footballhack: 考えて走る
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2013年2月11日

SHのインナーラップ


シーズンオフということで、4-4-2をどれだけ進化させられるかをテーマに、我がチームは来季の戦術的な構想を練っている最中であります。差金の動きからのカウンターや裏抜け、アーリークロスはマスターしたので、インナーラップを導入したいと思いました。インナーラップはいぜん紹介した、SBが前方ボール保持者の内側を駆け上がるタイプが一つ目に挙げられます。今回紹介するのは、ボールホルダーを後方に見ながら縦パスを引き出すためのインナーラップです。主にSHが行います。

2012年11月15日

ユベントス 3-1-4-2 攻撃分析

バルセロナセビージャとレバンテとイングランド代表のゾーンディフェンスドイツ代表アスレチック・ビルバオのサイド攻撃サンフレッチェ広島の変則3バックなどなどの分析を終え、一息ついていたところで、他に面白いチームないかなと思っていたら、「ユベントスが面白いらしい」と小耳に挟み、観戦したらなるほど特殊だが機能的で実に興味深いサッカーをしているではないか。そう思いまして、ユベントス分析をやってみたいと思いたったのです。

ユベントス攻撃 001ゾーンディフェンスの崩し方2種を理解すると、ユベントスのフォーメーションとチームとしての狙いが鮮明に見えてきます。では早速いきましょう。













  ユベントスの攻撃戦術を理解するためのメニュー


  • フォーメーション
  • 4番スペースを起点にしたポジショニング
  • 2番スペースとインサイドハーフ
  • 中央の使い方
  • クサビを通すためのスペースクリエイト


2012年8月22日

ビエルサ×ビルバオのコレクティブフットボール2

前回はビエルサがアスレチック・ビルバオというチームにおいてなぜサイド攻撃に重きをいたのかを説明しました。そしてこの戦術は、徹底したリアリズムとパターン化のもと、ポゼッションサッカーとリスクマネージメントを高次元で両立していることをこれから説明したいと思います。


  ビエルサ×ビルバオのサッカーを味わうためのメニュー
  1. システムの見方
    1. 4−3−3?
    2. 4-2-3-1亜型
    3. 4-1-3-1-1
  2. ポゼッション
    1. 攻撃時間を長く、守備時間を短くする
    2. ゲームの支配
    3. スリーバックポゼッション
  3. リスク管理
    1. タッチラインを使う
    2. ロングフィードを使う
  4. サイド攻撃
    1. デ・マルコスの外流れ
    2. WGの差金の動き
    3. クロスランニング
  5. 二次攻撃
    1. やり直し
    2. オンオフポジショニング
    3. 外流れ待機
    4. インナーラップ
    5. 8の字ローテーション(渦巻き理論)
    6. 中央は最後に使う
  6. 崩し
    1. ローポスト攻略
    2. 三者関係
    3. クロスに対してゴール前の人数を増やす
  7. 攻→守
    1. マンツーマン採用の必然性

3までは前回の記事で学びました。4以降でどのようにサイド攻撃を組み立てているか考えて行きましょう。

2012年8月21日

ビエルサ×ビルバオのコレクティブフットボール1

いよいよ2012−13シーズンのリーガエスパニューラが開幕しました。今年は盤石のモウ・マドリーに新体制のバルセロナが挑むという構図でシーズンが進んでいくんでしょうか。他のチームは財政的に苦しいこともあってなかなかこの2強に太刀打ち出来ないかと思いますが、今回は伏兵であるアスレチック・ビルバオを取り上げようと思います。

ビエルサが就任した昨季、リーグ順位こそ奮いませんでしたが、2月から4月にかけてのパフォーマンスが素晴らしく、マンチェスター・ユナイテッドを破ってみごとEL決勝まで進みましたアスレチック・ビルバオ。ビエルサの知将としての指揮力とアスレチック伝統の
気骨あるチームスタイルが織りなす、機能美あふれる機械論的コレクティブフットボールの仕組みに迫ってみましょう。


2012年7月15日

FWの動き4 ゴール前の嗅覚とは【第二回】

前回はシュートのこぼれ球とクロスから得点を狙う動きをやりました。

では要旨をおさらい。

  ゴールへの嗅覚に優れたFWが見せる動き一覧

  1. 味方の放ったシュートに対してファーサイドに詰める
  2. クロスに対してマーカーの前に出て合わせる
  3. クロスに対してGKとDFの間に飛び出す
  4. クロスに対してファーストターゲットの影に飛び込む
  5. ロングフィードに対してキッカーとターゲットマンを結ぶ延長線上のスペースに飛び出す
  6. マーカーの視野を切ってパスを受ける
  7. オフサイドポジションに潜りその後オンサイドポジションを回復する
  8. CBとCBの間に入る
  9. 位相をずらして二次攻撃、三次攻撃の流れに侵入する
1〜4まで説明したところですね。

