W杯を見ていると、普段は別々のチームでプレーしているスター選手たちが、同じ国旗のもとに集まってプレーをしているので、各国のサッカーのスタイルが顕著に現れて、とても面白いですね。
スペインはパスに重きを置いてなかなかシュートを打たなかったりして、日本人の感覚に近いものを感じます。ドイツは協調性のある直線的なランニングからチャンスを生みます。ブラジルは細かいパス回しからいつの間にか突破をしているというシーンが多いですね。
こういったサッカーのスタイルは、各国の民族音楽のリズムの影響を受けている、というふうに考えるのも面白いかもしれません。というのも強豪国には独自の音楽文化があることが多いからです。
よく言われるのは、ブラジルサッカーにはサンバのリズムが流れてるということです。サンバのリズムには、4拍子の中に3拍子を埋め込んだようなリズムの訛りがあるんです。西洋音楽の考え方からは生まれないリズムです。ちょっとズレているようで、みんながそのちょっとズレたリズムにあわせて動いているので、ブラジルの攻撃はヨーロッパのチームに読まれないのではないでしょうか。
また、スペインにはフラメンコがあります。フラメンコのリズムの基本は12拍子と言われているそうで、3拍子×4のなかでいろいろとアクセントを変えるみたいです。よどみなくリズムが流れていくような美しさが感じられます。これがスペインのパスへの美的追求につながっているのではないでしょうか。
大雑把にまとめてしまうようですが、スペイン語圏の南米の国々にも独自の民族音楽が多数存在しています。その多くがスペインとアフリカの影響を受けてできたもので、全体としてリズムに“うねり”があります。われわれの耳ではなかなか一筋縄ではいかないリズムばかりです。この“うねり”こそ南米らしい曲線的なスタイルを生み出しているのではないでしょうか。
一方のヨーロッパの国々のサッカースタイルは直線的で構築的なものが多いです。特にドイツやイングランドに代表されるような、スピードあふれるランニングと長いパスを多用するスタイルは、ハウスミュージックを思い起こさせます。縦ノリの直線的なリズムをベースに少しずつ音を足していく音楽の形態がヨーロッパのサッカースタイルと重なってくるのです。
では日本はというと、今のところ日本のサッカースタイルからは音楽的リズムを感じることは出来ません。日本の民謡や和太鼓のリズムは、誰にでも馴染み易い一方、歌や呼吸に合わせて拍のとり方を変えるという特徴があります。“歌”つまり“ボール”に合わせて“リズム”=“動き方”を変えるというふうに考えると、日本のサッカーはまさに「ボールに振り回されている」というのが現状かもしれません
日本に伝わる伝統のリズムを活かして、日本のサッカースタイルを確立できる日が待ち遠しいですね。
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