ではまず下の動画をご覧あれ。初めの2つのプレーに2ステップを見ることが出来ます。
上の動画の2つめのシーンを静止画で抜き出してみましたので、解説してみましょう。
まず前を向いたメッシは、正面のDFのストロングサイド(向かって右)に向かってドリブルで突き進みます。
加速することで後ろから追ってくるDFを振り切り、正面のDFに圧迫感を与えます。
接近したところで、軸足の2度着き(リズムの変化)を用いて、減速とフェイク動作を開始します。
いわゆるジンガとかマシューズフェイントとか言われるやつです。
ここでぐっと前傾して左肩を前に差し出すことで、フェイク動作に本物感を漂わせます。
また外足(右足)を地面に強く踏ん張り、方向転換を図ります。水色矢印がフェイク方向、赤矢印が進行方向です。
一定の速度で走っている時に急に直角に方向転換したい場合、一歩で曲がり切ることは人間には不可能(なはず)です。3歩~6歩くらいの細かいステップを刻まないと、直角ターンは出来ません。
静止時や歩行時から直角方向に加速するには「上半身のバネ」で解説したように上体を倒すとよいです。しかし、全速力の5~8割での走行中に直角方向に曲がろうとすると、慣性の力が強く働いて、頭を振ることが出来ません。
その証拠に左の写真では、メッシの右肩が前に落ちています(黄色矢印)。これでは内脚荷重が出来ません。前方への慣性の力が赤矢印の指す進行方向への重心移動しようとする力に打ち勝ってしまい、このような姿勢になります。
しかし、この時のボールタッチを小さくし、ボールを足元に留めておくことで問題は解決します。方向転換のための時間を稼ぎ、その間に細かくステップを刻むようにすれば、スムーズに直角方向に重心移動できるのです。
また、DFと瞬間的に正対状態を作り出し、DFをピン止めすることにも大きな意味があります。
この時にボールタッチを大きくして
しまうと、バランスを崩した状態
から加速してDFと競り合わなけ
らばならないため、フィジカルに
優れない選手には非常に不利です。
一発でターンを決めようとする筋肉
自慢の選手にそのようなプレーが
よく見られます。
しまうと、バランスを崩した状態
から加速してDFと競り合わなけ
らばならないため、フィジカルに
優れない選手には非常に不利です。
一発でターンを決めようとする筋肉
自慢の選手にそのようなプレーが
よく見られます。
左の写真では完全に重心移動が完了し、両足にバランスよく加重できる姿勢なので、進行方向へ向けて一直線に加速することが出来ます。
更に加速し、
味方のランニングの助けもあって、シュートするスペースに入り込むことが出来ました。
以上のことから1ステップと2ステップの棲み分けが出来ます。
1ステップは静止、歩行あるいは低速度での走行中に、DFと正体し、上半身のバネを使って加速し突破を図る技→メッシの身体操作 マシューズフェイントの研究
2ステップは全速力の5~8割ほどの中~高速ドリブル中に、DFとの間合いが広い時やバックステップを踏ませている時に使う技。慣性の力が強く上半身のバネを使えないため、細かいステップを刻んで細かいボールタッチから方向転換を試みる技
つまり、2ステップを行うときはボールが自分の重心から離れないようにタッチする必要があるんですね。上半身のバネを使える時は大きめにボールを転がすことが可能ですが、使えない場合はボールが必要以上に体から離れないように加減してタッチするとよさそうです。感覚的には、頭の位置を基準にボールタッチを加減するとでも言いましょうか。
言葉で言うと簡単ですが、実際にやるのは非常に難しいでしょう。メッシのボールコントロールと重心コントロールのバランス感覚に恐れ入るばかりです。
次回は2ステップ実践編
次→メッシの2ステップ 四 カットインのうまいやりかた
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