次はロングボールです

2012年7月14日

FWの動き3 ゴールへの嗅覚とは【第一回】

「点を獲れるFWは決まってゴールへの嗅覚に優れています。」とよく言われますがゴールへの嗅覚って一体何なんぞや?コーチに聞いても先輩に聞いても元プロや名の知れた監督に聞いても“ゴールへの嗅覚は感覚的なもの”とか“先天的なもの”という説明で終わりになることが多いと思います。

そんな説明じゃ納得行かない!って僕も常々思っていました。

そこで今回は微力ながらゴールへの嗅覚という言葉の全容に迫って行きたいと思います。始めに断っておくと、この記事でFWに求められる動きの全てを説明できるとは僕は到底思ってません。僕の経験に基づいてゴールチャンスが生まれるパターンを類型し、そこから導き出されるFWの動きを抽出して、「“ゴールへの嗅覚”が鋭い選手はこういう動きをする」と言い切ってみたいと思います。


  ゴールへの嗅覚に優れたFWが見せる動き一覧

では早速結論を
  1. 味方の放ったシュートに対してファーサイドに詰める
  2. クロスに対してマーカーの前に出て合わせる
  3. クロスに対してGKとDFの間に飛び出す
  4. クロスに対してファーストターゲットの影に飛び込む
  5. ロングフィードに対してキッカーとターゲットマンを結ぶ延長線上のスペースに飛び出す
  6. マーカーの視野を切ってパスを受ける
  7. オフサイドポジションに潜りその後オンサイドポジションを回復する
  8. CBとCBの間に入る
  9. 位相をずらして二次攻撃、三次攻撃の流れに侵入する
それでは上記の一つ一つのポイントを詳しく見ていきましょう

2012年7月12日

考えて走る9 オーバーラップ

サッカーではサイドを制することが重要です。そのためには攻守ともに2〜4人のグループでの効果的なコンビネーションが必要であり、刻々と変化する状況下で即時的に有機的な動きを発揮しなければなりません。セオリーのオートメーション化です。

今回はサイド攻撃の場面でスペースを有効に使うための、初歩的なセオリーをひとつ紹介します。



  オーバーラップのイロハ

オーバーラップとは前方でボールを持った選手を後ろから追い越していく動きです。特にサイドハーフとサイドバックの関係でよく見られます。

左図のように後方からボールホルダーを追い越していくと、攻撃にスピードと厚みが出ます。

単純に人数を多くできる“数の攻め”で相手の守備網を突破しようってことです。







しかし、このオーバーラップの動きにはひとつの大きな誤解があります。以下に紹介するような場面ではオーバーラップが成功しづらく、したがって後方からの加勢が逆効果に終わる可能性を秘めています。

2011年9月24日

居抜きパス

今回はバルセロナ対バレンシアの最新の試合からパスの技を一つ紹介します。

居抜きパスは以前見た『ひとつ飛ばすパス』と『背中でスペースを作る』を組み合わせた崩しの形で、崩し以外の場面でも頻繁に見ることができます。




『居抜き』とは将棋用語で、飛車や角など遠くに利く駒の利き筋に居る自分の駒を一つ動かす(抜く)ことで、利き筋を伸ばした駒と動かした駒で両取りを狙う形のことです。ではサッカーにおいて居抜きを使うとどうなるのか。早速、図解で説明してみましょう。


2011年7月14日

考えて走る番外 スキップがランニングより楽な理由

以前ポジショニングについて、スキップ系の移動を積極的に使うことが戦術的に有効な位置取りにつながるといった内容の記事を書きました。詳細は以下の
  1. 考えて走る4 サイドステップと後ろ走り
  2. ポジショニング3 3Dポジショニング
  3. ポジショニング4 ポジショニングという技
  4. ポストプレーとポケットプレー1
 を御覧ください。

今回はかねてから不思議に思っていた、「なぜスキップはランニングより楽に感じるか」という疑問について答えを出したいと思います。スキップが楽というのを体感として感じている方は多いと思います。これは実は非常に単純な理由でした。では早速、図を見てみましょう。



ランニング時は片足で接地と跳躍を行います。つまり、落下にかかる自体重+aの力を支持する力と地面を押して自体重を前へ進める力の2つの仕事を一気に片足で行うということです。

足に高い負荷をかければより速く移動することが出来ます。


一方、スキップの場合、接地と跳躍を左右の足で分担することが出来ます

分担して行うので足にかかる負担はランニング時に比べて1/2になります。(単純すぎる計算ですが笑)

