をつくらせないことに成功していた。
また、神戸の両SHがセレッソの両SBを押しこむ形がつづき、セレッソにビルドアップを許さなかった。押し込まれたセレッソは陣形が収束しており、簡単にパスを回せるポジションどりが出来ない状況に追いやられていた。この神戸の戦略は、前半に2度ほどセレッソに攻撃の形を作らせたのみで、セレッソの攻撃力分断に絶大な効果を発揮した。
セレッソ注目の若手2人(乾、家長)は本当にボール扱いが上手でこの二人とマルティネスが絡んだときはアルゼンチンのような攻撃を見せていた。
一方もう一人のトップ下の清武は活動量が素晴らしい。守→攻の切り替えが速く左サイドを駆け上がることで、神戸の右サイドバックの裏をつきセレッソの攻撃の起点になる場面が何度かあった。攻撃のコンビネーションにおいても清武の動いたあとのスペースを家長と乾が使うケースが多いように思う。
乾は代表に呼ばれるほど“能力”が高く、時に人を魅了するようなプレーを見せるが、時に簡単にボールを失ってしまう。これは彼が運任せにプレーしているような印象を与える。ボールコントロールは正確で2タッチ目の意識も高く、常にマーカーの先手を打ってボールを動かしていこうというプレーは申し分ない。しかし、ボールを動かしていった先に困難が待ち受けていると、その困難を打ち負かそうとするため、そこで勝てないと、簡単にボールロストしているように見えるのだと思う。流れに身を任せてプレーするのは良いことだが、その流れの先に大きな滝つぼが待ち受けているのが見えた際は、流れを一度断ち切り、違う方向への流れを生み出す選択をしなければならない。球際の戦局を勝ち抜くスキル以上にチームとしてのつなぎの流れを理解する能力が重要なのです。彼とマルティネスとの差はそこにある。
家長はシュートをするためにドリブルをしていない。そのことはリポーターの方もおっしゃっていたが。彼はプレーの選択の優先順位がボールを取られないこととマーカーの逆をつくことになっている。そのため、蹴球計画さん的に言うとスラローム的なプレーが目立つ。シュートの意識は意識を変えるだけではよくならない。ドリブルのコース取りやトラップの方向を変えることでシュートの意識も改善する。
ポポとボッティ:神戸はこの二人で成り立っていると言っても過言ではない。攻撃のみならず守備での貢献度も非常に高い。球際の強さ上手さ、ファウルのもらい方、ファウルのやり方、ミドルシュートやサイドチャンジのパスなど全能的な活躍でゲームの支配権を相手に渡さなかった。大久保が戻ったらこのトライアングルで魅惑のサッカーを展開してくれそう。
吉田と茂木:神戸の両FWは個人的に良いと思う。2人とも2タッチ目のボールタッチの意識がよく上手くはないが賢い印象を受ける。
後半は張り替えられてすぐの芝生が痛みに痛み、イレギュラーバウンドするボール扱いに両チームが悩まされる展開になった。
後半半分くらい過ぎるとセレッソが交代。家長&播戸outで小松&永井in。この結果セレッソの布陣が4-2-2-2みたいになる。神戸の4-4-2の重ねるとぴったりと重なってマンツーマン的な戦いになる。
この交代が本当に疑問でクルピはセレッソの選手が神戸の選手に1対1で勝てると踏んでこういう交代をしたのだろうか。答えを知っている人がいたら教えてください。
この交代で神戸はチャンス。乾と清武の守備意識の低さを利用してますますサイド攻撃がしやすくなった。神戸の両SB近藤と石櫃がガンガン駆け上がり、直線的なランニングからゴール前に人数を増やしシンプルに放り込むという攻撃でチャンスを作った。とても効率の良いサッカーをしていた。
一方セレッソは前線の選手のドリブル突破が決まればチャンスが作れるが、それを止められると逆襲という形で非常に悪い流れだった。清武と乾の運動量が落ちた終盤、その守備の穴埋めをしたのは途中出場した小松だった。かれの良さは高さだと思うのだが、自陣近くで守備をする彼がゴール前に到達するまでに大変時間がかかり、彼にロングボールを送るということが全く出来ていなかった。本当に謎の交代だった。理由を知りたいです。誰か教えてください。
