footballhack: 2010/12

2010年12月21日

バルサのセットディフェンスに見るシャビのPG化

最近のバルセロナの戦い方を見て、2010シーズンのバロンドールを受賞したバルセロナ、シャビ選手の攻守に渡る役割を考えていきたいと思います。

セットオフェンス時とセットディフェンス時では選手配置が異なるという話は「ザックジャパンの試みと攻守の切り替え1」で説明しました。

バルセロナの戦い方を見た場合も同じことが言えます。ピッチのどのゾーンでボールがプレーされているか、ボールポゼッションはどちらのチームにあるかという条件の違いで、選手配置は異なってきます。

■バルサのセットオフェンス
では下にセットオフェンス時のバルセロナの選手配置を書いてみましょう。


大まかに左のような感じになることが多いです。ペップは相手チームに合わせてポジションを変更することがあるので、いつもこのとおりではないですが。

特によく変更されるのはWGのポジションとバックラインの形成の仕方です。

ただ、CMFの位置や役割は試合毎に大きな変更がありません。



このときのシャビの役割は主にボールを配ることです。パスをちらしたり、タメを作ったり、飛び出してゴールを狙ったり、まさにゲームメイカーの役割を果たします。

同じCMFでも、バイタルエリアにするする侵入してパスを待ち構えるイニエスタより、後方に下がってまでビルドアップに参加するシャビのほうが、ボールを運ぶという意味での役割は大きいです。

■バルサのセットディフェンス
次にセットディフェンス時の選手配置を見てみましょう。このとき2つの状況を区別して考えます。1つ目はセンターラインの後ろ10メートルくらいにDFラインを引いて、相手のDFラインでビルドアップをさせる場合です。図にしてみました↓

攻撃が終わり、プレスを掛け、相手がバックパスでバルサのプレスをかわしてボールを下げたときは、左図のようになります。

このときメッシ、イニエスタ、シャビの三人はGKまで追いかけるように前へ前へプレスをかけつづけます。

もちろんWGのビジャやペドロもプレスに参加しますが、特筆すべきは慣例的にWGのポジションがもつ性格(攻撃専門で守備は怠りがち)に甘んじることなく、帰陣してサイドバックの前のスペースを埋める意識が非常に高いことです。

また、イニエスタとシャビに関しては、後ろのスペースを気にすることなくガンガン前へプレッシャーをかけに行きます。前へのプレスの意識はWGであるビジャペドロよりもイニエスタシャビのほうが高いように感じます。

では次に全員が自陣に帰陣した状態でのバルサのセットディフェンスを見てみます。

バルセロナではこのようにリトリートした際、選手自身の判断で自分が一番近いポジションを埋めるように4-4のラインを形成しているように見えます。決まりごとはこのブロックを作ることのみで、誰がどこを埋めるかはその場の判断に委ねられているようです。

まず言えることは、セットディフェンス時にメッシは守備の役割が免除されるということです。バルサがリトリートしたときはメッシは守備をしません。オフサイドポジションをふらふら歩いていたり、抜群のサッカーセンスでカウンターを狙えるポジションに突っ立っていたりします。

加えてシャビも前線に残っていることが比較的多いです。守備に優れたブスケツがボールサイドに詰め、開いている中央をイニエスタが埋めるシーンが多く見られます。シャビは浮いたポジションから、ボールホルダーの背後に忍び寄りボールをつついて奪取するプレーが好きそうです。

もちろん相応の相手を迎えるときは下のように4-1-4-1をひいて万全を期します。

イニエスタ、シャビ、ブスケツの関係は局面によって流動的に変わっているようです。

ブスケツが最終ラインに入る際はシャビとイニエスタで中央を埋めています。

そして、この形でボールを奪った際、シャビがポジションを下げる形をとって、後方のビルドアップの起点になります。他の選手がどんどんシャビを追い越すことで、相対的にシャビがポジションを下げることになるという言い方もできます。

キープ力に優れたシャビはカウンターを断念した後、ドリブルやパスを使って味方がセットオフェンスの配置につくまで時間を稼ぐことが出来るのです。

ボールを失ったら前方へ、ボールを奪取したら後方へ動く方法はバスケットボールのポイントガードの動き方に似ています

攻撃を始める際は後方でボールを受けてドリブルで相手陣内へ運び、守備を始める際は最も前方で厳しく当たり相手の速攻を予防するのがポイントガードです。必然的に活動範囲はコート全体に縦に広くなります。