ランニングほど速い移動は出来ませんが、ゆっくりした速度での移動ではスキップの方が疲労を感じません。


ここに示したのは前進スキップのみですが、この理屈はサイドステップや後ろ向きスキップにも当てはまります。

上述の記事の中にも書きましたが、スキップ系の移動は体の向きを調整し、移動速度を調整し、準備姿勢を保つために、トッププロの選手たちが頻繁に使用しています。

このようなスキップ系の移動は、足への負担を抑えるのに非常に有効だろうと考えられますから、試合終盤の疲労が蓄積した中で使えば少しは楽に感じるはずです。是非、積極的に試合中にスキップをしてみてください。

関連記事→スキップドリブルドリル

2011年6月20日

考えて走る10 味方を追い越してフリーにさせる

今回は味方を追い越す動きの効用を見ていきます。これが上手く行けばクサビをフリーで受けることが出来ます。
まずは状況設定です。

左のように一番上の水色の選手がクサビを受けに降りてきます。それと同時に左の選手が裏へ抜ける動きをします。

このとき考えられるパス選択肢は2つあります。

ひとつはクサビとスルーパスの見合い重なったら一つと飛ばすで見たように、直接裏へ抜ける選手へパスを送るコースです。

これをやられたらDFとしては非常に痛いところです。
次の選択肢はポスト役に一旦預けて、そこからフリックパスなどで裏へ送るプレーです。この形は第三の動きなどと呼ばれます。

綺麗に決まれば攻撃側としては気持ちいいいですが、フリックのパスの技術が難しいところが難点です。
上の2つのパスを通されるとDFとしては非常に厄介なので、近年のゾーンディフェンス主流のサッカーでは主に左のように対応を図ります。

ポストプレーヤーをマークしていた選手が、マークを離し裏のスペースのカバーリングに回りました。
このとき左図のピンクの丸で示したゾーンが空くのでクサビのパスを安全に入れることができます。

味方を追い抜く走りには自分がボールを受けるだけではなく、味方をフリーにする働きもあります。チェックの動きは一切入っておらず非常にシンプルなランニングだけで相手を崩すことが出来ます。

このようなプレーは主にサイドでの攻防でよく見られます。

大事なのはパスの出し手がこのようにスペースの見つける能力を備えているかどうかです。


このプレーは横関係でも成り立ちます。


バルセロナがフィールド中央でポゼッションする時、この形がよく見られます。









スペースを作り使うサッカーをするために大事なのは、ボールホルダーに常に2つのパスコースを見せてあげることです。そうすれば相手の守備陣はどちらか一方しか防ぐことが出来ませんから、どこかに必ず一つ穴を作る結果になります。そこが活用すべきスペースです。

バルセロナの選手が速く走っているわけでもなく、チェックの動きをしているわけでもないのにフリーでクサビや横パスを受けられるのは、上で見たようなスペースの創造をしているからです。あるいはDFのマーキング意識にギャップを作っているとも言い換えられます。 複数人でそれぞれが別方向に走ることでギャップは生まれます。

今回は重なったら一つ飛ばすでみたスペースの見え方と全く逆の事象を取り上げました。スペースの生成条件は味方や相手の動きによって様々に変わります。瞬間的に正しい判断を下すには相応のトレーニングと柔軟な頭脳が不可欠です。

次→FWの動き方2 差金の動き

2010年9月27日

考えて走る8 日本人FWが好きなプルアウェイ

前回はFWは↓の緑のゾーンにどうやって侵入したらよいか考えました。今回はこのゾーンを拡大してカウンターアタックについて考えます。


中央2対2という非常にシンプルなシーンについて考えます。試合中に遭遇したら確実にシュートまで持って行きたいシーンです。↓


良いカウンターアタックの条件とはなんでしょうか。簡単に整理すると、まずはスピードを落とさずにスムーズにシュートにつなげることです。そのために、ダイレクトプレー的な判断で相手DFに後手を踏ませるようにします。

そこでボール保持者に必要になることは、前進するドリブルです。後ろから追いかけてくる他のDFに追いつかれないようにしなければなりません。これはドリブル方法論で触れました。

サポートする選手に必要なのは、ボール保持者を助ける動きと裏を狙う動きです。

この辺に気をつけてカウンターアタックを見ていきたいと思います。ここでは特にサポートする選手の動き方に注目して考えていきます。

とその前に前回のFWのゴール前での動き方の説明で使用した図をもう一度見てみます。



このゾーンの中を通って、ゴールに向かって走っていけばシュートが決まるという話でした。そこでこのゾーンを縦に拡大します。↓


ペナの端とハーフラインの間まで奥行きを拡大しました。(青いゾーン)なぜこうしたかというと、

カウンターアタックではこのゾーンからはみ出ないように走ることが大事になるからです。

このゴールエリアの幅から外に出てしまうとゴールのチャンスは遠のきます。

では順を追って考えていきます。まず理想的なカウンターの形から。↓


決定的なゾーンへ直線的なランニングで侵入しています。こんなプレーをさせてくれるDFはプロではまずお目にかからないでしょう。というくらいザルDFですね。

普通は中へのパスと中へのランニングは警戒されます。よって↓のようにプルアウェイでボールを引き出すことがよいとされています。


日本人が好きなプルアウェイ(膨らむ動き・ウェーブの動きなどとも言われる)です。この動きはボール保持者を助けますし、自分もマーカーから離れることができます。そしてパスが来れば相手DFとゴールに近い位置で1対1ができます。1対1で勝負できる選手なら有利な動き方です。