いろいろ省略して言うと、この試合はマルティネス&アマラウ対ボッティ&ポポという展開になった。ますますわるくなるピッチコンディションの中、ピッチ上で頼りになるのは彼らだけで、彼らがボールに絡んだときに戦局が動くということが往々にしてよくある。結局Jリーグでゲームを支配するのはいつも外国人選手になってしまうのがとても悲しい。日本の若い選手は彼ら外国人選手からいろんなものを吸収しなければならない。
走り書きしたんで間違いありましたら教えてください。
セレッソ4-2-3-1
0-0で終了した試合だが、個人的には神戸の勝ち試合だったと思う。
セレッソはビルドアップの時両SBを高い位置に上げて、両CBと2人のボランチとトップ下が一人降りてきてつなごうとする。
それに対して神戸はFWとSHが高い位置からプレッシャーをかけてセレッソの最終ラインに余裕を与えない。これが功を奏してセレッソは中盤でボールを失うか蹴るしかなくなっていた。
神戸がボールを持ったときはSHが高い位置を取り4-2-4のような形になり、中盤を省略するか、サイドから迂回してボールを運ぶことで中盤の数的不利を避けていた。
一方セレッソは4-5-1のようなブロックをつくり、ゾーンで守る方法を取っていた。ゾーンDFの弱点である「マークの受け渡しの際のギャップ」を神戸にうまく突かれていた。
神戸の狙いは前線で数的同数の状況をつくり、そこへ早めにボールを入れたり、サイドに起点を作ってそこから放り込んだりすることのようだった。結果ルーズボールを前線でよく拾えるようになり、ボールロスト後も前線からのプレッシャーでセレッソに攻撃の起点をつくらせないことに成功していた。
また、神戸の両SHがセレッソの両SBを押しこむ形がつづき、セレッソにビルドアップを許さなかった。押し込まれたセレッソは陣形が収束しており、簡単にパスを回せるポジションどりが出来ない状況に追いやられていた。この神戸の戦略は、前半に2度ほどセレッソに攻撃の形を作らせたのみで、セレッソの攻撃力分断に絶大な効果を発揮した。
セレッソ注目の若手2人(乾、家長)は本当にボール扱いが上手でこの二人とマルティネスが絡んだときはアルゼンチンのような攻撃を見せていた。
一方もう一人のトップ下の清武は活動量が素晴らしい。守→攻の切り替えが速く左サイドを駆け上がることで、神戸の右サイドバックの裏をつきセレッソの攻撃の起点になる場面が何度かあった。攻撃のコンビネーションにおいても清武の動いたあとのスペースを家長と乾が使うケースが多いように思う。
乾は代表に呼ばれるほど“能力”が高く、時に人を魅了するようなプレーを見せるが、時に簡単にボールを失ってしまう。これは彼が運任せにプレーしているような印象を与える。ボールコントロールは正確で2タッチ目の意識も高く、常にマーカーの先手を打ってボールを動かしていこうというプレーは申し分ない。しかし、ボールを動かしていった先に困難が待ち受けていると、その困難を打ち負かそうとするため、そこで勝てないと、簡単にボールロストしているように見えるのだと思う。流れに身を任せてプレーするのは良いことだが、その流れの先に大きな滝つぼが待ち受けているのが見えた際は、流れを一度断ち切り、違う方向への流れを生み出す選択をしなければならない。球際の戦局を勝ち抜くスキル以上にチームとしてのつなぎの流れを理解する能力が重要なのです。彼とマルティネスとの差はそこにある。
家長はシュートをするためにドリブルをしていない。そのことはリポーターの方もおっしゃっていたが。彼はプレーの選択の優先順位がボールを取られないこととマーカーの逆をつくことになっている。そのため、蹴球計画さん的に言うとスラローム的なプレーが目立つ。シュートの意識は意識を変えるだけではよくならない。ドリブルのコース取りやトラップの方向を変えることでシュートの意識も改善する。
ポポとボッティ:神戸はこの二人で成り立っていると言っても過言ではない。攻撃のみならず守備での貢献度も非常に高い。球際の強さ上手さ、ファウルのもらい方、ファウルのやり方、ミドルシュートやサイドチャンジのパスなど全能的な活躍でゲームの支配権を相手に渡さなかった。大久保が戻ったらこのトライアングルで魅惑のサッカーを展開してくれそう。
吉田と茂木:神戸の両FWは個人的に良いと思う。2人とも2タッチ目のボールタッチの意識がよく上手くはないが賢い印象を受ける。
後半は張り替えられてすぐの芝生が痛みに痛み、イレギュラーバウンドするボール扱いに両チームが悩まされる展開になった。