またバスケのポイントガードはコート上の監督と呼ばれるらしく、まさに司令塔としての状況判断力が要求されます。

こうやって書いているとシャビはまさにポイントガードだなぁとつくづく思うわけです。

こういった他のスポーツの戦術の取り入れ方を見ていると。バルセロナが総合スポーツクラブであることの恩恵を受けているように感じます。ペップがバスケを参考にしているという情報があるわけでないので、勝手に決め付けることはできませんが、一観戦者として興味深い思いつきだったので書いてみました。




ザックジャパンの試みと攻守の切り替え2

前回はザックジャパンに全く触れずにシステム論に流れてしまいましたけど、今回こそ攻守の切り替えからザックの取り組みに繋げたいと思います。


■攻守のサイクルと実力差
前回からの引用図をさらに詳しく説明しますと↓

 この図の指し示す重要な問題はそれぞれのステージへの移行の仕方です。つまりこの図においては、文字よりも矢印が重要だと言いたいのです。

原則的には水色の矢印が示すとおりに①→②→③→④と循環するのがサッカーというスポーツです。これは育成からプロから草サッカーからバルセロナまで変わりません。(団子サッカーにはないかもしれませんが。。。)

しかし、チーム間に力の差がある場合③まで到達せずに④へ移行したり(Aの矢印)、①と②の繰り返し(Bの矢印)になってしまうこともあります。

テクニックや身体能力で劣るチームや機能していないチーム、総じて弱いチームは、③を経由しないサイクルに陥ることが度々起こります。

Aの矢印をたどり①→②→④の循環が示すサッカーの一例は、縦ポンといわれる縦に速いサッカーです。またはダイレクトプレーを重視し、個の力やコンビネーションで押し切るサッカーもこの循環をたどっています。現在のマドリーはこのスタイルのサッカーでは最強ではないでしょうか。

Bの矢印が示す①→②→①→②の循環は、よほど実力差がない限り起こりえないでしょうが、アマチュアレベルで稀にみることができます。とにかく縦に蹴っても繋がらないどころかまともにクリアすら出来ない状態に陥ります。試合中に泣き出してしまうかもしれません。

無理に③の時間を増やそうとすると、ボールロストした直後相手の②の力に自軍の④がいとも簡単に突破され失点します。つまりカウンターでやられるってことです。

したがって戦略的に攻撃時間を減らすことでゲームを支配しようとするチームが現れることになるのです。

この手のチームは非常に多いです。全世界の半分以上はこういうチームなんじゃないかなと思います。自チームより強いチームを相手にするとき、少しでも勝つ可能性を高めたいなら守備的なチームづくりをするのは当然です。

反対に③を経由できるチームとはどんなチームでしょうか。もちろん強くて上手くて速いチームです。相対的に相手チームより自チームが同等以上の力があれば①→②→③→④のサイクルを手に入れられるでしょう。

自チームより強いチームがいない場合、堂々と攻撃的に戦うことが出来ます。負ける可能性が低いのならば楽しいサッカーをしようじゃないかと。攻撃時間を増やすことで、③→④→③→④という理想のサイクルを手に入れます。ポゼッションサッカーの完成です。至上の喜びを味わえそうです。

しかし現実では、実力が拮抗した相手に挑む時でさえ守備的な戦術を取るチームが非常に多いです。なぜなら長いリーグを戦う場合や、メンバーを固定して戦う場合、ある程度戦術を固めたほうが安定した成績を残せるからです。毎回対戦相手に合わせて攻撃重視でいくか守備重視でいくか変えていては、効率のよいチームづくりが出来ません。

こういった理由でチームづくりを始める際は①のセットディフェンスから構築する監督が多いようです。

■ザックさんのチームづくり
ここでザックの言葉を登場させましょう。先日の親善試合前の合宿で選手に叩き込んだことは2つだとされています。「守備時の連動したポジショニング」「縦への意識」です。

守備時の連動したポジショニングとはつまりセットディフェンスの構築にほかなりません。全員が帰陣し守備配置を整えた段階で、つまりブロックを形成した状態で、ボールの位置に合わせて連動してポジショニング修正をする習慣をザックさんは叩き込んだわけです。

映像で見る限り、市船とかでやってそうなシンプルな戦術練習を行っていました。どういう練習かというと書籍「世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス」(宮崎隆司著)に詳しく書かれているものだろうと思われます。

縦への意識とは、守備から攻撃への切り替えにおいてよりダイレクトにゴールを目指すということです。縦へ走ることで敵を置き去りにし、縦へのパスコースを増やし、良質なカウンター攻撃を生み出しやすくする意識付けです。

