footballhack: ミクロつなぎ論3 右から来たら左、左から来たら右

2010年8月29日

ミクロつなぎ論3 右から来たら左、左から来たら右

1998年W杯のあとに作成されたテクニカルレポートを受けて、当時のJFA技術委員長だった小野剛さんが書かれた名著「クリエイティブ・サッカーコーチング」のなかで、一貫してキーポイントとなるスキルが紹介されました。それが“ボディシェイプ”という言葉です。

このボディシェイプがトレセン制度とともに広まり、当時の育成年代の指導者、選手ともにサッカーにおいて一番重要なスキルだというような通念が生まれました。

その渦中にあって、僕は必死にボディシェイプの練習をしました。なんのために前を向くかもわからず。。。いや、中田ヒデのようなスルーパスを狙うためにボディシェイプをしていました。全狙いでした。

10年以上たった今、Jで活躍する選手にもそんな気配が感じられます。ボディシェイプから裏を狙ったパスあるいはクサビのパスという速いサッカーが日本人の特徴のようです。

高校に上がって、当時顧問の先生が口を酸っぱくして言っていた言葉があります。

「右から来たら左、左から来たら右!」

そこでようやく僕はボディシェイプの目的を知ったのです。まさに、はっとするような体験でした。

どういうことかというと↓



簡単なことです。横に広くボールを展開しろってことです。

と考えられがちですが、本当に重要なのは、進むすべき方向を知ることなのです。

高校に上がって僕は中盤でよくボールロストするようになりました。ひとつ上のカテゴリーでプレーすると、敵のフィジカルや予測能力が上がり、今までのようにプレーできないことってありますよね。

そこでこの「右から来たら左、左から来たら右」どおりにプレーすると、振り向いた先にかならずフリーの味方がいるのです。周りを見なくても、この方向にプレーすればボールを失わずに攻撃を進められることがわかりました。

フリーの味方がいなくても、2歩1触のドリブルを使うことで、対峙したDFに対して2択を迫り、新たなパスコースを見つけられるのです。

その理由はこうです。相手の守備意識の優先順位はワンサイドカットにあります。ボールホルダーに対してプレッシャーをかけることで、同サイドにボールを戻させたいという意識が働いています。なのでまずは、ボールを受けたら「逆サイドに展開してやる」という気概を見せ付けて、マーカーの心理の逆をとります。マーカーが逆サイド側にポジションを修正したら、また同サイドに向き直ってつなぎ直せばよいのです。

このように、流れに任せてプレーするように心がけてから、ボールを失う機会は減りました。

このプレーはシャビ、シャビアロンソ、バラック、中村ケンゴウ、遠藤など中盤の選手が頻繁に使うプレーです。

方法は、ボールが左から来たら右足で止めて、すかさず左足で右方向に蹴る、というものです。ボールが来るまでに3回ほど首を振って周囲を確認できれば完璧です。

「クリエイティブ・サッカーコーチング」の話に戻りますが、この本の貢献は偉大だと思います。現在の日本サッカーにもこの本の影響が見て取れるという意味では。でも、もはや10年も時は過ぎて日本のサッカー界には新たな段階へ進む時期が来ていると思います。この本を上回る指導指針が早く出されるべきです。というか遅すぎの感は否めません。というか大罪であったとも思います。

フリースタイルなんてぇのが流行する昨今、時代は80年代へと逆戻りしてるのかもしれません。先行き暗きニッポンサッカー。

そろそろスペインサッカーから新しいことを学びましょう。



次→ミクロつなぎ論4 横横縦 縦縦横

3 件のコメント:

  1. いつも更新お疲れ様です。こういう細かい所まで研究してもらえ
    ると、サッカーをやってる人からすればすごくありがたいです。

    僕のチームには右利きが多く中盤(ボランチ)の選手も2人とも右利きです。例えば左からボールが来たとき右足でトラップする所まではいいのですが、その後、一度右のアウトサイドでワンタッチ(そのときに体も右サイド向ける)してから右足で右サイドに展開します。ぼくはよくバルサの試合をテレビで見るのですが、カンテラ(バルサの下部組織)の最高傑作とも言われるシャビやイニエスタでさえ僕が書いた上の例と同じようにしています。これはシャビやイニエスタのプレーが間違っているのでしょうか?

    返信削除
  2. いつも更新お疲れ様です。こういう細かい所まで研究してもらえ
    ると、サッカーをやってる人からすればすごくありがたいです。

    僕のチームには右利きが多く中盤(ボランチ)の選手も2人とも右利きです。例えば左からボールが来たとき右足でトラップする所まではいいのですが、その後、一度右のアウトサイドでワンタッチ(そのときに体も右サイド向ける)してから右足で右サイドに展開します。ぼくはよくバルサの試合をテレビで見るのですが、カンテラ(バルサの下部組織)の最高傑作とも言われるシャビやイニエスタでさえ僕が書いた上の例と同じようにしています。これはシャビやイニエスタのプレーが間違っているのでしょうか?

    返信削除
  3. まちがってません。時間がない時は左右の足を使い、余裕があるときは利き足だけで行うとよいでしょう。

    返信削除