後半半分くらい過ぎるとセレッソが交代。家長&播戸outで小松&永井in。この結果セレッソの布陣が4-2-2-2みたいになる。神戸の4-4-2の重ねるとぴったりと重なってマンツーマン的な戦いになる。
この交代が本当に疑問でクルピはセレッソの選手が神戸の選手に1対1で勝てると踏んでこういう交代をしたのだろうか。答えを知っている人がいたら教えてください。
この交代で神戸はチャンス。乾と清武の守備意識の低さを利用してますますサイド攻撃がしやすくなった。神戸の両SB近藤と石櫃がガンガン駆け上がり、直線的なランニングからゴール前に人数を増やしシンプルに放り込むという攻撃でチャンスを作った。とても効率の良いサッカーをしていた。
一方セレッソは前線の選手のドリブル突破が決まればチャンスが作れるが、それを止められると逆襲という形で非常に悪い流れだった。清武と乾の運動量が落ちた終盤、その守備の穴埋めをしたのは途中出場した小松だった。かれの良さは高さだと思うのだが、自陣近くで守備をする彼がゴール前に到達するまでに大変時間がかかり、彼にロングボールを送るということが全く出来ていなかった。本当に謎の交代だった。理由を知りたいです。誰か教えてください。
いろいろ省略して言うと、この試合はマルティネス&アマラウ対ボッティ&ポポという展開になった。ますますわるくなるピッチコンディションの中、ピッチ上で頼りになるのは彼らだけで、彼らがボールに絡んだときに戦局が動くということが往々にしてよくある。結局Jリーグでゲームを支配するのはいつも外国人選手になってしまうのがとても悲しい。日本の若い選手は彼ら外国人選手からいろんなものを吸収しなければならない。
走り書きしたんで間違いありましたら教えてください。
http://silkyskills4beautifulfootball.blogspot.com/2010/09/blog-post_5896.html神戸対C大阪100925雑感
2010年9月12日
FCBarcelona v Hercules戦評 20100912 走り書き
大事件が起こった。バルサが開幕2戦目でホームで完敗。こういう試合を見るのもドキドキする。
そして、見つけてしまったバルサのプレッシングの仕組みとその弱点。長くなりそうなので何度かに分けて書く事にします。とりあえず戦評から。
ではかるく前半から。あまり真面目に見ていなかったのでなんともいえないけど、まず言えたのは、シャビ不在の穴の大きさとマスチェラーノのポジショニングの下手さ。
サッカーマガジン特別号「スペイン革命 ~世界最強の秘密~」にスペインサッカーのティキタカ(小気味よくパスを回して攻めることの総称らしい)について少しのヒントが書いてあり、シャビのインタビューからもティキタカのエッセンスがうかがい知れる。シャビいわく「パスの方向やドリブルを使って時間とスペースを調整することで味方が正しいポジショニングをとるように促し、攻撃のスピードをコントロールすることで不用意にボールロストする危険を少なくし、攻から守への切り替えを素早くできるような陣形を保つ。」ことがスペイン流あるいはバルサ流フットボールの秘訣らしい。
エルクレス戦前半、このティキタカの心得を会得したティキタカマスター(シャビ)不在の穴は大きく、代役をイニエスタが担おうとしていたが、なにぶん難しいプレーが多くなり、リズムが生まれなかった。イニエスタのいっこいっこのプレーはめちゃうまかったけど。
エルクレスは4-4-2の3ラインをしっかり引き、バルサのビルドアップ時は前からプレス、プレスをかわされたらリトリートして中央に守備陣形を収束させるようにして、全員が自陣に戻り、ブロックを形成して守っていた。2トップがハーフラインから10mくらい自陣側まで戻るというドン引きスタイルだった。
エルクレスの守備の意図は、プレス時もリトリート時もサイドを空けて、ひたすら中央を守ることにあるようだった。サイドにボールが出てから守備陣形を同サイドにスライドして、サイドで数的優位をつくり囲んでプレッシャーをかけるのが狙いだ。サイドバックのビルドアップ力を軽視し、さらにクロスも中を固めれば大丈夫だろうという考えのようだ。
バルサは効果的なサイドチェンジが出来ずに、エルクレスの守備陣形を横伸ばしに出来なかったので、結局中央も効果的に崩せなかった。
