footballhack: ポストプレーとポケットプレー1

2011年1月31日

ポストプレーとポケットプレー1

タイで頑張ってる友人からFWの動き方に関するメールを貰い、非常に面白い展開になったので転載します。気の抜けた文章なので細かいところは余り気にせず読んでいただけるといいと思います。ここでは友人をAとします。Aの発言は緑色にします。


先週からあるチームに練習参加してる。今週よければ契約できるみたい。まあ、契約ここで取るつもりでやってる。

ここではFWでやってる。

・まず、FWのボールの受け方の種類にはどんなものがある?
例えば、DFを背負ってのポスト、DFとMFのポケットに入って受ける、DFの裏を狙う、プルアウェイで開いてもらう。等等。

・最近のネタにあったスペースに入る技、って言うのはDFを背負ってのポスト、の代わりにも成りうる?

※ここでは
3Dポジショニング
の項で書いた三角形の重心で受ける動きのことをポケットプレーと呼ばせていただきます。
簡潔に書くとFWの狙いはAの言うとおり、主に3つあって、優先順位をつけると

1 裏
2 ポケット
3 ポスト

になる。常に1か2 あるいは 1か3を適宜切り替えながらDFに2択を迫り駆け引きをすることが大事。つまりポケットプレーはポストプレーの代わりになる。

他にFWには、Aのいうとおり、プルアウェイがある。つまりサイドに流れて起点を作るというもの。他には細かいけど、外から中へのランニングやオフサイドポジションへの位置取りや引いてきて中盤を助けるというものがある。どれをするにも重要なのは味方の動きと被らないように、または味方が動いてできたスペースに流れるようにすることかな。味方との連動や味方の性格やプレースタイルの把握やチームの意向などが関係するように思う。

最近思うのはピッチの広さも、22人分の体積も毎回大差ないわけだから、どっかにスペースはある訳だし、作る事も可能だってことだよね。プルアウェイで 外、駄目なら中、常に流動的に動いてスペースを探し続けることの大事さが少し分かってきた。後はボールを受ける時の身体の向きで通常より広くスペースを使える、気がしてる。つまり探す時の移動手段も大事ってこと。少しずつだけど。 

・その中で僕ぐらいの背丈の選手に向き不向きの受け方はあると思う?
あるいは僕みたいなタイプが狙うべき動きの優先順位はあると思う?(勿論相手との駆け引きだから一概には言えないだろうけど)

ポストになるということはDFを抑えながらプレーするということだから、逆に言うと常にDFに自分の動きを制限させてしまう事を意味する。これはプレー精度を落とすことにつながる。ドログバのように体の大きな選手は上手くDFの動きを制限できるから有効だけど、香川やマンCのシルバやテベスは体が小さいから自らDFに体を預けるようなことをしない。その代わりにポケットに入る。

だから、Aにおすすめな動きは常に裏を狙いながら要所でポケットに入って足元でボールを受けて前向きにプレーすること。体の小さなAや日本人にはポストプレーは不向きだと言わざるをえない。

・DFを背負ってのポストと比べてポケットプレーのメリット、デメリットはなんですか?

ポケットプレーのメリットデメリット
利点はなんといってもゾーン破壊力がはんぱないこと。アジアカップ決勝を見てもわかるとおり香川不在で日本の中央突破は皆無に等しかった。翻って韓国戦までは香川に縦パスが入るところから攻撃がスピードアップしてDFを一枚ずつはがしながらショートパスで崩すことに成功していた。ポケットプレーは中央突破を可能にするから、結果的に外中外のいいリズムを生むこともできる。

ただしポケットプレーの条件は、後方で味方が正確で素早い横へのパス交換ができることと受け手のコントロールの技術。ポケットポジショニングはボールが自分から遠いところにある段階からバックステップなどでいいポジションに侵入してパスを待つところから始まる。そこにパスが来なければ意味が無いし、パスを受けてもいいコントロールが出来なければパスはおろかドリブルも出来ずに囲まれて奪われる。ポケットプレー=狭いスペースでのプレーってことだね。

つまりポケットプレーのデメリットはプレー難易度の高さにあると思う。チームとしてのつなぎ、コントロールの技術、狭い中での素早い判断。非常にチャレンジングなプレーだよね。

あと、ポケットポジショニングはボールホルダーに2つ目のパスコースを提供することも忘れてはならない。中途半端なポジショニングは周辺のDFの意識を集めるから、ボールホルダが自分へのパスを囮にして第2のパスコースを見つけることができる。これもボールホルダのパステクニックがある程度高いことが条件。

・相手を背負ってのポスト、ってのはプレッシャーが自然とかかるものだよね。あまり成功できずに苦手意識があるんだけど、どういうことを意識すれば成功率は上がるだろうか?

