シャビやイニエスタは中盤で圧倒的なボールキープ力を誇ります。その彼らのキープ力を技術的な側面に絞って説明するなら、ポイントは2つあります。
2歩1触のドリブルとこれから紹介するマタドールターン(名称は僕が勝手につけました)です。
マタドールターンとは円を描くようにドリブルする技術のことです。シャビやイニエスタはこの技術を1試合中に10回以上使ってボールを守り新たな展開へ持っていきます。
実際にやってみました↓
では実際の試合でどう使われているかというと↓
背後の敵の動きを確認しながらターンする方向を変えています。完璧なテクニックに加えて見事な状況判断力です。
このターンが有効なわけは、ワンタッチ毎に周りの状況に合わせてプレーの向きを変えられることもそうですが、もう一つの秘訣は急激に向きを変えるのではなく、わざと少しずつ向きをずらすことで、敵に自分を追わせて敵が動いたスペースを有効に活用できるからです。
なぜ180度のターンをするより有利なのかを説明します。
まず、サッカーでは常に攻撃方向というものが存在し、逆に言えばDFには守備の方向が原則的に決まっています。つまり、DFは概ねボール保持者と自陣ゴールの間に自分の体を入れようとしてボールを追ってきます。この原則を頭に入れておけば、後ろ(例えば左斜め後ろ)から寄せてきた相手に対しては、その逆方向(右)に向かってマタドールターンを使用すれば、ボールを奪わずにスペースを生み出し前を向いて落ち着いてプレーができます。
そして、ボール保持者は体の正面側にしかプレー(パスやドリブル)ができないという原則がDFの頭の中には刷り込まれています。なので、一度ボールよりも自陣側に帰陣したDFがボールを奪いにくるときは、ボール保持者の体の正面側に寄せてきます。このときに旋回するように進行方向を少しずつ変えてターンすると、相手DFを釣り出しつつ逆サイドへの展開が可能になるのです。
また、確実な技術で行えば、敵と自分の身体能力差が関係なくなります。マタドールターンは曲線的なプレーなので走力は関係ありません。寄せてきた敵の体格が優れていても、ターン中は常にボールと相手の間に自分の体が入っている状態なので、敵が無理に奪いに来たらファウルを得られます。
マタドールターンは純粋にテクニックと状況判断力だけで敵を打ち負かせる方法なのです。
一生懸命追ってくる相手ほど簡単にいなすことができます。180度のターンではその動きが相手に読まれやすい上に、身体能力の高いDFを振り切ることが非常に難しくなってきます。これは180度ターンが直線的なので動作が大きくなりがちで、ボールを体から離してしまう選手が多いからだと思います。
マタドールターンは多用すると相手に読まれて、簡単にボールロストし、ピンチを招きかねません。実戦形式の練習で、背負ったDFを見ながら内回り外回りを切り返せる練習をしましょう。
また、頭に入れて欲しいこととして、この技術を使用するとチームとしての攻撃スピードがガクッと落ちます。つまりタメができるプレーなのです。状況判断がしっかりできないと、せっかくのカウンターのチャンスをみすみす逃してしまったりして、チームのためになりません。逆につないでる途中で詰まってしまったときに使用して、時間を作りながら空いたスペースを攻撃するということもできます。
簡単に言うと、この技術は目の前の景色や状況を大きく変えることができるのです。
次→優れたドリブルのスタイル 2歩1触の可能性
ジダンの使用例→ボディコンタクト4 ジダンに学ぶルックダウンの必要性
質問ですが、マタドールターンをしているとき、
返信削除1,姿勢は?
2,どこを見ればいいか?
他の記事に書いてあるのでよく読んでください。→ボディコンタクトのジダンの記事と、2歩1触の練習法まとめ。
返信削除質問する前によく読んでくださいお願いします。