そこで、値千金の先制ゴールはエルクレス側のFKからパラグアイ人のバルデス選手が生んだ。バルサ守備陣の集中力が欠如していたのは明らかだった。ちなみにバルデス選手は後半途中退場するまで、精力的にピッチを駆け回り、攻撃ではキープ力を生かして起点になり、守備ではバルサのCBとボランチの辺りにプレッシャーをかけていた。素晴らしい働きでした。
で、マスチェラーノなのだが、彼はチームがボールポゼッションしているとき、ひたすら動いてパスコースを作ろうとしていた。動きすぎてスペースを潰してしまい、ボールを受けたときには体勢が悪くなるので、視野も悪くなり、当然ボールタッチが増えてしまい、セントラルMFやWGの選手に効果的に配給するという役割があまり出来ていなかった。
さらに言うと、攻から守への切り替え部分もチームの意図とはすこしズレていたみたいで、マスチェさんはリトリートの意識が少し高く、結果エルクレス攻撃手のドリブル突破を、数的優位であるにもかかわらずプロフェッショナルファウルで止めることになった。正直、前半で二枚イエローを貰って退場してもおかしくなかった。そのFKから失点した。
このポジションなら今のところブスケツの方が良いパフォーマンスをするでしょう。しかし、彼もこれから練習を重ねて、バルサのピボーテの役割を理解していってくれることでしょう。
では後半。後半は正直内容が濃すぎて書ききれるかわからないけど、頑張ります。
後半バルサ交代 マスチェ→シャビ ボヤン→ペドロ
これが功を奏して後半開始10分間くらいバルサの猛攻。シャビが入ったことで、パスの流れが生まれ一人ひとりのボールを持つ時間も減った。作ったシュートチャンスは少ないが、いつものバルサのゲーム支配「高いポゼッションで相手チームを押しこみ、ボールロスト後も高い位置でのプレッシング」のパターンを再現。エルクレスに攻撃させない時間帯ができる。
エルクレスは後半からシステムを4-1-4-1に変更し中央にさらに人を割くことで、バルサに中央のスペースを使わせない戦術に出た。守り方は前半と一緒で中を固め、外に追い出すやり方。トレゼゲの1トップで彼のキープ力に攻撃のすべてを任せるみたいな態度で出てきた。(実はそうではないことがあとからわかるのだが。)
DFラインと中盤ラインの間の1がクセモノで、ペナの中に押し込まれた時には5バックのようになり、ある程度前からプレスを掛けるときは中盤が5人横に並んだりと、臨機応変にバルサの攻撃に対応していた。日本代表がW杯で見せたような戦い方ですね。
バルサは猛攻を仕掛けるが、エルクレスのブロックを破れず、攻めあぐねる。エルクレスも守備一辺倒でボールを奪った瞬間にバルサの猛プレスにあい、攻撃につなげない。
そんななか、後半12分くらい、イニエスタから中央前線で張るビジャに楔パスが入り、カットされ、こぼれをケイタ(かアビダル?)が拾い、縦へのドリブルから縦パス。これはバレバレでエルクレス守備陣にカットされそのボールがルーズボールになり、バルサ守備ラインに張っていたトレゼゲの上に落ちる。この5分5分のルーズボールをピケと争いながらトレゼゲがモノにし、サイドに展開。そこからバルサは左サイドを崩され、中央に待っていたバルデスに折り返しが届き、シュートを決められる。
あれだけプレッシングをしてもルーズボール一つ拾われたら失点するなんて、なんて不幸なんだ。と最初思っていたが、これは必然的に起きたと言っても過言ではない。その理由については次の記事に書く事にします。
戦いはこのままバルサが終始ボールを保持したまま2-0で終了。とはいってもお互いに何度か決定機を作り出し、シュートミスやGKのセーブで得点にはならなかった。一つ言えたのは、2-0になったあとはバルサがポゼッションしていても、常にエルクレスのペースだったということだ。
バルサはうまくボールをペナ内に運びシュートを打つが、みなGKに阻まれ、スルーパスやクロスもあと一歩精度を欠き得点には至らなかった。このようなシーンが続くと不思議と守備側は集中力を高めていく。「このまま守りきれるんだ」という集団意識が働くのだ。