しかし、そうでない場合、DFとしてはしめたものだと思うはずです。FWがゴールから離れてくれました。しかもこの状況なら時間をかけて守れそうです。

このようにプルアウェイで青ゾーンから出てしまうとゴール到達まで時間がかかってしまいます。

さらに日本人が好きなプレーはプルアウェイを重ねる動きです。↓


駆け引きの中で何度もプルアウェイを繰り返し、マーカーから離れボールを受けようとします。結果、危険なエリア(青いゾーン)からどんどん離れていってしまいます。パスを受けたときにはウィングのポジションくらいまで開いてしまうことも度々あります。

ではどういう動きがより効果的かというと、↓の図のように、青のゾーンの中でプルアウェイと前へのランニングを繰り返す動きです。下の図はイメージです。


このように青のゾーンからはみ出さないように、しかも攻撃のスピードを落とさないようにランニングしながら出し手とタイミングを図ることが大事になります。実際的には↓のようになります。


A:ボール保持者が前を向いて仕掛けのドリブルを開始したら、彼の前方のスペースを開けるようにプルアウェイで自分のマーカーを引きつけます。そして青色のパスを受けられるように準備します。

B:ここまでパスが来ない場合、ボール保持者はまだ余裕があるが選択に困っている、あるいは自力でのドリブル突破を狙っていると考えられます。外に開きすぎたと感じたら、今度は内側へのランニングに切り替え、緑色のパスを狙って動き出します。ボール保持者には左側へドリブルの進路をとるように促します。

C:まだパスが来ない場合、ボール保持者は縦パスを断念し、適切なパスコースを探すことになるでしょう。このときもう一度プルアウェイで膨らんであげるとパスを受けられるかもしれません。プルアウェイを繰り返して外へどんどん広がってしまうケースに比べ、このほうがゴールに近い位置でより中央にポジションを取ることが出来ます。

↓のような感じです。


DFの心理としてボールサイドに注意が集まる傾向があります。上の図の左側のDFは自分がマークすべき選手が内側へ絞る動きを見せると積極的に付いて行こうとします。なぜならそうすることでボールサイドのカバーリングもできるからです。カバーリングとマーキングを同時に行えるので、中に絞る動きに関しては自然と行なわれます

反対にFWが外へ膨らむ動きに関しては付いてけないことが多いです。なぜなら、その瞬間DFは内へのカバーリングと外へのマーキングの判断に悩まされるからです。選手にとってボールが一番大事であることは周知の事実ですから、この時DFはボールサイドのカバーリングを優先してしまう意識が働くのです。

このようにプルアウェイを使用する際は自分がピッチ上のどこにいるかを把握する必要があります。中と外へのランニングを切り替えることでマーカーと駆け引きをし、それと同時にパスの出し手とのタイミングを図ることができるのです。

以上説明したゴールエリアの幅からはみ出さない動きを実践すると、パスの出し手と受け手の呼吸がぴったり合わない限り突破は図れません。プルアウェイを繰り返して外にどんどん膨らむ動きに比べると、プレーの難易度は非常に高くなります

カウンターの場面ではより積極的にゴールを狙うことが求められますし、そこで時間をかけるようではカウンターアタックは成功しません。難易度が高いがゴールに近いプレーを選択するか、より確実だがゴールからは遠のいてしまうプレーを選択するかは、カウンターアタックに遭遇した選手の判断です。

参考 England v Bulgaria 親善試合 20100903
↑のリンクをクリックでイングランドのカウンターアタック(2:05)を見れます。この時ENGのFWのデフォー選手の動きが秀逸ですので御覧ください。

次は考えて走る9 オーバーラップ


考えて走る7 ゴール前のFWの動き方

今回はFWの動きについて考えていきます。最新記事は右の「FWの動き方2 差金の動き」を見てください。

とその前によく聞く話ですが、全ゴールの??%(かなり高い割合)は↓の図の緑色のゾーンで示したエリアから放たれるシュートから生まれるそうです。


緑のゾーンの幅はゴールエリアの幅で、奥行きはエンドラインからPKスポットの間ですね。このゾーンに上手く進入することが出来ればゴールを決める確率が高くなるということです。そこで、このゾーンに侵入する動きを図にしました↓


