footballhack: メッシの身体操作2 内脚を使え

2011年2月10日

メッシの身体操作2 内脚を使え

メッシの分析をする上で常に着目してきたポイントがあります。それはステップワークです。つまり左右の足がどのように地面と接触しているかということです。

自分のサッカー観のひとつに“筋肉に頼らない選手になる”というものがあります。骨格を動かすのは筋肉なので当然筋肉は必要なのですが、無駄な筋力をつけないというのをテーマに日々サッカーをやっています。そんなに真剣にプレーしているわけではないですが笑。

この理念がポジショニングや駆け引きやドリブルなどの身体操作の研究に向かわせるわけですが、今回のテーマ、メッシのマシューズフェイントに関しても同じようなことが言えます。

メッシは筋骨隆々というふうには見えません。もちろん腰回りや太ももは一般人に比べたら逞しいでしょう。しかし、アスリートの中で比べたらフィジカル的に優れているとは到底言えないと思います。だからこそ、動きの中に秘密があるだろうと思うのです。それは骨格の動かし方であり、各関節の連動であり、その全てがステップワークに表れるだろうと考えるわけです。

個人的に、筋力をアップさせればより速く動けるという考え方は嫌いなんです。

そこでメッシのステップワークについて考察を深めるために図を用意しました。


見てわかるとおりスキーの写真です。しかもターンしているところです。向かって左から右方向へ方向転換しようとしています。

図にあるようにターンの際、外側になる足を外脚または外足と言い「そとあし」あるいは「がいそく」と呼びます。

また進行方向側の足を内脚、内足と言い「うちあし」、「ないそく」 と呼びます。

スキー初心者は外脚荷重が基本のようです。熟練者ほど両足にバランスよく荷重できるようです。2枚のスキー板を有効に使ってエッジを効かせたほうが、1枚だけ(外脚だけ)使った場合より鋭いターンができそうなことは、素人考えでもよくわかります。

この記事の主旨は、内脚と外脚の両方をバランスよく使うことで素早い横移動が可能になるのではないかということです。特に縦移動から横移動へ移行する際に、前方への慣性力を利用して素早く横移動するためのコツは内脚にあるんではないかと思うのです

ドリブルの下手な人や初心者はターンの際、外脚だけ使ってバランスを取ろうとします。内脚が浮いてしまって外脚でケンケンのようになるので次の動作に移るのが遅れてしまいます。またこれはターンの際ボールを体から離してしまう原因になります。

左図は横からの写真。

内脚の膝が屈折し、外脚より前方に出ています。

これは雪面の傾斜故の姿勢です。

サッカーでは内脚を前に出したほうがよさそうです。骨盤が内脚に乗っかるため、重心を内脚に移しやすく、横移動をスムーズに行なえるからです。



以前メッシのドリブルがラグビーのステップに似ていることに触れましたが、それと同じような感覚をスキー選手は持っているのではないでしょうか。

では本題のメッシです。

外脚は体の軸より大きく外側に振り出されています。これがマシューズフェイントの一歩目にあたります。

この時に地面から大きな反発力を得ていることは後述します。
左図が内脚の着地時です。これはマシューズフェイントの切り返しパートにあたります。

外脚より体の軸に近いところに着地しています。しかもやや外側に着いています(メッシ本人から見て右側)。この位置に内脚を着けば、重心は進行方向(左)へ自然に向かっていきますので、体が左側へ倒れていくような感覚を持って次のプレーに移れます。

そして内脚で進行方向へ跳ねることでDFの背後へ素早く侵入しています。切り返しから体を前に運ぶことが出来ているので結果的にボールを体から離さないドリブル突破が可能なのです。

 メッシの図はこちらの動画から拝借しました。→messi slomotion


自分が内脚を使えているかどうかの判断はマシューズフェイントをしてみれば分かります。切り返し直後に横にジャンプ出来れば内脚が使えている証拠です。逆に外脚荷重の人は切り返し直後に軸足で踏ん張って加速しようとします。右の動画でマルキーニョス選手のような動きが出来れば合格です。中村選手のようだと改善が必要です。→仕掛けのドリブル 日本人と外国人の違い

内脚を使えるようにするにはボールタッチを改善する必要があります。 なるべく体の軸に近いところでボールタッチすること、ボールの下を刈るように押し出すこと、ボールタッチするときに上体を沈み込ませ、内脚に体重を移動しながら浮き上がるように進行方向へ進むことなどがポイントになるでしょう。詳しくは後述します。

外脚だけに頼る選手は筋肉系(アウターマッスル系)選手に育つ傾向があると思います。それはドリブルが下手だからであって、ボールを体から離してしまう傾向が強いからです。その瞬間の差を筋トレで埋めようとしてしまうのです。

メッシのように内脚が上手く使えれば筋肉量が少なくてもDFの逆を突くことは可能になります。内脚を使った切り返しはDFの隙間へ潜り込むようなプレーを可能にします。DFが絶対にボールに触れない位置にボールを押し出して素早く入れ替わるようなことも出来るはずです。

まとめ:フェイク動作から次のプレーに素早く移ることは1対1に勝つ上で非常に重要な要素になります。そのためには内脚への重心移動が不可欠になると考えています。

次→メッシの身体操作3 沈み込みと浮き上がり

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