逆に、バルサの方には、「負の連鎖」ともいえるまずい雰囲気が流れ始める。時間経過と共に「負の連鎖」空気が徐々に選手の精神を蝕み、普段はありえない様なミスを頻発させる。ビルドアップの時のキックミスや判断ミスによるボールロスト。象徴的なのは、圧倒的なキープ力を誇るシャビが自陣ゴール前でマタドールターンを行い、相手FWに完全に読まれてボールを奪われたシーンだ。失点にはならなかったものの、あれが決められていたら、バルサは決して欠いてはいけないものを欠いたままシーズン序盤を戦うことになっただろう。
それにしてもエルクレスはなかなか良いチームだった。特に途中出場した左サイドハーフの選手。効果的なドリブルやランニングが目立った。あと中盤のロンゲの人。
バルサの敗因はと聞かれれば、前半の出来の悪さでしょう。マスチェのプレーの計算の出来なさとシャビがいないことで試合の主導権を握り切れなかったこと。どこのチームも先取点を与えるのは嫌なもので、それはバルサにとっても同じ。いくら攻撃力があるチームでも、あれだけ相手にペナ内を固められれば、運に味方してもらわないとゴールを奪えないでしょう。あとは、分析する者として使いたくない言葉をあえて使うならば、選手のコンディションの悪さによる最後の仕事の質の低下。因果関係は客観的事実に求めたいものです。
決してマスチェラーノ選手を蔑むような気持ちで書いたわけではありません。選手としてのクオリティの高さはよく知っているところです。しかし、バルサのピボーテは戦術的な決まりごとというか複雑な戦術理解が必要とされるポジションで、彼にいきなりそれをやれというのが「計算ミス」だったわけです。今回の「マスチェ前半で交代」事件は、同じスペイン語圏とはいえ、いかにスペインのサッカーのスタイルがその他の国国と異なっているかということを象徴する事件だったと思います。
そして、見つけてしまったバルサのプレッシングの仕組みとその弱点。長くなりそうなので何度かに分けて書く事にします。とりあえず戦評から。
ではかるく前半から。あまり真面目に見ていなかったのでなんともいえないけど、まず言えたのは、シャビ不在の穴の大きさとマスチェラーノのポジショニングの下手さ。
サッカーマガジン特別号「スペイン革命 ~世界最強の秘密~」にスペインサッカーのティキタカ(小気味よくパスを回して攻めることの総称らしい)について少しのヒントが書いてあり、シャビのインタビューからもティキタカのエッセンスがうかがい知れる。シャビいわく「パスの方向やドリブルを使って時間とスペースを調整することで味方が正しいポジショニングをとるように促し、攻撃のスピードをコントロールすることで不用意にボールロストする危険を少なくし、攻から守への切り替えを素早くできるような陣形を保つ。」ことがスペイン流あるいはバルサ流フットボールの秘訣らしい。
エルクレス戦前半、このティキタカの心得を会得したティキタカマスター(シャビ)不在の穴は大きく、代役をイニエスタが担おうとしていたが、なにぶん難しいプレーが多くなり、リズムが生まれなかった。イニエスタのいっこいっこのプレーはめちゃうまかったけど。
エルクレスは4-4-2の3ラインをしっかり引き、バルサのビルドアップ時は前からプレス、プレスをかわされたらリトリートして中央に守備陣形を収束させるようにして、全員が自陣に戻り、ブロックを形成して守っていた。2トップがハーフラインから10mくらい自陣側まで戻るというドン引きスタイルだった。
エルクレスの守備の意図は、プレス時もリトリート時もサイドを空けて、ひたすら中央を守ることにあるようだった。サイドにボールが出てから守備陣形を同サイドにスライドして、サイドで数的優位をつくり囲んでプレッシャーをかけるのが狙いだ。サイドバックのビルドアップ力を軽視し、さらにクロスも中を固めれば大丈夫だろうという考えのようだ。
バルサは効果的なサイドチェンジが出来ずに、エルクレスの守備陣形を横伸ばしに出来なかったので、結局中央も効果的に崩せなかった。
そこで、値千金の先制ゴールはエルクレス側のFKからパラグアイ人のバルデス選手が生んだ。バルサ守備陣の集中力が欠如していたのは明らかだった。ちなみにバルデス選手は後半途中退場するまで、精力的にピッチを駆け回り、攻撃ではキープ力を生かして起点になり、守備ではバルサのCBとボランチの辺りにプレッシャーをかけていた。素晴らしい働きでした。