上の図で言うとちょうど①と②の部分を改善している最中なのですね。“ザッケローニ氏はサッカーの攻守の切り替えにおける四つのステージに関して、一番目の守備構築と二番目の守備から攻撃への切り替えの2つを重点的に日本代表へ指導した”と書けば今までの文章は全て用なしになってしまうわけです。回りくどすぎました。。。

サッカー史に名前を刻んだ名監督は、特にアリゴサッキに代表されるイタリア人監督の多くは、クライフが率いた「ドリームチーム」バルセロナのトータルフットボールに影響を受けたと言われています。ザックさんも例外ではなく、、、という話は他で語られているので端折ります。

何が言いたいかというと、監督も選手も観客も皆、攻撃的サッカーが好きなんです。だけど、結果を残すには守備的に戦うことが最短の道であることはサッカー界では常識になっています。一観客としては、ザックさんの日本代表改革が「セットオフェンス」の領域まで進んでいくことを真に願う次第であります。

余談ですが、某スポーツニュース番組のインタビューで清水の岡崎選手が「指示が細かい」などの発言をしていました。また、ガンバの遠藤選手は「中学生でもわかる当たり前なこと・・・」とおっしゃってました。

今更「細か」くて「当たり前なこと」を指導される意味を考えた上での発言なら何も文句はありません。これらの言葉を素直にとると、ザックさんに否定的な解釈もできます。もしかしたら敢えてネガティブにも取れる表現をすることで、メディアを通して僕らにメッセージを送っているのかもしれない、なんて深読みをしてしまいました。単に番組制作側の問題かもしれません。




2010年12月20日

ザックジャパンの試みと攻守の切り替え1

来月1月に開催されるアジアカップの放映権を握った某局が、視聴率の盛り上げのために日本代表選手のインタビューを小分けに放送する番組を見てしまいました。サッカー全体の地位向上や普及のためですから文句はないのですが、自局で放送するからという理由だけであからさまな特集を組むというのは、メディア精神が感じられません。今に始まったことではないし、理想を語っても意味はないのですが。

そんな感じで斜に構えて見ていたのですが、なかなかわかりやすく面白いことを言うので、これはネタになるなという感じで今回の記事です。

■サッカーの試合中に発生する4つのステージ
ステージというか攻守の切り替えをより分かりやすく区分し、4つに分けて考えようというものです。いつの号か忘れましたが、サッカークリニックでスペイン人指導者が論じていた攻守の切り替えです。(スペインの指導者養成コースではサッカーの基本として紹介されるそうです)下図参照

通常攻守の切り替えと言われる攻撃と守備との間の移行部分は、状況によって2つの性格に分かれるってことです。

状況とは攻撃から守備に移るのかあるいはその逆か、です。

ある1チームの視点にたったとき、サッカーのゲームは原則的に、この矢印に沿うように進んでいきます。



ここからは持論です。

攻守の切り替えの移行部(最近ではトランジションという言葉が使われるそうです)は、上図の枠の色で示したとおり、攻→守は攻撃に、守→攻は守備の戦術の一部と考えます。なぜなら攻→守は攻撃視点で戦術をたてるほうが容易ですし、守→攻は守備視点で戦略をたてるほうが自然だからです。新たに図を作ったので考えてみます。下図参照。




 上の図をより具体的な言葉で置き換えてみました。

①のセットディフェンスとは安定的に敵にボールポゼッションを与えたときの守備を指します。最近よく言う『ブロックを形成した守備』 はこれにあたります。

②のダイレクトプレーはカウンターと言うほうが性格的に分かりやすいと思います。ゲームが不安定状態でボールを保持している状況を指します。

③のセットオフェンスとは安定的にボールを保持した状態での攻撃を指します。相手を敵陣に押し込んだ形でのポゼッションや横方向へのビルドアップなどがこれにあたります。

④のプレスとはゲームが不安定状態のときボールを保持していない時を指します。ボールロストして必死に取り返しに行く時などがこれにあたります。

安定不安定に関してはこちらをどうぞ
マクロつなぎ論 安定不安定1
マクロつなぎ論 安定不安定2


■セットオフェンスとセットディフェンス
攻守の切り替えを考える前に攻撃と守備について考える必要があります。上の図で言うならセットオフェンスとセットディフェンスです。(これらは自分が分かりいいように作った言葉です。)

ポジショニングという観点から見て、攻守の切替時(上でいう②と④のとき)は各選手のポジショニングは8割以上各選手の瞬間の判断に委ねられると言っていいかもしれません。攻守交替が起きたときに、「お前はここにいろ」とピッチ外から指示することは難しいからです。ゲームが不安定なときにゲームは動きます。そんなときは冷静に周りを見て判断する時間的余裕はありませんから、選手自身の経験や勘をもとに行動が起こされます。このため、ピッチを上から見ると②や④時には選手配置がぐちゃぐちゃになります