2010年8月28日

考えて走る5 サイドの使い方

今回はタッチライン際での走りかたについて考えます。

バルセロナのサッカーではウィングの選手がタッチラインまで開いてボールを待つことが多く、そのままでは、サイドバックが上がるスペースを消してしまいます。

そこで、ウィングの選手はサイドバックが上がるタイミングに合わせて中に絞ることで、DFを引き付けて上手にスペースを活用しています。

こちらを見てください。左サイドのプレーです。↓クリックして動きます


ここでは連携の取れたランニングでサイドを突破しています。

Bはサイドに開いたMFもしくはウィングの選手です。速攻のときはボールが自分のサイドに回ってくるとき、後ろからの味方の押し上げを確認したら、一気に内側にダッシュをして、バイタルエリアもしくはDFラインの背後でパスを要求します。

遅攻のときは、この図のようにCとBが縦の関係になることが多くなります。その時は、パスを受け、いったん足元でボールを落ち着けてから、中央もしくは後ろの選手にはたいて、中に向かってジョギングします。

とにかく、Bの選手は、攻撃が淀みなく行われるように、サイドのスペースを創造しなければなりません。ここに突っ立ったままだと、マーカーにとって守りやすいだけでなく味方の邪魔にさえなります。

このように内側へのランニングをすることによって、Bのマーカーである敵のサイドバックの選手を、本来のポジションではない真ん中のゾーンまで連れて行くことができます。

Cはサイドバックの選手です。速攻のときも遅攻のときも走り出すタイミングが大事です。

Cをマークするのは敵のサイドハーフの選手です。Bが空いたスペースに走りこめば、敵のサイドハーフを相手陣内に押し込めることができるので、敵の攻撃を遅らせることにつながります。

Aはボランチかゲームメイカーの選手です。うまくスペースを使うには、Bの選手の動きだけに囚われず、その背後から飛び出すCの選手のこともちゃんと見ることが必要です。


このようにサイドに張った選手が、中に向かってランニングすることで、サイドのスペースを有効に活用し、同時に中央のゾーンの人数を厚くすることができます。

次→考えて走る6 日本人の走り方 寄るな寄るな

2010年8月27日

考えて走る6 日本人の走り方 寄るな寄るな

今回は日本人の走り方の特徴とその効果を考えていきます。

まずは日本人の走り方の特徴を整理します。ここではボールを保持している時のみ考えます。

1 サイドの選手はボールを受ける前に、外側に広がる

2 中央の選手はボールを受ける前に、ボールサイドに寄っていく

3 走るのが速い

4 チェックの動きが好き

5 パスを出した後、縦に走るコースがなければ、止まってしまう

6 FWの選手は斜め外に流れ出たり、プルアウェイをして外に広がっていく

7 前方のボールホルダーを追い越すときに、その味方の外側を通る(オーバーラップ)

まず1です。これは素晴らしい動きです。1998年から今に続くトレセン制度の効果ですね。元日本代表監督トルシェの貢献で広まった「ウェーブの動き」そのものです。

そして2です。これはダメです。重症です。日本サッカー界に巣食う病魔です。なぜこの「寄る動き」が発生するかというと、

・サイドを起点にしたつなぎを狙っているから

・育成に携わる指導者が、ボールを受けるときはボールに寄って、DFよりも先にボールに触りなさいと教えるから

です。確かに指導者の言うことは正しいんです。だけど、この状況ではルーズボールを奪い合っているんじゃないんです。味方がボールを持った時を考えているんです。パスのタイミングが読まれなければ、必ずパスは受け手に通ります。弱いパスじゃない限り。

日本で見られるサッカーの試合をスタンドから観戦するとほぼ全員がボールの方向に身体を向けて、ずるずるとボールに寄っていることがあります。サイドチェンジをして、ボールサイドが変わっても、みんなボール方向に寄って行き、時にはフィールドプレーヤー20人がピッチの6分の1程度のエリアに集まっていることがあります。



守備側にとってはとても助かります。なぜならゾーンディフェンスのやり方にかなっているからです。相手が自らゾーンの網にかかるようなポジショニングをしてくれれば、走る距離を少なくしてボールを奪うことができます。

ボールに寄るようにサポートすると、敵に簡単に自分をマークさせてしまいます。終いにはフィールドプレーヤーのほとんどがそのようにマークにあってしまいます。これがボールの動きを停滞させる要因になります。

この状況を打開しようとして、マークを外すために大胆に長い距離を走る選手が出てきます。すると、3の状況が生まれます。特に中盤の選手が縦にものすごいスピードで駆け上がり、後方からパスを引き出そうとします。