ポストプレーのメリットデメリット
ポストプレーに関しては個人的にかなり否定的な見解を持っている。その理由は、DFとの体の接触を促すがゆえポストプレーヤーがミスをしやすいこと、パスコースが読まれやすいこと、ポストプレーから第三の動きという一連の崩しが使い古されていて簡単に予測が立つこと、敵はおろか味方までも集まってきてしまい人口密度があがること。

とはいえ、ポストプレーヤーの体格が十分であれば(四肢が長く体重が重ければ)ポストポジションに入ることでDF一枚を確実に殺せるから有効ではある。ポストからターンなんて芸当が成功すればDFにとってこれほど怖いものはない。

自チームが守備から攻撃に移るときにハーフウェイラインあたりで体を張って起点を作るプレーはどうしても求められてしまう。だから、ポストプレーから逃げることはできない。

ある程度のポストプレー技術は持っていないといけないんだね。 

ポストプレーのテクニックについては、僕自身が苦手だからうまく説明できないけど、いくつかあって、
1 DFの動きを制御する
2 ボールにプレーする
3 ファールをもらう

1についてはいま書きかけの記事があるから今度アップするけど、DFの膝を押さえるというものがある。手や尻をDFの膝に当てて動きを押さえてしまえばプレーエリアを確保できるよねという話。これをするためにクサビのパスは足の裏でコントロールすることがおすすめ。南米系のFWは必ず足の裏で縦パスを後ろ向きにトラップする。自然にDFの腿に自分の尻を付けやすくなるからね。ボールを足の裏と地面で挟んでしまえばコントロールが大きくなる心配もなくなるし。

これは僕が今までしてこなかった事だね。新しく覚える必要がある。ポストに入って相手から逃げながらボールをコン トロールすることは、難易度が高いし、相手に背を向けながら逃げれば追ってくるわけだから、自ら自分が有利になるように相手に身体をぶつけた方が成功率は 高いのかもしれない。って考えるようになった。

2について、日本ではボールに触れずにDFを抑える方法でスクリーンする方法が指導されるけど、これだとDFの力が強い場合ボールを守れない。常に先にボールを触れるようにしてDFの動きを感じながらボールを動かしていけば、無理にDFが取りに来たときにファールを貰い易い。

3については僕が言えることはなにもない。点は取れないけどいつもスタメンのFWという人種が世界には多く存在するが、彼らの共通点はファールを受けるのが上手いということ。体をはれるから、痛い思いをしてもチームに貢献したいという強い気持ちがあるからできる術だ。これは実戦で学ぶしかない。

尚、件の蹴球計画に「背面正対」とも言えるようなポストテクニックが紹介されているので参考にしてほしい。→
蹴球計画 「ファン・ニステルローイのマークのずらし方、シュート」


ポケットプレーはサッカーの向上心をそそるが、ポストプレーの成功の為には体格など先天的な条件が揃わないと難しいという意味で、ポストプレーのほうが相対的に難易度が高いと考えている。

ポケットプレーについての補足。
ポケットプレーにはファーストタッチの上手さが絶対条件になる。藤本や柏木のようにボールを体から離してしまったり、近づいてくるDFに気づかなかったりするとまず成功しない。成功させるにはまず、準備動作。ポジショニング動作をする、体の向きを調整する、首を振る、軽くジャンプする、両足を地面につける、体を軽く浮かす、そこからまず周辺のDFに取られない場所にボールをトラップする。僕は 2タッチコントロールをおすすめするけど、ボールを奪われなければある程度ボールを体から離してうごきだしてもいいと思う。

身体の向きの調整にすることによって近づいてくるDFを牽制できることも考えれたら尚いいね。

それともう一つ、これも動画を揃えてる最中なんだけど、受ける直前に2,3歩後退してトラップする技がある。イニエスタが得意なんだけど、香川もよくする。パスが放たれボールが自分へ転がってきたら、2~4歩くらいバックステップを踏んで、軽くジャンプしながらターンする方法。これが出来るとDFのアプローチの角度を少しずらせるから、プレーの選択肢を増やすことが出来る。ただし、トラップの時足を浮かせすぎてボールをスルーさせやすいので気をつけたい。

僕はこのポケットプレーを身につけた方が、積極的にポストに入るより大成出来る気がするんだけど、どうだろう?

その可能性はポストプレーを極めることと比べれば高いだろうね。Aのみならず、日本人の全サッカー選手がポケットプレーを極めてより高い次元のサッカーを国内で見れるようになることを切に願います。

次→ポストプレーとポケットプレー2





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