■攻守のサイクルと実力差
前回からの引用図をさらに詳しく説明しますと↓この図の指し示す重要な問題はそれぞれのステージへの移行の仕方です。つまりこの図においては、文字よりも矢印が重要だと言いたいのです。
原則的には水色の矢印が示すとおりに①→②→③→④と循環するのがサッカーというスポーツです。これは育成からプロから草サッカーからバルセロナまで変わりません。(団子サッカーにはないかもしれませんが。。。)
しかし、チーム間に力の差がある場合③まで到達せずに④へ移行したり(Aの矢印)、①と②の繰り返し(Bの矢印)になってしまうこともあります。
テクニックや身体能力で劣るチームや機能していないチーム、総じて弱いチームは、③を経由しないサイクルに陥ることが度々起こります。
Aの矢印をたどり①→②→④の循環が示すサッカーの一例は、縦ポンといわれる縦に速いサッカーです。またはダイレクトプレーを重視し、個の力やコンビネーションで押し切るサッカーもこの循環をたどっています。現在のマドリーはこのスタイルのサッカーでは最強ではないでしょうか。
Bの矢印が示す①→②→①→②の循環は、よほど実力差がない限り起こりえないでしょうが、アマチュアレベルで稀にみることができます。とにかく縦に蹴っても繋がらないどころかまともにクリアすら出来ない状態に陥ります。試合中に泣き出してしまうかもしれません。
無理に③の時間を増やそうとすると、ボールロストした直後相手の②の力に自軍の④がいとも簡単に突破され失点します。つまりカウンターでやられるってことです。
したがって戦略的に攻撃時間を減らすことでゲームを支配しようとするチームが現れることになるのです。
この手のチームは非常に多いです。全世界の半分以上はこういうチームなんじゃないかなと思います。自チームより強いチームを相手にするとき、少しでも勝つ可能性を高めたいなら守備的なチームづくりをするのは当然です。
反対に③を経由できるチームとはどんなチームでしょうか。もちろん強くて上手くて速いチームです。相対的に相手チームより自チームが同等以上の力があれば①→②→③→④のサイクルを手に入れられるでしょう。
自チームより強いチームがいない場合、堂々と攻撃的に戦うことが出来ます。負ける可能性が低いのならば楽しいサッカーをしようじゃないかと。攻撃時間を増やすことで、③→④→③→④という理想のサイクルを手に入れます。ポゼッションサッカーの完成です。至上の喜びを味わえそうです。
しかし現実では、実力が拮抗した相手に挑む時でさえ守備的な戦術を取るチームが非常に多いです。なぜなら長いリーグを戦う場合や、メンバーを固定して戦う場合、ある程度戦術を固めたほうが安定した成績を残せるからです。毎回対戦相手に合わせて攻撃重視でいくか守備重視でいくか変えていては、効率のよいチームづくりが出来ません。
こういった理由でチームづくりを始める際は①のセットディフェンスから構築する監督が多いようです。
守備時の連動したポジショニングとはつまりセットディフェンスの構築にほかなりません。全員が帰陣し守備配置を整えた段階で、つまりブロックを形成した状態で、ボールの位置に合わせて連動してポジショニング修正をする習慣をザックさんは叩き込んだわけです。
映像で見る限り、市船とかでやってそうなシンプルな戦術練習を行っていました。どういう練習かというと書籍「世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス」(宮崎隆司著)に詳しく書かれているものだろうと思われます。
縦への意識とは、守備から攻撃への切り替えにおいてよりダイレクトにゴールを目指すということです。縦へ走ることで敵を置き去りにし、縦へのパスコースを増やし、良質なカウンター攻撃を生み出しやすくする意識付けです。
上の図で言うとちょうど①と②の部分を改善している最中なのですね。“ザッケローニ氏はサッカーの攻守の切り替えにおける四つのステージに関して、一番目の守備構築と二番目の守備から攻撃への切り替えの2つを重点的に日本代表へ指導した”と書けば今までの文章は全て用なしになってしまうわけです。回りくどすぎました。。。
