footballhack: ポジショニング4 ポジショニングという技

2011年1月22日

ポジショニング4 ポジショニングという技

前回まで攻撃時のポジショニングについておおまかに説明してきました。その内容は「ポジショニングとは何か」「2Dポジショニング」「3Dポジショニング」に分けられました。

今回のポイントは「ポジショニングとは技である」と敢えて言うことで、その方法を強く意識してもらうことにあります。

話は変わりますが、サッカーのピッチ上で移動方法は大きく分けて4つあります。


止まる   歩く   跳ねる   走る
遅い     移動スピード       速い



「止まる」は移動に見えませんが、周りの選手が動いてる限りにおいて、止まることで相対的にポジションを変えることが出来ますので、移動手段に組み入れます。

ここで重要なのは「跳ねる」 です。跳ねるとはサイドステップ、バックステップ、スキップあるいは軽いジャンプです。

今回の記事の主旨はこうです。『攻撃におけるポジショニングとは、サイドステップやバックステップなどのスキップ系の移動を意図的に使うことで、体の向きや移動スピードを調整しながら有効なスペースに陣取る技である』


簡単に言うと、ポジショニングを考えるときはサイドステップとバックステップが有効な技である。ということになります。

では下の映像を見てみましょう。


ほとんどの選手がボールを受ける前にサイドステップやバックステップを使っています。

移動時にサイドステップやバックステップの使用頻度を上げる利点は3つあります。

1 移動スピードをコントロールできる

2 準備姿勢を自然に整えられる

3 疲れない

1について。「走る」移動手段しか持たない選手の場合、パスを受けるタイミングは一瞬だけになります。また、背中側へ出されたパスへの反応が遅れます。スキップ系の移動が使えれば、出し手の姿勢を見ながら移動スピードを調整できるので、パス交換の機会やタイミングを増やすことが出来ます。

2について。サッカーにおける準備姿勢についてくわしくはこちらを御覧ください→蹴球計画 「サッカー選手と準備動作」
とにかく両足を地面に着けておくことが大事です。この状態を断続的に作り出せるのがスキップ系の移動法です。トラップは基本的に軽くジャンプした状態で行われますから、スキップ系のステップワークでパスを待つことは非常に理にかなっています。

その場に留まる場合でも、軽いジャンプを連続して行うことで、少しのパスのズレにも素早く反応でき、ミスパスをパスミスにしないコントロールが出来ます。バルサの選手はパスが正確なだけでなく、受け手側の補正能力も高いのです。

3について。ただ、個人的に疲れないなと思うだけです。アウトオブプレー時に多くの選手が後ろ向きスキップを使用するのを見るので、あながち嘘じゃないなと思ってるんですが。専門機関の研究結果が出ていれば知りたいところであります。
※追記 スキップがなぜ疲れないかは右の「スキップがランニングより楽な理由」という記事をご覧ください


こんな当たり前なことがなぜ日本サッカー界では常識とされていないのか不思議でなりません。守備のポジショニングをとるときはどの選手も自然にバックステップや後ろ走りやサイドステップを使いますし、動き出しのいいFWはバックステップを使ってDFの視野から消えるようにプルアウェイをします。つまり、部分的に良いとされる動きやプレーが全ポジションで普遍化されていないという現象について頭を傾げざるを得ないというのが個人的な思いです。

関連記事→考えて走る サイドステップと後ろ走り

4 件のコメント:

  1. はじめまして、いつもわかりやすい解説、動画ありがとうございます。

    今回開設された動きとは、ウェーブの動きの応用とも考えられますね。

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  2. はい。というかウェーブの動きそのものです。バルサの中盤の選手は3,4歩の小さいウェーブの動きを繰り返しているからこそ、フリーでパスを受けることが出来るのです。

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  3. 道民蹴球小僧金曜日, 2月 22, 2013

    最近このブログを発見して過去記事を読んでいます。

    僕はいま高校の部活動でサッカーをやっているのですが

    全国高校サッカーでもこのレベルのプレーをやっている選手を見たことがありますか?

    高校生ではバルサやアーセナルみたいな美しいサッカーは出来ないと思います。

    どうでしょう?

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    1. 部分部分ではいます。昨年か一昨年のu-17w杯の日本代表がかなりいいサッカーをしてました。柏の秋野とかがいた時です。横を広げて中央を空けて、バックステップを使ってポケットにうまくポジショニングしてましたね。

      高校レベルだと滝川二高が良いサッカーをしてました。個人個人を見ればいいレベルの選手はいます。ただ、チーム全体で組織的に行なっているチームはなかなかありません。理由は芝に水をまいてないこととキック力が不十分なことです。

      バルサやアーセナルはピラミッドの頂点にいるわけでそこまで選抜された選手達だからこそああいうサッカーが出来るのです。高校レベルだとピッチ全体であのレベルを目指すのは無理です。局面だけ切り出せば理想を追い求めることはできます。

      世界レベルがお手本になるのは局面だけだと理解しましょう。勝つことが目標ならチーム全体を世界レベルと比較することは無意味です。その年代でベストのサッカースタイルを目指せばいいまでで。

      それを知るにはu17年代の世界大会を見ることです。くまなく録画して繰り返しみてみてください。参考になると思います。

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