よく指導者がよく言う言葉です。「動きが止まってるぞ。動いてパスコースを作れ。中盤の選手はもっと積極的に飛び出して裏でボールを貰え。」

さて、これを繰り返すとどうなるでしょう。何回かは、チャンスを生み出せるでしょう。何回かは中盤の選手にボールが渡る前にボールを奪われ、逆襲を喰らうでしょう。そして間違いなく言えるのは、後半には選手の体力が尽き、ボールの動きだけでなく、ゲーム全体が停滞するでしょう。

まるで2006年ドイツW杯日本代表対オーストラリア戦のようですね。

これをなくすにはどうすりゃいいのか。ひとつの解決策はバルセロナが示してくれています。こちら→サイドステップと後ろ走りでボールから離れながらパスを引き出す方法


中盤とFWの選手がこの動きを取り入れ、ピッチを広く使うように心がければ、日本のサッカーのスタイルがだいぶ変わってくるはずです。

さて、4のチェックの動きに話を移します。日本人はほんとにこれが好きで、場合によっては3回4回とチェックを入れてマーカーを振り切ろうとします。これはフェイントや足技に凝るのと同じなんです。

日本人はとかくが好きで、技をもって敵に打ち勝つことが美学のような、侍魂を持っているんです。みんな宮本武蔵が好きなんですね。磨いた技で1対1に勝ち、それを積み上げれば11対11に勝てると思っている人も多いと思います。

でも、敵のマークを外す方法は他にもあるんです。それが複数人で走ってスペースを作るという方法です。原理は簡単です。背中で走ることを意識するんです。

特にスローインを受けるときに、簡単にポジションチェンジするように走れば、すぐにフリーで受けれます。

11対11に勝つには1対1に勝つことが不可欠です。しかし1対1は11対11の中で行われるのです。柔道の団体戦じゃないんです。1対1に挑むのに周りの助けを得られたほうが、遥かに戦況を有利に進められます。そのことを日本人は学ぶべきです。

では5について。これは選手がどこに走ったらいいか分からず、途方にくれているシーンです。加えて、自分がここに立って待っていることの意味もよく考えていない場合が多いです。

特にサイドハーフがタッチライン際まで開いてボールを受けたときです。このとき味方のサイドバックと縦の関係になることが多いのです。このときサイドハーフがボールをはたいてから止まっていると、サイドバックの上がるスペースを潰してしまい、攻撃が停滞することがよくあります。

これをしないためには中に絞る動きが必要です。くわしくはリンク先を見てください。

次は→考えて走る7 ゴール前のFWの動き方

2010年8月26日

考えて走る3 走り続ける

考えて走る2 背中はスペース製造機では走ることで生んだスペースを味方に活用させることを紹介しました。

では実際ピッチ上で実践するにはどうすればいいのでしょうか。

スペースを意識しながら走ることができない選手は、まず走り抜くことを考えるべきです。ボールを受けに走り出したら、途中で止まることなく、オフサイドラインを過ぎるまで走り続けます。ボールが来る来ないは全く関係なく。

ボールがなかなか出てこないからと言ってチェックの動きを入れたり、立ち止まったりしてはいけません。自分で作ったスペースをみすみす消すことになってしまいます。

パスを受けるために走り抜けたら、そこで終わりではありません。その位置で待っているのが得策なのか、あるいは元のポジションに戻っていくのが正解なのか、常に味方を助け敵を困らせるポジショニングを考える必要があります。

ときおりオフサイドラインを超えるまで走ってしまう時がありますが、そのときはゆっくり帰陣しながらオンサイドポジションに戻り、また裏への走りを試みることが必要です。上から見ると8の字を描くように動くことで、どこかのタイミングでパスを受けることができるでしょう。

また、自分にボールが回ってこなくても、決してふてくされずに、「今味方がボールを保持しているのは、自分の高い戦術理解力がなすランニングのおかげなんだ」というふうに考え、チームにポジティブな雰囲気を与えることが大事です。自惚れも時にはネガティブな感情を抑えてくれるのです。

こうした“犠牲になる走り”を繰り返すと、徐々に味方が上手にそのスペースを使ってドリブルをしたり、パスで展開してくれます。すると、自分のランニングが活かされてチームに貢献できますし、めぐりめぐって自分のところにパスが回ってくるかもしれません。

また、走り続けることのリスクも学べます。途中でボールを失った場合、自分が前方に走り続けた分だけ帰陣の距離が長くなります。こういう体験を積み重ねることで、走るための正しいタイミングと方向を学んでいくのです。

全く役に立たない走りも存在します。たくさん走っていても、自分の走りがチームに貢献していないと感じたならば、より高度なレベルのサッカーの試合を観戦し、そこで選手の走りに注目してみましょう。