サッカー史に名前を刻んだ名監督は、特にアリゴサッキに代表されるイタリア人監督の多くは、クライフが率いた「ドリームチーム」バルセロナのトータルフットボールに影響を受けたと言われています。ザックさんも例外ではなく、、、という話は他で語られているので端折ります。
何が言いたいかというと、監督も選手も観客も皆、攻撃的サッカーが好きなんです。だけど、結果を残すには守備的に戦うことが最短の道であることはサッカー界では常識になっています。一観客としては、ザックさんの日本代表改革が「セットオフェンス」の領域まで進んでいくことを真に願う次第であります。
余談ですが、某スポーツニュース番組のインタビューで清水の岡崎選手が「指示が細かい」などの発言をしていました。また、ガンバの遠藤選手は「中学生でもわかる当たり前なこと・・・」とおっしゃってました。
今更「細か」くて「当たり前なこと」を指導される意味を考えた上での発言なら何も文句はありません。これらの言葉を素直にとると、ザックさんに否定的な解釈もできます。もしかしたら敢えてネガティブにも取れる表現をすることで、メディアを通して僕らにメッセージを送っているのかもしれない、なんて深読みをしてしまいました。単に番組制作側の問題かもしれません。
Aの矢印をたどり①→②→④の循環が示すサッカーの一例は、縦ポンといわれる縦に速いサッカーです。またはダイレクトプレーを重視し、個の力やコンビネーションで押し切るサッカーもこの循環をたどっています。現在のマドリーはこのスタイルのサッカーでは最強ではないでしょうか。
Bの矢印が示す①→②→①→②の循環は、よほど実力差がない限り起こりえないでしょうが、アマチュアレベルで稀にみることができます。とにかく縦に蹴っても繋がらないどころかまともにクリアすら出来ない状態に陥ります。試合中に泣き出してしまうかもしれません。
無理に③の時間を増やそうとすると、ボールロストした直後相手の②の力に自軍の④がいとも簡単に突破され失点します。つまりカウンターでやられるってことです。
したがって戦略的に攻撃時間を減らすことでゲームを支配しようとするチームが現れることになるのです。
この手のチームは非常に多いです。全世界の半分以上はこういうチームなんじゃないかなと思います。自チームより強いチームを相手にするとき、少しでも勝つ可能性を高めたいなら守備的なチームづくりをするのは当然です。
反対に③を経由できるチームとはどんなチームでしょうか。もちろん強くて上手くて速いチームです。相対的に相手チームより自チームが同等以上の力があれば①→②→③→④のサイクルを手に入れられるでしょう。
自チームより強いチームがいない場合、堂々と攻撃的に戦うことが出来ます。負ける可能性が低いのならば楽しいサッカーをしようじゃないかと。攻撃時間を増やすことで、③→④→③→④という理想のサイクルを手に入れます。ポゼッションサッカーの完成です。至上の喜びを味わえそうです。
しかし現実では、実力が拮抗した相手に挑む時でさえ守備的な戦術を取るチームが非常に多いです。なぜなら長いリーグを戦う場合や、メンバーを固定して戦う場合、ある程度戦術を固めたほうが安定した成績を残せるからです。毎回対戦相手に合わせて攻撃重視でいくか守備重視でいくか変えていては、効率のよいチームづくりが出来ません。
こういった理由でチームづくりを始める際は①のセットディフェンスから構築する監督が多いようです。
■ザックさんのチームづくり
ここでザックの言葉を登場させましょう。先日の親善試合前の合宿で選手に叩き込んだことは2つだとされています。「守備時の連動したポジショニング」と「縦への意識」です。守備時の連動したポジショニングとはつまりセットディフェンスの構築にほかなりません。全員が帰陣し守備配置を整えた段階で、つまりブロックを形成した状態で、ボールの位置に合わせて連動してポジショニング修正をする習慣をザックさんは叩き込んだわけです。
