前回の記事では図の左側の2つのドリブル突破を解説しました。今回は右側2つの説明をしたいと思います。以前「ドリブル方法論2 後足を踏ませる」でも少し触れましたが、今回はより詳しく見ていきましょう。
骨盤パニックとは現バイエルン・ミュンヘン所属の宇佐美貴史選手がある番組に出ていた時、自身のドリブル法を説明するためのキーワードとして出てきた言葉です。
簡単に言うと、DFの骨盤を右に左に旋回させるようにドリブルのコース取りを変えるというテクニックだそうです。
では、その骨盤パニックを試してみましょう。
骨盤パニックは正面のDFに向かってドリブルで突進する時ならいつでも使えます。
今回は左の図のようにサイドでボールを持った選手が、斜めにDFと正対するようにドリブルで仕掛ける場面を想定します。
ある程度近づいたら、右か左へ2歩分ボールをプッシュします。
そして逆側へ切り返し加速します。
縦に行きたい時は内側へボールを押し出し、その後縦に切り返します。
中へ行きたい時は・・以下略。
DFが動いたスペースへ滑り込むイメージを持つとよいでしょう。
このテクニックのポイントは切り返し前のボールの押し出しです。2歩分ボールを動かすことで餌をまく要領でDFを釣り出します。
ちょこっと角度を変えてボールを押し出すと、大抵のDFは体の向きを変えざるを得ません。その瞬間に逆方向へ加速すれば、DFは足を差し出してボールを止めようとしますから、DFに当てないようにボールを背後へ通過させればドリブルは成功します。
良いDFは体の向きを変えずにポジションを修正しようとしますが、その分重心がフェイク方向に残ってしまうので、切り返し後の加速で抜き去ることが出来ます。
重要なのはドリブルスピードと押し出しの角度です。スピードが遅すぎればDFは容易に対応できますし、押し出しの角度が鋭角過ぎると自分のバランスが崩れてしまい加速ができなくなります。スピード、タイミング、角度を意識して練習してみてください。
下の動画を参考までに御覧ください。
フェイク方向へのボールの押し出しからキックフェイントでかわすパターンはもはや定番ですね。
骨盤パニックの命名者、宇佐美貴史選手の動画もどうぞ。2:25のシーンでは骨盤パニックから左足一閃の素晴らしいゴールが御覧いただけます。
日本古来の武術のひとつに合気道があります。合気道は相手に直接接触して相手の重心を支配する術ですが、骨盤パニックはボールの位置を操作して相手の重心を支配する技とも言えます。ドリブルの上手い選手は合気道の達人のようにDFを翻弄する術を知っているのです。
次→イニエスタのダブルタッチ分析と"て"の字ドリブル
ご無沙汰しております。
返信削除ドリブル編の更新!待ち望んでいました。
ぜひご意見伺いたく、コメントさせて頂きます。
①「ドリブル方法論」でご紹介の抜き方(まっすぐ押し進め、ぎりぎりの間合いで、脇をすり抜けるように抜く)と、
②「骨盤パニック」での抜き方(イニエスタやフィーゴの抜き方も近いでしょうか?)
は、どちらも理にかなっていると思いつつ、考え方としては対極にあるのかなと思っています。
管理人様は、どのような整理・使い分けをしているのかを伺えればと思いコメントさせて頂きました。
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というのは、ライバルをドリブルで抜くべく、かねてから①の抜き方を試みています。
なかなか上手く行かず、現在は②による能動的な横方向の揺さぶりに活路を見いだせないかと考えています。
「後ろ重心で間合いを保ち、自分からは足を出さないプレイヤー」に対し、「正対しているがスピードに乗っていない状態」からドリブル突破を試みたい、という状況では、どのような抜き方が効果的とお考えか、よければ合わせてお考えお聞かせください。
いつもありがとうございます。上記の①と②は正対を使うという点で同じ方法だと認識しています。フィーゴのドリブルを見ればわかるように、骨盤パニックをフェイクの一種と捉えれば正対から自在なドリブルを繰り出せると思います。
返信削除基本的には、正対している状態で
①DFが静止しているならばフェイントを使う
②DFが後退しているならば骨盤パニックを使う
でいいと思います。
しゃーぷさんのおっしゃるようなDFを相手にする時は、まずボールは安全なので顔を上げてパスを探せば良いと思います。答になってないかもしれませんが、良いプレーをするにはそうするほかなさそうです。パスが通ればパスフェイクから抜きに行けます。
ドリブルはスピードに乗ってしまうのが一番DFにとって怖いもので、どんなフェイントが使えるかということより抜く瞬間の身体操作で加速できることが最善なのです。
せっかく丁寧に返信いただいたのに、遅くなりすみません。
返信削除確かに、おっしゃるとおりですよね。
ドリブルで抜くことばかりを意識すると、
どつぼにはまってしまいます。
「抜く瞬間の身体操作で加速できること」
こちらも本当にそのとおりと思います。
迷ったときは、こちらのブログをよく読み返しています。
新しい記事も楽しみにしていますので、
今後ともよろしくお願いいたします。
いつもこのブログを参考にしています。
返信削除いきなりですが少し質問したくてコメントします。
メッシのドリブルをする時に、
軸足の二度踏みや刈り込むボールタッチなどありますが、
一体何から意識して練習に取り組めば良いですか?