味方を助け敵を困らせる走り方
は、それほどたくさんの種類があるわけではありません。ある程度パターン化して覚え、反射的かつ自動的にその動きができるようにすれば、ピッチ上でのプレー感覚が変わってくるはずです。

次→考えて走る4 サイドステップと後ろ走り

考えて走る4 サイドステップと後ろ走り

スペイン代表の試合を見ていると、ありえないシーンが連発します。たとえば、FWがノーマークでくさびをうけたり、中盤の選手がどフリーでバイタルエリアに侵入してパスを受けたり。レベルが高い試合なのに、スペインがボールをポゼッションすると、敵チームはまるでプレッシャーをかけれずにゆったりとボール回しをさせてしまいます。

これはなぜか考えながらよく試合を観察しました。すると、スペインの中盤の選手たちは頻繁にポジションチェンジを繰り返して、巧みにマーカーを振り切り、フリーでボールを受けているではありませんか。

しかも決してダッシュしたり、細かくチェックの動きを入れたりするのではなく、ゆったりとウォーミングアップでもしてるような速度で動きながらボールを受けているのです。

さらによく見ると、スペイン代表の中盤3選手、シャビ、イニエスタ、アロンソはサイドステップと後ろ走りを多用しています。



この動きは日本人のFWならだれでも知っているプルアウェイの動きと全く同じです。なんとスペイン人はボールを受けるために、ボールに寄らずに敢えてボールから遠ざかっていくんですね。パスを引き出すとはまさにこのことです。

パスを受けるときに、ボールに寄らずサイドステップなどで遠ざかることの利点は

1 ピッチを広く使える

2 敵の動きと反対になるのでフリーになれる

3 体力を消耗しない

4 視野が広がる

というのがあります。

3の体力の件については、ドイツのように縦へのランニングが多いと、インターバルで負荷がかかり、ゲーム終盤で体力切れを起こす心配がでてきます。シャビのように運動力は多くとも一定の速度で移動していれば、体への負担も少ないでしょう。

また、ほとんどのすべての選手がアウトオブプレーのときに後ろ走りではなくて、後ろ向きスキップをしています。やってみるとわかるんですが、このほうが足への負担が少なく感じられます。サイドステップを多用するほうが、通常の走り方をするよりも体力をセーブできるのかもしれません。
※追記→スキップがランニングより楽な理由

4については、実際にやるとわかるんですが、サイドステップは前に進まないので逐一横や後ろを見ていないと、だれかにぶつかってしまう気がして怖いんです。なので、とても積極的に首が振れます。

また体の向きもよくなるのでボールを受けたときにすぐに前を向けます。

フットサルやミニゲームのときにくさびを受けるポジションを任されたら試してみてください。フットサルならちょうど相手4人の間に立って、誰からも遠すぎず近すぎず均等な距離を保つようにすると練習になります。

コツとしては、ボールや味方の動きに合わせてサポートの動きをするのではなくて、敵を見てサポートの動きをすることです。厳密にいうと、敵とボールと味方のすべてを見る必要があります。誰にも自分をマークさせないように、中間的ポジションをとります。

はじめはサポートに行くスピードが遅くなることが気になるかもしれないですが、そこには目を瞑って、サイドステップと後ろ走りにこだわってボールを引き出してみてください。すると今までとは全く違った感覚でサッカーを楽しめます。

サイドステップと後ろ走りなんて小学生でも習います。サッカー経験者ならだれもが行う、あの有名なブラジル体操のなかにサッカーに本当に必要なエッセンスが入っていたんですね。

次→考えて走る5 サイドの使い方

関連記事→ポジショニングという技

考えて走る0 ボールの行方を見極める

走れと言われてもどうしたらいいかわからないのが選手です。日本代表クラスの選手でさえ、世界基準から比べれば、質の低い走りをしているのが現状です。

では、質の高い走りとはなにか。それは走るタイミングと走る方向が正しいということです。正しいという言葉は曖昧なので、敵を困らせ味方を助ける走りが質の高い走りと言い換えましょう。

今回は走るタイミングについて考えます。

走るタイミングがいい選手は、状況判断予測をする能力に長けています。どういうことかというと、いつ走るべきか知っている選手は、ボールの行方がわかる選手なのです。

つまり、ボールの行方を考えることこそ走り出しの質を上げることにつながります。

ではここで、ボールを取り巻く環境を整理してみましょう。

1 ボールは味方が持っている

2 ボールは敵が持っている

3 1と2のどちらでもない(つまりルーズボール)

1は攻撃時です。このときの走り方は別の項でまとめます。
2は守備時です。このときの走り方はチームのやり方によっても変わると思います。日本の守備時の走りの質はかなり高いことがW杯で証明されましたね。