で、マスチェラーノなのだが、彼はチームがボールポゼッションしているとき、ひたすら動いてパスコースを作ろうとしていた。動きすぎてスペースを潰してしまい、ボールを受けたときには体勢が悪くなるので、視野も悪くなり、当然ボールタッチが増えてしまい、セントラルMFやWGの選手に効果的に配給するという役割があまり出来ていなかった。
さらに言うと、攻から守への切り替え部分もチームの意図とはすこしズレていたみたいで、マスチェさんはリトリートの意識が少し高く、結果エルクレス攻撃手のドリブル突破を、数的優位であるにもかかわらずプロフェッショナルファウルで止めることになった。正直、前半で二枚イエローを貰って退場してもおかしくなかった。そのFKから失点した。
このポジションなら今のところブスケツの方が良いパフォーマンスをするでしょう。しかし、彼もこれから練習を重ねて、バルサのピボーテの役割を理解していってくれることでしょう。
では後半。後半は正直内容が濃すぎて書ききれるかわからないけど、頑張ります。
後半バルサ交代 マスチェ→シャビ ボヤン→ペドロ
これが功を奏して後半開始10分間くらいバルサの猛攻。シャビが入ったことで、パスの流れが生まれ一人ひとりのボールを持つ時間も減った。作ったシュートチャンスは少ないが、いつものバルサのゲーム支配「高いポゼッションで相手チームを押しこみ、ボールロスト後も高い位置でのプレッシング」のパターンを再現。エルクレスに攻撃させない時間帯ができる。
エルクレスは後半からシステムを4-1-4-1に変更し中央にさらに人を割くことで、バルサに中央のスペースを使わせない戦術に出た。守り方は前半と一緒で中を固め、外に追い出すやり方。トレゼゲの1トップで彼のキープ力に攻撃のすべてを任せるみたいな態度で出てきた。(実はそうではないことがあとからわかるのだが。)
DFラインと中盤ラインの間の1がクセモノで、ペナの中に押し込まれた時には5バックのようになり、ある程度前からプレスを掛けるときは中盤が5人横に並んだりと、臨機応変にバルサの攻撃に対応していた。日本代表がW杯で見せたような戦い方ですね。
バルサは猛攻を仕掛けるが、エルクレスのブロックを破れず、攻めあぐねる。エルクレスも守備一辺倒でボールを奪った瞬間にバルサの猛プレスにあい、攻撃につなげない。
そんななか、後半12分くらい、イニエスタから中央前線で張るビジャに楔パスが入り、カットされ、こぼれをケイタ(かアビダル?)が拾い、縦へのドリブルから縦パス。これはバレバレでエルクレス守備陣にカットされそのボールがルーズボールになり、バルサ守備ラインに張っていたトレゼゲの上に落ちる。この5分5分のルーズボールをピケと争いながらトレゼゲがモノにし、サイドに展開。そこからバルサは左サイドを崩され、中央に待っていたバルデスに折り返しが届き、シュートを決められる。
あれだけプレッシングをしてもルーズボール一つ拾われたら失点するなんて、なんて不幸なんだ。と最初思っていたが、これは必然的に起きたと言っても過言ではない。その理由については次の記事に書く事にします。
戦いはこのままバルサが終始ボールを保持したまま2-0で終了。とはいってもお互いに何度か決定機を作り出し、シュートミスやGKのセーブで得点にはならなかった。一つ言えたのは、2-0になったあとはバルサがポゼッションしていても、常にエルクレスのペースだったということだ。
バルサはうまくボールをペナ内に運びシュートを打つが、みなGKに阻まれ、スルーパスやクロスもあと一歩精度を欠き得点には至らなかった。このようなシーンが続くと不思議と守備側は集中力を高めていく。「このまま守りきれるんだ」という集団意識が働くのだ。
逆に、バルサの方には、「負の連鎖」ともいえるまずい雰囲気が流れ始める。時間経過と共に「負の連鎖」空気が徐々に選手の精神を蝕み、普段はありえない様なミスを頻発させる。ビルドアップの時のキックミスや判断ミスによるボールロスト。象徴的なのは、圧倒的なキープ力を誇るシャビが自陣ゴール前でマタドールターンを行い、相手FWに完全に読まれてボールを奪われたシーンだ。失点にはならなかったものの、あれが決められていたら、バルサは決して欠いてはいけないものを欠いたままシーズン序盤を戦うことになっただろう。
それにしてもエルクレスはなかなか良いチームだった。特に途中出場した左サイドハーフの選手。効果的なドリブルやランニングが目立った。あと中盤のロンゲの人。
