放送のテーマは道端で接近しながら対面する2人が通せんぼしてしまう「お見合い」という現象です。「お見合い」の原因は「同調」であるということが紹介されていました。→すいえんさー「いよいよ火曜は道でお見合い!!」
「同調」とは目に映る人の動きを無意識に真似してしまう人間の特性で、これを意識的に防ぐのは難しいということでした。詳しい内容は再放送を確認していただけるとよろしいかと。
番組後半、筑波大学のサッカー部と浅井武教授が登場し、同調を破るステップワークの紹介がされました。サッカー科学を研究する浅井氏をTVでみたのは久しぶりで、少しココロ踊る気分でした。
彼の主張をかいつまむと、サッカーにおいてDFはドリブラーのステップワークに同調することでドリブル突破を防ごうと心がけ、逆にドリブラーはDFの同調を促し眼前で同調を破ることで抜くタイミングと方向を悟らせないようにして突破を試みるということです。
これには非常に賛同します。以前このブログで扱った「独特のリズム」という項の主旨と合致します。
番組で紹介されていた「お見合い」を回避する方法に「ちょこちょこ走り」というものがありました。お見合いを回避するには有効かもしれませんが、実際にサッカーグラウンドでは有効であると言い切れません。
DFの眼前でステップを細かく踏むことのデメリットは2つあります。DFに突破のタイミングを教えることと、前進スピードを緩めざるを得なくなることです。
ステップワークを細かくすることはフェイク動作と考えていいでしょう。フェイク動作はその動作に時間がかかればかかるほど、次のプレーがターンと加速であることをDFに知らしめてしまいます。また、「ちょこちょこ走り」のようなフェイク動作は同時にボールを押し進めることができなくなるので、ドリブルスピードが低下し、次の加速という動作にスムーズに移行することが難しくなります。
「ちょこちょこ走り」 に近いフェイク動作を実践するジュビロの駒野選手やガンバの加地選手はお世辞にもドリブル突破が得意とは言えません。以上の理由でDFの眼前でただステップワークを細かくすればいいという考え方は有効でないと考えています。
自分が考えるベストのドリブル突破法は「ちょこっ走り」です。2歩1触で正対しながらDFに接近し、DFのステップワークを同調させます。そこから「ちょこっ」とステップワークを変化させて加速して抜き去ります。この「ちょこっ」は同じ足の2度着きや3連符のリズムの導入などです。このようなドリブルを実践しているのが香川やメッシ、ディマリアやロッシなどです。無駄をそぎ落とし、人間の無意識領域の習性を利用してドリブルする様が美しいと感じるわけです。
いずれにせよ、番組で紹介された「同調」という概念はドリブル突破を考える上で非常に重要であると考えています。
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