4-4-2同士の攻防ではサイドでの覇権争いが重要になります。
左図の赤丸で囲まれた状況を考え、対応すべき方策のいくつかを挙げたいと思います。
左の図では黄色丸のチームが守備側、赤青の人型が攻撃側です。
今は攻撃側の右サイドバックがボールを持ち、右サイドハーフへの縦パスを狙っています
黄色チームの左サイドバックはオフサイドラインを形成するためこの位置にポジショニングし、その前の左サイドハーフはブロックを作るようにして、この位置に構えています。
縦パスが入ったところから、黄色の2人の守備陣の動きを見ていきます。
まず一般的に考えられるのが、マンツーマン的なバランスを維持しながら寄せるという方法です。
1対1で勝てると見込める場合や相手の攻撃のコンビネーションが悪い時は有効です。
小学生でもできる方策です。考えるべきことがはっきりしているのでボール際の攻防に集中できます。
このあとに考えられる展開はどんなものがあるでしょう。
攻撃側は7割くらいの確率でオーバーラップを仕掛けてくるでしょう。
このとき、マンツーマンの意識が強すぎると左のようにサイドハーフが長い距離を移動してカバーリングに回ることになります。
こうすると、サイドハーフの選手は疲れます。
サイドハーフの選手はカバーリングの為に味方と敵の合わせて2人分走るコースを迂回せざるを得なくなります。すると相手のサイドバックの選手にボールが渡ったときに、寄せ切れないことがあります。
マッチアップを崩さないという意味ではこのほうがいいのですが。
次はよく言うスライドってやつです。
黄色の守備2人がズレることでマーク対象をスイッチします。
こうすると2人で走る距離を等分できますし、攻撃側のサイドバックにボールが渡った際に、より近い位置まで寄せることができます。
ただし、スピードの伴ったオーバーラップに対してパス交換が完璧に行われると置き去りにされる可能性があります。また、マーク対象をスイッチする瞬間ボールホルダーがフリーになるので、上手い選手だとその一瞬を逃さずに打開を図ってきます。
以上サイドの2対2からのオーバーラップに対する守備でした。現在では後者の方法が取られることが常識となっています。
つぎは少し戻って、前段階で他に打つ手はないか考えます。
よく言われるのが「囲んで奪え」ということです。
サイドバックが縦を切り、サイドハーフが中を切るようにして近くまで寄せていき、タッチラインと挟むようにしてボールを奪います。
全力ダッシュで寄せないとこの状況は作れません。
ボールホルダーが明らかに下手な場合や、パスのズレなどでボールホルダーが体勢を崩している場合は有効です。
ではボールホルダーが上手い場合はどうなるかというと。
簡単に後ろにはたかれ、サイドを変えられるか、勢い良く寄せた分バイタルエリアを空けてしまうので危険なパスを出されてしまいます。
ボールサイドだけ性急な守備をすると他の選手(ここでは中央や逆サイドの選手)と連携が取れずにスペースを空けてしまいます。
これを繰り返していると守備側は本当に疲れます。やられている感が募っていき試合終盤にトドメを刺される可能性が高まります。
また、ドリブル突破されることも考えなければなりません。
寄せていった分、かわされた後のスペースが大きくなり、相手に余裕を与えてしまいます。
奪えれば良いが奪えない場合ピンチを招くというリスキーな守備が、この「囲んで奪う」です。
では上記以外の守備の方法を考えてみましょう。状況を最初の段階に戻して考えます。
この状況からサイドハーフが相手のサイドハーフに寄せます 。
サイドバックの選手はポジションを下げるようにカバーリングに入ります。
すると、この状態からは、相手がオーバーラップしてきてもスライドせずに対応でき、縦への突破もカバーリングによって対応できることがわかります。
また、ダッシュして寄せる必要がなく、ゆっくり寄せていけばいいので、中央や逆サイドの味方との連動も簡単です。
この方法で守備をする限り、サイドにボールが展開される度にDFラインを下げざるを得なくなります。しかし、これはゾーンディフェンスの目的に適っています。これを繰り返すことで相手の攻撃のスピードをコントロールし、結果的に自陣ゴールラインと味方DFラインの間を狭め、相手に活用できるスペースを与えないことで決定機をつくらせないことができます。加えてGKの助けも得られます。
理想としてはこの状態から左のように、ボールホルダーに縦にドリブルさせ2人で追い込んで奪えるといいです。
サイドバックを余らせる、あるいはサイドバックにスペースを守らせることで、サイドの深い位置を攻略されることを未然に防ぐ方法です。
トップレベルの試合で守備時にサイドバックの選手がなにもしていないように見えるのはこのせいです。
以上サイドの2対2を見てきました。最後に説明した方法はプロリーグで頻繁に見られるのでチェックしてみてください。
0 件のコメント:
コメントを投稿