バルサの敗因はと聞かれれば、前半の出来の悪さでしょう。マスチェのプレーの計算の出来なさとシャビがいないことで試合の主導権を握り切れなかったこと。どこのチームも先取点を与えるのは嫌なもので、それはバルサにとっても同じ。いくら攻撃力があるチームでも、あれだけ相手にペナ内を固められれば、運に味方してもらわないとゴールを奪えないでしょう。あとは、分析する者として使いたくない言葉をあえて使うならば、選手のコンディションの悪さによる最後の仕事の質の低下。因果関係は客観的事実に求めたいものです。
決してマスチェラーノ選手を蔑むような気持ちで書いたわけではありません。選手としてのクオリティの高さはよく知っているところです。しかし、バルサのピボーテは戦術的な決まりごとというか複雑な戦術理解が必要とされるポジションで、彼にいきなりそれをやれというのが「計算ミス」だったわけです。今回の「マスチェ前半で交代」事件は、同じスペイン語圏とはいえ、いかにスペインのサッカーのスタイルがその他の国国と異なっているかということを象徴する事件だったと思います。
http://silkyskills4beautifulfootball.blogspot.com/2010/09/fcbarcelona-v-hercules20100912.htmlFCBarcelona v Hercules戦評 20100912 走り書き
ドルトムントvヴォルフスブルク戦評.20100911 はしりがき
普段はリーガとJリーグしか見ないけど、香川の戦いぶりが気になるのでブンデスを見てみた。
はっきり言って、サッカーの質はJと変わらないように見えた。前へ急ぎすぎ、不用意なボールロストが多く攻守が切り替わりすぎ、ルーズボールが多すぎ、フィジカルコンタクト多すぎ、楔のパスを狙いすぎ、といったJでも見られる問題点を抱えていた。
そのなかで圧倒的に違うのは、個々の選手のフィジカルの強さ、切り替えの速さ、観衆の熱気、審判のレベルの高さなど。
香川の良さはパスの流れを作りながらラストパスやフィニッシュができるところだと思っていた。ちょうど先日の日本代表対パラグアイのゴールのように、中盤に引いいてきてボールを受けて、ワンツーやドリブルなどでゾーンを上げていき、バイタルにするするっと侵入してから「最後の仕事」をするような。
こういうゲームの組み立て方が出来る攻撃的選手については、日本は数多く輩出している。中村俊輔、松井、小野、前園、などなど。いずれも、まずは自分がボールに触れてから何かを起こそうという考えを強く持った選手たちだ。
こういう選手は時としてチームの「お荷物」になることがある。バランスを考えずにポジショニングを崩し、低い位置までボールを受けに来るが、パスコースがないので難しいプレーをしようとする。オシムはこういうプレーを指して、「ピッチにソファを持ち出しタバコを燻らせる」と言った。まったく的を得た表現だと思う。ちょうどこの試合のジエゴのように。
一方、今日の香川はどうだったかというと、パスの流れに途中から侵入して綺麗にゴールを決めてみせた。このプレーはパスの流れを理解し、先読みし、次の次にボールが来るであろうスペースへ位置取ることで、相手のDF陣形の隙間をつくプレーであり、日本人の歴代の攻撃的MF達がなかなか持ちあわせていなかったポジショニングセンスである。
そして、得点後に見せたのが、ボールの配給役として、敵陣をグラグラ揺らすパスワークである。ボランチの位置まで引いてボールを受けて(悪い癖かもしれないが)、左に一回右に一回横パスを入れ、縦へのパスコースを空けて、フリーの味方の足元に速いパスを入れ前方にラン。ワンタッチの落としを受けてそのまま縦のスペースにドリブルで侵入するかと思いきや、落としをくれた仲間へ横パス。この時点で、この仲間の選手へ、ペナ外15Mほどの地点に広大なスペースと時間をプレゼントすることに成功していた。
今後はトップ下のプレーどころか、セントラルMFの仕事もこなせてしまいそうな、サッカー頭脳のレベルの高さを見せたプレーだった。パスの流れを考え、ドリブルとパスの方向を調整することで、敵陣の隙間に侵入し、味方に前向きかつフリーでボールを渡すプレーだ。