反対に①や③のときは②や④のときとは違いポジションを修正するための時間的余裕が生まれます。選手はより均等な距離を保つようなポジショニングを心がけ、俯瞰してみると綺麗に並んで見えるようになります。よって、①や③のときはあらかじめトレーニングしていた戦術を遂行しやすくなります。こういう理由から①や③を「セット」された攻撃あるいは守備と呼んでいます。CKやFKをセットプレーと呼ぶことと同じ考え方です。

そしてセット状態で組まれた戦術は攻守交替時にも威力を発揮します。

セットディフェンスにおける課題は、失点しないようにしっかり守ることから始まり、いい形でボールを奪い素早い攻撃につなげることへシフトしていきます。

セットオフェンスの課題は、簡単にボールロストしない攻撃の組み立て、攻撃を完了させるための崩しを経て、相手のカウンターを許さず、ボールを失っても相手が苦しい体勢から攻撃を始めなければならないように後手を踏ませる攻撃へシフトしていきます。


こういった諸事情から個人的にシステムを語るときは、攻撃時のシステムと守備時のシステムを分けて考えています。

例えばバルサなら攻撃時は3-3-3プラス1(アウベスのことです)、守備時は4-1-4-1というふうに、スタメン発表される形式上の選手配置をもとにシーン別でのシステムを考えるわけです。

なんだか思ったより長くなってしまったというか寄り道しすぎてしまったので続きは分けて書きたいと思います。

つづき→ザックジャパンの試みと攻守の切り替え2



2010年12月5日

優れたドリブルのスタイル 2歩1触の可能性

このブログでは再三にわたって2歩1触というドリブルのスタイルの優位性を説いてきました。その内容の一部は→の「メッシのドリブル 2歩1触」と目次の2タッチコントロールのシリーズで説明しています。

欧州で活躍する選手のほとんどがこの2歩1触でプレーしていることが、このスタイルの優位性を証明しています。ペドロやフレブなど一部の選手は両足でプレーするところを見ると、2歩1触のスタイルが最善の手段であるとは言い切れません。しかし、よく指導者が口にする「精度の高いファーストタッチコントロール」や「視野の広いパス」や「ゴールを意識したプレー」は、この2歩1触により可能になることがより多くの人に知られるべきだと思います。

■「2歩1触」とはどのようなプレーなのか
2歩1触とは言葉どおり、2歩で1回ボールタッチするプレーのことを指します。大抵の場合、利き足のみでボールを扱うことになります。左利きの選手の殆どがこのようなボールの持ち方をします。これは右利きの選手と比べると、使う脳の部位が異なることが原因だろうと思われます。

2歩1触のプレーは体の向きに対して常に同じ位置にボールを置くことを意味します。利き足の前方やや斜め外方向です。ボールの位置に体を合わせるのではなく、センチ単位でボールの位置を調整することを自動化させ、ボールを意のままに操ることを目標にする技術です。


2歩1触でプレーできる選手は、あたかもボールが足にくっついているような印象を与えます。ボールと共に移動するということが極めて自然に行えます。また、常にボールを押し進めてプレーを行うので、スペースの活用法を自然に学べます。


■2歩1触のメリット
前に別の記事にも書きましたが、2歩1触のドリブルから得られるメリットは以下のことが挙げられます。

1 いつでもキックができる → いつでもパスで逃げたりキックフェイントを使える

2 いつでも方向転換ができる → 取られそうになったら体を入れられる

3 ボールがいつも同じところにあるので、ボールを見なくてもよい → 顔が上がる

4 いつも同じ体勢でキックが出来る→ボディバランスを崩さないので強いパスが蹴れる

サッカーで一番重要なのが状況判断です。2歩1触でプレー出来れば、ボールの確保と視野の確保が同時に行えます。これは高いレベルでプレーする上で極めて重要なことです。

2歩1触は観ること、ボールに触れること(コントロールやドリブル)、ボールを蹴ること(パスやシュート)の3つを同列に考えます。左記の3つは2歩1触の中では同じ現象として考えるのです。これが、選手に流れをもたらし、ボールを扱うことを、空気を吸うことくらいに自然に行うようにさせるのです。自然にプレーすることで相手を欺く多くのトッププレーヤーは、コントロールとドリブルとキックの境目がなく、流れる水のようになめらかな動きを披露してくれます。


■2歩1触から発展可能なプレー
以下に2歩1触のボールタッチから可能なプレーをできるだけ具体的に書き出してみます。小さい予備動作でスムーズに移行できるプレーだけを羅列しました。

