footballhack: 2歩1触の練習方法 まとめ1

2011年12月3日

2歩1触の練習方法 まとめ1

何件かおなじような質問を頂いたので、ここでドリブルの基本である2歩1触の上達法についてまとめてみます。

トレーニングドリルのステップは
  1. 足裏引き押し出し
  2. 足裏止め押し出し(ケンケン)
  3. 2歩1触 直線
  4. 2歩1触 旋回
  5. ダブルタッチ
  6. マシューズ
  7. 2ステップ(カットインと骨盤パニック)
の順になります




1 足裏引き押し出し

導入としては「2歩1触のドリブルのための基礎練習」に書いたとおり、インステップでのボールタッチ感覚をつかむドリルがお勧めです。



コツは足首を伸ばした分だけ膝を持ち上げることです。膝から下はできるだけ脱力し、大腿(股関節)の屈折の力加減でボールタッチの強弱をコントロールするようにします。 インステップでボールを引きずるような感覚を得たならば、ボールが足に吸い付いているような柔らかいタッチが可能になります。


2 足裏止め押し出し (ケンケン)

続いて、上の動画後半のケンケンで前進する練習をしましょう。この練習の目的は軸足を飛ばして、なるべく前に接地することです

2歩1触のドリブルの最初のハードルは、スピードを確保することです。初心者が2歩1触でスピードを出せないのは、常に蹴り足が前に出てしまい、軸足が後方に残ることで重心が後ろに傾いてしまうことに起因します。軸足が蹴り足を追い越して行かないので、「ドッタドッタドッタ」とサイドステップを前向きにやってるかのようになってしまいます。これでは通常走行のようにスピードを確保できないので改善が必要になります。

ケンケンで前進するドリルを繰り返すことで、軸足の真横か後方でボールタッチをする感覚を身に付けます。そして徐々に蹴り足に重心を移せるように練習します。


3 2歩1触 直線

ボールを引きずる感覚と軸足を前へ飛ばす感覚を体得したら、2歩1触の実践に移ります。2歩1触の理想は普通に走るような感覚でボールと共に移動できるようにすることです。これを極めていくと全速力で走っている最中にもボールが足元から離れないドリブルが出来るようになります。しかし、そこまでの道程は長く険しいので、相当量の練習を覚悟してください。

始めはごくゆっくりとした速度から練習しましょう。歩くスピードから始めて、歩くよりちょっと速く、ジョギング、全速力の4割、5割、6割と段階を踏んで徐々にスピードを上げていきます。

上手くいかない場合は、利き足インステップ2回、逆足インステップ2回と左右交互にタッチするドリブルを練習しましょう。

また、ここでの最大の課題は、軸足を前へ飛ばすことと蹴り足に重心を移動することです。これができないと普通に走るように左右の足へ交互に重心を移動することが難しくなり、速度を十分に確保できなくなります。コツとしてはボールタッチをなるべく体の近くで行うことです。再三言うように、ボールタッチ位置が軸足より前へ出過ぎると、重心が後ろに残り、スピードアップが出来ません。ボールタッチの位置は軸足の少し前になるように意識します。

また、スピードを上げていくとボールタッチの加減が難しくなり、ボールがどんどん体から離れて行ってしまうと思います。これを改善するには膝の屈折を利用すれば良いです。ボールタッチが強くなりすぎる原因は、走行速度が上がるにつれ、蹴り足の振り子運動の速度が上がるからです。股関節から下の運動速度が上がった分だけ、蹴り足の膝を屈折し、蹴り足の相対速度を落としてやることが重要です。

  つまり、直線のドリブルをする際には膝から下を振ってはいけません。 重要なのは股関節、大腿から膝にかけての部位のコントロールです。特に膝の位置を意識し、膝の屈折度合いを調整することが重要です。


 すると自然と膝の真下でボールタッチをする習慣がつき、左図のメッシのように、スネが地面と垂直に立ち上がる姿勢でボールタッチができます。

この姿勢はすなわち、通常走行に比べて膝の下を振っていないことを示唆しています。膝を屈折し、足先の振りの速さを落とすことで、足がボールに吸い付くような柔らかいタッチが実現します。ここまでマスターすれば、全速力の6~7割程度の速さで2歩1触が出来るようになります。



より速度を上げるには、さらなる障壁が立ちふさがります。ひとつは力みです。全速力に近づくにつれ、体全体が緊張する傾向があるので、ボールタッチが大きくなることが懸念されます。膝から下を脱力し、弛緩することを常に意識しましょう。

 慣れてくると、軸足でジャンプし、滞空中にボールタッチをすることが出来るようになります。滞空中は体が弛緩しているので自然と柔らかいタッチができるのですが、この方法だと全速力に近い速度までスピードを上げることが出来ません。

ではどうすればよいかというと、ボールタッチを変えます。これまで説明したように、膝を屈折しながら持ち上げる方法のボールタッチは、ボールを下から上に撫でて転がすことを主眼に置きました。しかし、これだとボールタッチ後の踏み込みが浅くなり、結果として地面から大きな反発力を得られないので、全速力に近づくことが難しくなります。