問題は3です。このルーズボールのときに走るタイミングを見誤ると悲惨な事態を招きます。逆に判断がよければビッグチャンスになることもあります。

ルーズボールのときはそのボールが

1 味方のボールになりそうか

2 敵のボールになりそうか

3 どちらともつかないか

見極める必要があります。どちらに転ぶか判断がつかない場合は、両足を地面に着けてどの方向にも動き出せる体勢を取ります。

こういった攻守の切り替えの部分の質を高めることが現代サッカーでは求められてきます。

ボールの行方を見極めるための状況判断力や予測力は、サッカーセンスに依るところも大きいですが、実戦で意識を高めて経験を積み上げることで確実に向上します。

次は→考えて走る 走る意味とは

2010年8月25日

考えて走る2 背中でスペースを作れ

現代サッカーではスペースを与えてもらえません。ボールを中心にフィールドプレーヤーが寄って集まることで、一人ひとりの距離が近くなっているからです。

上空からピッチ上のある一瞬の写真をとればそのように写るでしょう。しかし、ピッチ上では時間が流れ選手たちは常に動いています。走っているのです。

走るということはスペースが作られることです。走るという行動はスペースが生まれるという現象を含んでいるのです。走り続ければスペースは生まれ続けます。ピッチ上の22人がスペースを求めて絶えず動き回ることで、ピッチ上には絶えずスペースが生まれつづけているのです。

まるで、宇宙空間で消滅と生成を繰り返す星星のようですね。。。

「ないない、スペースもパスコースもない」と言ってつなぐのをあきらめる前に、スペースの見つけ方の工夫をしてみるべきです。

ここでは簡単な例を見ながら、各選手が「走る=スペースの生成」ということをどのように意識しているか考えていきます。

↓BがFW、A,CがMFとします。



B:空いているスペースに走りこんでボールを受けようとします。このときに走りながらマーカーがついてきていることと、自分の背後にスペースを生んでいることを意識します

A:ボールホルダーのAはBが前方に走るのを確認して、その背後にスペースが生まれるということを予測し、そのスペースに入り込むCを見つけてパスを出します。

C:Bが前方を走るのを見て、その後ろのスペースを活かせればチャンスを作れるという意識で、タイミングを見計らって走りこんでAからパスを要求します。

俯瞰してみるとなんでもないプレーですが、選手たちはこのように考えて走っているのです。

走る選手の背中には活用すべきスペースとパスコースが生まれます。周りの選手が、走る選手を見た瞬間にその背後のスペースを使うイメージが持てれば、かならず相手のDF陣に対して先手を取ることができます。

ただし、走ることで生まれたスペースは敵チームにとって危険なものなので、すぐに消されてしまいます。活用できるタイミングを逃さないことが大事になってきます。

走るという至極単純なプレーが敵チームの脅威になるのです。しかし、このプレーを実現するにはボールに絡む数人の選手の意識が統一されていないとなりません。そういう意味では非常にレベルの高いプレーとも言えます。

一人が走り出せば、パスコースは2つに増えるということを理解してプレーが出来れば、オシム・ジェフ千葉のようなムービングフットボールが展開できるはずです。


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2010年8月23日

考えて走る1 走るとは

近年、サッカー界で頻繁に取上げられるキーワード「考えて走る」。この言葉を理解している人は一体世の中にどれほどいるのでしょうか?

南アW杯の試合中、サッカー解説者がこの言葉の意味を説明してくれるだろうと期待して観戦していましたが、話題にはするものの説明はいまいち説得力がなく、落胆させられました。

それでは自分で考えてみようというのがこの「考えて走る」シリーズです。

ここでは具体的なシーンを取上げて考えられた走りを一つづつ考えていきます

まず、「走る」とはどういうことか、整理してみます。

・走ることとは歩くよりも早く動くこと。瞬間的に両足を地面から浮かして移動すること。

・通常走る動作とは左右の足を交互に地面につくことだが、サッカーにおいてはスキップやサイドステップまたは両足で跳ねることも可能。

・自分が走った跡にはだれもいなくなる。走った跡にはスペースができる。

・自分が走ると相手がついてくることがある

・ピッチ上ではいつでも、どの方向にも走ることができる

・一つのポイントに向かって走っているときはもう一つのポイントからは遠ざかっていることがある

・同時に2つの違うポイントに接近することもできる

・基本的にピッチにいる22人全員が常に移動している

・走ると疲れる

とまぁ整理するはずが、走ることに対して余計混乱を招く結果になりましたが、一番大事なのはこの2つでしょう。

・自分が走った跡にはだれもいなくなる。走った跡にはスペースができる。

・自分が走ると相手がついてくることがある


走るということはスペースを生み出すということ。この真理をまず理解するべきです。

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