映像で見る限り、市船とかでやってそうなシンプルな戦術練習を行っていました。どういう練習かというと書籍「世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス」(宮崎隆司著)に詳しく書かれているものだろうと思われます。
縦への意識とは、守備から攻撃への切り替えにおいてよりダイレクトにゴールを目指すということです。縦へ走ることで敵を置き去りにし、縦へのパスコースを増やし、良質なカウンター攻撃を生み出しやすくする意識付けです。
上の図で言うとちょうど①と②の部分を改善している最中なのですね。“ザッケローニ氏はサッカーの攻守の切り替えにおける四つのステージに関して、一番目の守備構築と二番目の守備から攻撃への切り替えの2つを重点的に日本代表へ指導した”と書けば今までの文章は全て用なしになってしまうわけです。回りくどすぎました。。。
サッカー史に名前を刻んだ名監督は、特にアリゴサッキに代表されるイタリア人監督の多くは、クライフが率いた「ドリームチーム」バルセロナのトータルフットボールに影響を受けたと言われています。ザックさんも例外ではなく、、、という話は他で語られているので端折ります。
何が言いたいかというと、監督も選手も観客も皆、攻撃的サッカーが好きなんです。だけど、結果を残すには守備的に戦うことが最短の道であることはサッカー界では常識になっています。一観客としては、ザックさんの日本代表改革が「セットオフェンス」の領域まで進んでいくことを真に願う次第であります。
余談ですが、某スポーツニュース番組のインタビューで清水の岡崎選手が「指示が細かい」などの発言をしていました。また、ガンバの遠藤選手は「中学生でもわかる当たり前なこと・・・」とおっしゃってました。
今更「細か」くて「当たり前なこと」を指導される意味を考えた上での発言なら何も文句はありません。これらの言葉を素直にとると、ザックさんに否定的な解釈もできます。もしかしたら敢えてネガティブにも取れる表現をすることで、メディアを通して僕らにメッセージを送っているのかもしれない、なんて深読みをしてしまいました。単に番組制作側の問題かもしれません。
おっしゃることは、物事を単純化しすぎていますね。
返信削除むしろアンチェロッティの本に書いてあった事の方が正しいし、
現実に即していると思われます。
「プレス」は守備そのものの一部であって
攻撃から守備への切り替えではありません。
同様にカウンターは攻撃そのものの1つの形であって
守備から攻撃への切り替えではありません。
攻撃から守備への切り替えは攻撃の状態の時に
前もって備えておくものによって善し悪しが決まるのであって、
無防備状態からボールを奪われて、その後動いても間に合いません。
守備から攻撃も同様です。
ボールはミスから奪われるのであって、
それは意図しない状況で起こります。
意図しない状況で「プレス」と言うのは、意味が通じません。
「プレス」は意図した個人戦術だからです。
プレスが出来るのは貴兄が言う「セットディフェンス」の状態になってから。
ボールを奪われた時はコントロールできない状況ですが、
それに前もって準備するのがディフェンスというポジションであり、
奪われたところからディフェンスが始まるけれど、
その時に取れる選択肢はプレスの他にリトリートだってあるわけです。
リトリートも状況によって、十分に正しい「攻守の切り替え」プレーです。
コメントありがとうございます。ぼやき程度の長い駄文なのでそんなに力を入れて書いたわけではないんですけど、読んでいただけて光栄です。
返信削除サッカーはルールがシンプル故に非常に複雑なゲーム構造をしています。他のスポーツに比べてアウトオブプレーの時間が非常に短いのでゲーム構造を分割することが難しいからです。
おっしゃるとおりこの記事はサッカーで起こる現象を過度に単純化しています。しかし、そうしないことには自分の頭では容量オーバーになってしまうんです。
いにえすったさんの文を読むとカウンターやプレスという言葉の定義が自分と幾分か異なっているように感じます。その辺はきっとアンチェロッティの戦術ノートを読めばわかるのでしょう。機会があったら読んでみます。