地面から大きな反発力を得るためには地面を強く踏まなければなりません。ですから、ボールタッチも上から下へ、ボールの側面をインステップで踏むようにします。

 左図のロッベンは蹴り足を接地する延長でボールを押し出しています。

やはりこのときも膝の真下でボールタッチし、スネを地面に垂直に立てるような姿勢を取ります。

このとき気を付けたいのは、膝下を振らず、膝の位置でボールタッチの強弱をコントロールする点です。




習得が進むにつれ、より微細なボールタッチ感覚が身につきます。常に一定の強さでボールタッチするのではなく、移動速度に合わせて、時には自分に引き寄せるようにボールを近づけたり、時には最大歩幅で届く範囲まで離したり、左右にズレるのを修正したりできるようになるのが理想です。


画像は以下の動画から。




かく言う私もドリブルが得意な方ではありませんで、全速力での2歩1触はほとんどできません(未だ実験段階です)。この記事に書いたことは※あくまで個人的な感想 でしかないので、みなさんは試行錯誤しながら自分なりのコツを掴んでください。

気合が入り思ったより長くなったので、続きは次回に。

次→2歩1触の練習法 まとめ2

関連記事→優れたドリブルのスタイル 2歩1触の可能性

13 件のコメント:

  1. コメントさせていただきます。

    メッシはインステップのボールタッチとつま先のボールタッチを使い分けているんでしょうか?

    それとメッシが得意とする右斜め45度からの高速ドリブルは敵と正対していないのに抜いてるように見えます。
    それは元からのスピードが違うからでしょうか?
    それとも二歩一触を自由に出来ているからでしょうか?

    上二つの質問の考えを教えてください。

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  2. コメントどうもありがとうございます。メッシは爪先とインステップのみではなく、小指、甲の内側、インサイド、アウトサイドとあらゆる部位を使い分けています。ボールは完全な球体ではないし、ピッチも平面ではありません。ですから、微細なタッチの使い分けが必要なのです。

    カットインに関しては、2ステップシリーズを御覧ください。正対していないようでちゃんと正対しています。正対は体の向きで決まるのではなく、意識の問題で、体が斜めに向いていても左右のどちらへでも抜ける状態であれば正対と言えると思います。

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  3. はじめまして。このブログ大好きです。
    2歩1触の完成型がメッシといっても僕はいいと思っています。実際にはどうなのでしょうか?また、練習次第で宇佐美や原口元気、海外ではイニエスタやロッベンと同じようなドリブルができるようになるのでしょうか?

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  4. @よっさーさん コメントどうもありがとうございます。もちろん練習次第で彼らのようになれます。ただし、瞬間的に、という条件付きですが。

    彼らと同じレベルのドリブラーを生むには、50人に一人くらいの才能のある子に小学校低学年くらいから徹底的に訓練を課せば良いと思います。10歳を過ぎるともう遅いでしょう。おそらく出来るだろうという僕の憶測の範囲内でしか答えられないですが。

    前述したように瞬間的に彼らと同じドリブルをすることは、大人になってから練習し始めても可能です。ですから、より深いサッカー理解のためにも、ぜひ一生懸命練習に取り組んで欲しいと思います。

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  5. ありがとうございます。上手くなるために練習がんばりたいと思います。

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  6. メッシのような高速ドリブルをするためには、どこの筋肉を鍛えればいいのか教えてください。

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  7. @匿名の方 筋肉ではありません。メッシの上裸の写真を見ると信じられないくらい平らな胸をしてますし、上腕、腹筋共に貧弱な体つきをしています。そういう意味では筋トレは効果が低いですが、最近良くインナーマッスルを鍛えることが良いと盛んに言われていますので、そのへんを鍛えたらいいと思います。

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  8. ありがとうございます。このブログは大好きでいつも見ています。できればイニエスタのドリブルについても解説お願いします。お忙しいところすみません。

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    1. イニエスタについては僕が語るまでもなく様々な人が言及されているのでそちらを参考に。気が向いたらやってみます。

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  9. >>筋肉ではありません。メッシの上裸の写真を見ると信じられないくらい平らな胸をしてますし、上腕、腹筋共に貧弱な体つきをしています。
    ほんとに今のメッシを見たことがあるんです??筋肉への認識も幼稚園レベル
    胸筋とか一番負荷の高い格闘技・武術でも見せ筋肉の類だぞ、自身にあった呼吸運動を満たせばそれだけでいい。
    胸筋の厚さが2cmと5cmでも内蔵と肋への負荷は変わらんぞ

    それに今のメッシを語るならホルモン治療をした以降の状態を基準にしないと^^;
    例えば2006W杯の時のメッシは今の香川より遥かに劣るレベル、
    その理由に「フィジカルとそれを使う動きの習得が未熟だった」と本人が語って改善したのが今でしょ

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  10. 質問です!

    2歩1触のドリブルでどうしたらスムーズに強くて速いシュートが打てますか?

    メッシや乾は簡単そうにしてますが・・・

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  11. はじめまして。お忙しいとは思いますが返信していただければ幸いです。
    今度、はじめてフットサルに行ってみようという事になったので現在このブログを参考にドリブル特訓中なのですが、ドリブルをしているとドライブ回転がかかってしまいボールが足元から離れていってしまいます。どうすれば改善されるでしょうか?

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    1. できるようになりましたか?

      コツは足首の脱力とボールを水平に突くのではなく、すこし斜め上や下からこするようにタッチすることです。回転は関係ありません。ボールが離れていくのは総じてボールを突くのが強すぎるからです。弱く突き、かつ走行スピードを落とさないためにはボールの側面を踏むようにタッチする感覚が必要です。そしてこれを身につけるにはたゆまぬ努力が必要です。経験ある選手でもボールタッチが大きくなることはよくよくありますので気落ちせぬよう。しかしドリブルは才能です。

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