コメントありがとうございます。zyouhouyaさんがどんなレベルにあるかは存じ上げませんが、基本的には2歩1触を全速力の8割程度で安定して出来るようにすることと2歩1触で自由に旋回できるようにすることが初めのハードルだと思います。ここまでクリアできれば、実際の試合の中で自然に駆け引きを学び、リズムの変化や速度の変化が付けられるようになると思います。ただ、リズム角度速度を変化させる身体操作は結構難しいので、時間がかかるかと思います。僕は正直なところ諦めました笑。子供の頃練習したクーバーコーチ的フェイント動作の癖が抜けないので。
返信削除返信ありがとうございます。
返信削除とりあえず二歩一触を練習しようと思います。
記事も楽しみにしているので、
またよろしくお願いします。
こんにちは。少し教えてください。
返信削除僕はサイドハーフをしているのですがよく監督にドリブルする所、パスする所を間違っているとよく言われます。
例えばタッチライン際でフリーでボールをもらって二歩一触でDFに近づいて行っても早くボール離せと言われ、ボールをもらう時にすでにプレッシャーが来ていたのでバックパスしたら、そこバックパスか~と言われます。僕が行った選択は間違っていますか?間違っていれば仕掛けるタイミングはどういう時ですか?教えてください。
長くなってすいません。
たぶん間違っています。まずその説明によって、あなたの状況判断力が著しく低いことがうかがえます。状況を整理して理解し、言葉にまとめる必要があります。
削除また、監督は多分あなたよりサッカーが上手いはずなので、上手い人から見て間違った判断をしていると言われたら素直に従うしかなく、そこに弁解の余地はありません。僕も高校時代はよく監督に怒られていました。
まずアタッキングサードでフリーで前向きにボールを持てたら仕掛けることが優先です。それを監督に許されていないのだとしたら、あなたのドリブル突破力に信頼性がない証拠です。ドリブルは諦めるか、猛練習を積んでください。
バックパスは安易に使うと受けた味方が困ることがあります。こうしたバックパスを出してしまう選手は総じて戦術眼が低い傾向があります。つなぎのセオリーを身につけて、相手の守備の意図を敏感に読み取る感性が必要です。
なんにせよあなたはサッカーのことを全く知らないようなので、広く読み、意識を高く持ち、謙虚にかつ素直になり、練習に取り組むことが必要です。
ありがとうございます!!
削除サッカーの勉強頑張ります!!
先日質問した者です。
返信削除http://www.youtube.com/watch?v=wFm4-NTdw4Q&feature=g-all-lik&context=G27b133bFAAAAAAAABAA
このベティス戦の時の3:51付近のファールをもらった場面と4:05付近のファールもらった場面のドリブルは2ステップなのでしょうか?
4:05のシーンは2ステップですね。3:15は小さくてよくわかりませんが、アウトインのダブルタッチを使っていることだけ分かります。
削除この試合だけでなくメッシのこういう感じで抜く時は結構あると思います。
削除もっと練習して上手くなりたいと思います。
中学1年ですが、今まではずっとディフェンダーをしてました。今からでもドリブラーになれますか?
返信削除素人は普通に抜けます。
たぶん無理です。最終的にドリブラーになれるかなれないかの差はスポーツビジョンと駆け引きの出来る知性にかかってきます。今の段階でスピードだけでぶちぬくようなドリブルをしていると大人になった時に伸び悩みます。突破のドリブルはできないにしても、練習すれば取られないドリブルが出来るようになるかもしれません。頑張ってください。
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