今後の課題はつなぎが不安定の時にボールを奪われないポゼッションをできるようにすることだろう。つまり、前向きで受けられなかった時の判断がまだ良くないので、相手の守備網に自チームのつなぎがハマったときにうまい逃げ道をつくってあげられるようになれば、どのチームからも重宝される存在になるでしょう。
一方の長谷部選手はというと、後半から投入されたものの守備にさく時間が長く献身的に守備をこなしていた。ボールを受けたときは暴走気味のジエゴに優先的にボールを渡しているように見えた。バランサーとしてのチーム内での存在価値は高いだろうが、監督がその他の選手にもっとはっきりした役割を与えてあげないと、長谷部の良さが全く活きてこないでしょう。
おわり
はっきり言って、サッカーの質はJと変わらないように見えた。前へ急ぎすぎ、不用意なボールロストが多く攻守が切り替わりすぎ、ルーズボールが多すぎ、フィジカルコンタクト多すぎ、楔のパスを狙いすぎ、といったJでも見られる問題点を抱えていた。
そのなかで圧倒的に違うのは、個々の選手のフィジカルの強さ、切り替えの速さ、観衆の熱気、審判のレベルの高さなど。
香川の良さはパスの流れを作りながらラストパスやフィニッシュができるところだと思っていた。ちょうど先日の日本代表対パラグアイのゴールのように、中盤に引いいてきてボールを受けて、ワンツーやドリブルなどでゾーンを上げていき、バイタルにするするっと侵入してから「最後の仕事」をするような。
こういうゲームの組み立て方が出来る攻撃的選手については、日本は数多く輩出している。中村俊輔、松井、小野、前園、などなど。いずれも、まずは自分がボールに触れてから何かを起こそうという考えを強く持った選手たちだ。
こういう選手は時としてチームの「お荷物」になることがある。バランスを考えずにポジショニングを崩し、低い位置までボールを受けに来るが、パスコースがないので難しいプレーをしようとする。オシムはこういうプレーを指して、「ピッチにソファを持ち出しタバコを燻らせる」と言った。まったく的を得た表現だと思う。ちょうどこの試合のジエゴのように。
一方、今日の香川はどうだったかというと、パスの流れに途中から侵入して綺麗にゴールを決めてみせた。このプレーはパスの流れを理解し、先読みし、次の次にボールが来るであろうスペースへ位置取ることで、相手のDF陣形の隙間をつくプレーであり、日本人の歴代の攻撃的MF達がなかなか持ちあわせていなかったポジショニングセンスである。
そして、得点後に見せたのが、ボールの配給役として、敵陣をグラグラ揺らすパスワークである。ボランチの位置まで引いてボールを受けて(悪い癖かもしれないが)、左に一回右に一回横パスを入れ、縦へのパスコースを空けて、フリーの味方の足元に速いパスを入れ前方にラン。ワンタッチの落としを受けてそのまま縦のスペースにドリブルで侵入するかと思いきや、落としをくれた仲間へ横パス。この時点で、この仲間の選手へ、ペナ外15Mほどの地点に広大なスペースと時間をプレゼントすることに成功していた。
今後はトップ下のプレーどころか、セントラルMFの仕事もこなせてしまいそうな、サッカー頭脳のレベルの高さを見せたプレーだった。パスの流れを考え、ドリブルとパスの方向を調整することで、敵陣の隙間に侵入し、味方に前向きかつフリーでボールを渡すプレーだ。
今後の課題はつなぎが不安定の時にボールを奪われないポゼッションをできるようにすることだろう。つまり、前向きで受けられなかった時の判断がまだ良くないので、相手の守備網に自チームのつなぎがハマったときにうまい逃げ道をつくってあげられるようになれば、どのチームからも重宝される存在になるでしょう。
一方の長谷部選手はというと、後半から投入されたものの守備にさく時間が長く献身的に守備をこなしていた。ボールを受けたときは暴走気味のジエゴに優先的にボールを渡しているように見えた。バランサーとしてのチーム内での存在価値は高いだろうが、監督がその他の選手にもっとはっきりした役割を与えてあげないと、長谷部の良さが全く活きてこないでしょう。
おわり
http://silkyskills4beautifulfootball.blogspot.com/2010/09/20100911.htmlドルトムントvヴォルフスブルク戦評.20100911 はしりがき
登録:
投稿 (Atom)