考えて走る2 背中はスペース製造機では走ることで生んだスペースを味方に活用させることを紹介しました。
では実際ピッチ上で実践するにはどうすればいいのでしょうか。
スペースを意識しながら走ることができない選手は、まず走り抜くことを考えるべきです。ボールを受けに走り出したら、途中で止まることなく、オフサイドラインを過ぎるまで走り続けます。ボールが来る来ないは全く関係なく。
ボールがなかなか出てこないからと言ってチェックの動きを入れたり、立ち止まったりしてはいけません。自分で作ったスペースをみすみす消すことになってしまいます。
パスを受けるために走り抜けたら、そこで終わりではありません。その位置で待っているのが得策なのか、あるいは元のポジションに戻っていくのが正解なのか、常に味方を助け敵を困らせるポジショニングを考える必要があります。
ときおりオフサイドラインを超えるまで走ってしまう時がありますが、そのときはゆっくり帰陣しながらオンサイドポジションに戻り、また裏への走りを試みることが必要です。上から見ると8の字を描くように動くことで、どこかのタイミングでパスを受けることができるでしょう。
また、自分にボールが回ってこなくても、決してふてくされずに、「今味方がボールを保持しているのは、自分の高い戦術理解力がなすランニングのおかげなんだ」というふうに考え、チームにポジティブな雰囲気を与えることが大事です。自惚れも時にはネガティブな感情を抑えてくれるのです。
こうした“犠牲になる走り”を繰り返すと、徐々に味方が上手にそのスペースを使ってドリブルをしたり、パスで展開してくれます。すると、自分のランニングが活かされてチームに貢献できますし、めぐりめぐって自分のところにパスが回ってくるかもしれません。
また、走り続けることのリスクも学べます。途中でボールを失った場合、自分が前方に走り続けた分だけ帰陣の距離が長くなります。こういう体験を積み重ねることで、走るための正しいタイミングと方向を学んでいくのです。
全く役に立たない走りも存在します。たくさん走っていても、自分の走りがチームに貢献していないと感じたならば、より高度なレベルのサッカーの試合を観戦し、そこで選手の走りに注目してみましょう。
味方を助け敵を困らせる走り方は、それほどたくさんの種類があるわけではありません。ある程度パターン化して覚え、反射的かつ自動的にその動きができるようにすれば、ピッチ上でのプレー感覚が変わってくるはずです。
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上の記事のように、ずっと走っていられることは非常に大事だと思います。よく、「サッカーは90分間走れる‘体力’が大事だ。」だったり、「サッカーは体力より‘瞬発力’が大事だ。」とか、いろいろな意見があるのですが、ほんとうに必要なのはどちらなのでしょうか?
返信削除共に大事で比率はポジションによって変わります。この記事の主旨は、走り続けることで考える機会を得ることです。チェックの動きやウェーブの動きに囚われすぎてしまうと、出し手と受け手の2者関係でしかパスを考えられません。受け手となる自分ともう一人ほかの受け手を意識することで、一人でマークを外さなければいけないという固定概念から解き放たれ、コンビネーションランで打開する方法が見えてきます。これはひとつの戦術眼の向上を意味します。
削除実際に頭を使って走れるようになれば、自ずと無駄走りが減り、より有効に瞬発力を活かせる様になります。