・インサイドキック

・アウトサイドキック、トウキック、チップキック※1

・キックフェイント(アウト or イン)※2

・180°方向への切り返し(アウト 足の裏)※3

・アウトサイドで利き足側へ、インサイドで軸足側へ抜ける突破 参考動画→LearnFromMessi_0001.wmv

・マシューズフェイント 参考動画→Sir Stanley MATTHEWS dribbling compilation - christinayan (0:27からです。) 


・ダブルタッチ(利き足イン→逆足イン 利き足アウト→利き足イン)※4

・利き足でのシザースフェイント※5

・足の踏み変えによるリズムの変化

・マタドールターン

・ゴールに向かったドリブルの仕掛け

2ステップ

※1 ボールが常に足元にあるためほとんど予備動作(助走や軸足の踏み込み)のないキックが可能

※2 キックフェイントというよりキックキャンセルに近い。2歩1触ドリブルではボールタッチと同じ姿勢からキックをすることが可能。このため、DFにプレーの意図を読まれづらいという特徴がある。中盤においては、キックの動作を伴わなくても、視線だけ周りに配って少し大きな蹴り足の引き上げを伴いながら2歩1触のドリブルで突き進むだけで、相手DFがドリブルのコースを空けてくれることがある。

※3 アウトサイドでの切り返しはほとんど予備動作なしでできるが、足の裏でのストップは膝を少し高く上げるため読まれやすい。しかし、足の裏でのプレーはその後360°どの方向にもボールを動かせるのでとても意外性が高い。インサイドでの切り返しやクライフターンは体の向きを変更せねばならず動作が大きくなる。その上、進行方向を相手に教えてしまう。キックフェイクとしてなら有効。

※4 ダブルタッチは狭いところを抜いていくのに極めて有効。ただし、逆足イン→利き足インのダブルタッチは予備動作が大きくなり相手に読まれやすい。なので、利き足側に行きたい場合は利き足アウト→利き足インのダブルタッチを使うといい。

※5 常に利き足側にボールを置く2歩1触のスタイルでは、逆足での跨ぎ動作は現実味を帯びない。わざわざ仕掛けのタイミングを相手に教えるようなもの。両足でプレーする選手にはこの限りでないが。

以上が21世紀初頭までのサッカー史において、淘汰され洗練されてきた技術体系です。つまり、これらは速く考え速くプレーするために選手達に選ばれ続けたテクニックであるということです。それ以外のテクニック達はオプションに過ぎないというのが持論です。

■2タッチコントロール
2歩1触の考え方ではボールを常に自分の支配下に置くこと(利き足の前にコントロールすること)が最も重要になります。

パスを受けてからボールを支配(コントロール)するまでの時間が短ければ、その分余裕を持って顔を上げることができます。そのためにトラップの際はボールを注視します。続いて2タッチ目で完全にボールを支配下に置き、同時に顔を上げることで、トラップ時の2歩1触が完成されます。方法は右記を参考にしてください→「2タッチコントロールが有利なわけ」


上記のとおりに2タッチコントロールが実践されれば、おのずとファーストタッチの精度が上がりますし、同時に有効な視野の確保も可能になります。これによって視野の広いプレーのための条件が満たされるのです。


■仕掛けるプレー 
2歩1触で目指すべきレベルは、どんな速度でプレーしていてもボールを支配することです。

アタッキングサードでは、ボールを常に利き足の前にコントロールすることで、常にシュート体勢をつくることが非常に重要になります。「いつでもシュートできるんだぞ」という姿勢をDFに見せつけることで、ゴール前の攻防を有利に運ぶことが可能になります。

この姿勢こそが「ゴールを意識したプレー」の条件になると思います。

2タッチコントロールからのミドルシュートあるいは2タッチ目でDFを外してシュートなどのプレーはトップレベルの試合で頻繁に見られます。

高速で敵に接近する仕掛けにおいても、2歩1触で行えば、ボールコントロールを失わないので、少しずらしてシュートコースを作ったり、相手の出方を見て逆を突いていくプレーが可能になります。抜いた後もボールを近くに置き、すぐにシュート体勢に持ち込めるので、かわすためだけのドリブルや相手を欺くためだけのプレーが減ります。


以上の説明のとおり、2歩1触は人体構造上ごく自然な動きで、一つの予備動作から多様な選択肢を得ることができ、戦局を有利にすすめるために必要な技術だと考えています。そしてファーストタッチの精度の向上、有効な視野の獲得、ゴールを意識したプレーの習慣づけも期待できます。


関連記事→2歩1触のための超基礎

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