footballhack: 日本と世界 ストリートサッカーの現状

2010年10月1日

日本と世界 ストリートサッカーの現状

サッカー選手にとって幼少期のプレー体験が一番大切です。それはトッププレーヤー達の動きを見ればよくわかります。

世界で活躍する選手たち、そしてサッカー史において伝説となった選手たちはみなストリートサッカー出身者です。彼らを発掘した指導者やスカウティングスタッフは口を揃えて言います。「彼らは我々が育てたのではない。自然発生したのだ。彼らの生まれ持った才能をたまたま我々が見つけただけだ。」

このことが意味することはただ一つ。才能のある選手はストリートサッカーでサッカーを学んだということです。

才能が確率論的に発生するとしたらなぜ日本で世界的レジェンドと呼ばれる選手が生まれないのか。その理由の一つには、日本の育成年代での指導不良が挙げられます。そうだとしても才能のある選手は勝手に育っていくものです。この原因に対して僕は、日本におけるストリートサッカーの現状がサッカー先進国に比べて劣ったものであるからだと考えます。

サッカー先進国でのストリートサッカーは

1 年齢の離れた子供達が一緒になって遊ぶ

2 時には大人も混ざる

3 必ずゴールが二つ設定される

4 みな負けず嫌いなので削りあうこともしばしば


という特徴を持ちます。これらの要素がビッグな選手を育むのだと思います。以下説明です。

1 年齢の離れた子供達が一緒にサッカーをすると、自然と身体能力差が生まれます。小学生以下の年齢だとこれはかなり顕著です。よって小さな子供は大きな子供に打ち勝つためになんらかの工夫を強いられます。これがテクニックを磨く助けになります。

また年上の子供は年下の子供よりプレー経験が長いのでサッカーが上手です。その上手なプレーを見て年下の子供は真似をします。毎日の遊びの中で本能的にサッカーを学ぶということが可能になるのです。日本代表の遠藤保仁選手も尊敬する選手に二人のお兄さんを挙げています。本田圭佑選手にも幼少期に一緒に練習したお兄さんがいます。いい選手は次男、三男・・・(以下略)の場合が多いです。年齢的に縦割りのなかで遊んでいると自然とプレーを盗む機会が増え、洗練されたプレーが身についていきます。

日本では幼稚園保育園から小中高と横割りの友達関係が築かれやすい傾向があります。同年齢の中で遊んでいては上記のメリットを得られません。

2 大人も混ざることでストリートサッカーのレベルは格段に上がります。参加する大人の技量は問題ではありません。子供の遊びの中に大人が入ると、その大人の影響力というのは強大になります。サッカー先進国において子供のストリートサッカーに入る大人というのは、たいてい大のサッカー好きです。彼の飛ばす激や指示は、テレビ解説者のごとく機知に富み、子供達に先進国的サッカー観を伝授していくのでしょう。戦術的な面で大人が子供の上達を助けるのだと思います。

日本では子供の遊びに大人が混ざることはあまりないですし(ここではクラブの練習でのミニゲームは除きます)、混ざったとしてもその大人がサッカーを知らないことが多いと思います。サッカーを知らないの大人というのが問題で、大人というのは常に子供に対して影響力が強いので、間違った考え方が子供に植え付けられやすいと思われます。

加えて、サッカー先進国の大人は下手な人であっても2歩1触でプレーしようとします。無駄な技術論に矯正された証のないこのプレースタイルは、プレーの可能性を広げ、イマジネーション豊かな選手を育てます。こういう大人を見て子供はより上達していきます。

3 これは誰もが経験のあることかと思いますが、子供達にボールを持たせると、ペナルティエリアにボールを並べて、自然とシュート練習を始めようとします。子供は本能的にサッカー=ゴールと狙うというサッカーの本質を理解しているのです。トレーニングにおいてゴールを設定するということは非常に大切です。なぜならプレーする方向が決定されるからです。方向なきプレーはただの鳥かごです。鳥かごばかりやっていても良いプレー習慣は身につきません。

今はあるかわからないですが、少なくとも僕が子供のときにはよく1ゴールゲームという遊びをしました。1人GKを決めて、2つのチームが1つのゴールを目指してプレーするという遊びです。これは攻撃と守備の方向が同じになるのでプレーの質が変わってしまいます。このようにゴールを減らすあるいは無くすタイプのストリートサッカーでは、スペースを活用する重要性が失われるので良いプレー習慣を促しません。

4 サッカー先進国ではストリートサッカーであってもみな本気です。ボールを奪えなければ小さな子供に対しても、大の大人が削りにいくことさえあります。みなボールへの執着心があるのです。球際の強さに対する意識はストリートサッカーの中で体に染みこんでいくのです。

この部分は国民性によるというか、日本では大人が子供に乱暴なプレーを許さない傾向が強すぎるところがあると思います。子供達は本能的にボールへの執着心を持っているはずなんですが。難しい問題です。

日本が野球のW杯、WBCで優勝できたのは野球が文化として日本に根付き、野球についてうんちくを語れる親父達つまり“野球を知っている大人たち”が全国各地で野球少年を指導したからに他なりません。日本がサッカーを強くするには子供たちが良いサッカーを身近で見て学べる環境を作らなければなりません。

以上のことは自分の経験(幼少期や留学経験)に基づいて書いたものです。つまり独断と偏見に満ちているということですが、僕はこれが日本サッカー界の真実だと思っています。

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