2013年11月8日
ドルトムントの練習を分析する
前回の図を使ってドルトムントを分析しなおしてみましょう
やってみたら失敗しました。どうあがいてもこのモデルじゃ理解できない!!いや矛盾が出てくる!!!
そこでドルトムントの練習方法を見なおしてみました。
まずは欧州サッカー批評に掲載されていたメニューから。
簡単に説明すると、ピッチの端っこで自由にパス回しをするグループと、ゴール前でマーカーのとおりに並ぶグループに分かれます。黄色が攻撃、水色が守備です。オレンジがコーチです。コーチが任意のタイミングでゴール前にパスを送り、その瞬間にパス回しチームはボールを放置して縦パスに反応し、4対3を開始します。ボールが切れたらコーチが再びコート内にボールを入れ、攻防を再開します。
この練習の肝は、ボールを複数使うことです。違うボールを入れることで強制的に切り替えの意識を植え付けるのが狙いのようです。
最新のトレーニング理論ではボールを複数使うのがトレンドなんだ、と感心した次第であります。
次に、以前紹介した、守備のトランジショントレーニング。
この練習、トランジションと言いつつ、攻守が入れ替わっていないんですよね。さっきの練習もそうでした。ボールを2個使って切り替えを意識するのは理解できるんですが、攻守が入れ替わらないのでトランジションとは言えないのではないか?これがこの練習を見た時の感想です。
ではなにを切り替えているのか、それはスピードです。同じ攻撃というフェーズの中でスピードを変化させているのです。守備でもそう。同じ守備のステージの中で遅い守備から速い守備へ切り替えることで、実践感覚を研ぎ澄ませようとしているのでしょう。
遅い守備とは整ったラインディフェンス、セットディフェンスを指します。ここからコーチがサイドの選手にロングキックを蹴ることで、ラインがブレイクし、守備の中に速度差が生まれます。
想定としては、セットディフェンスがサイドから崩された時、あるいはサイドチェンジを入れられた時、または味方のポジショニングや判断のミスでサイドを突破された時をイメージしているのでしょう。高速でゴール前に帰陣する中でぎりぎりの判断を迫られ、研ぎ澄まされた状況を再現することができます。よく考えられていますね。
先ほどのクサビからのスピードアップの練習もそうです。ゆったりしたつなぎから一気に加速し、前方でキープする選手のフォローアップに回ります。タイミングとスピードが鍵です。即座の判断で有効な位置に走りこまなくてはなりません。
この2つの練習を見てわかることは、クロップ監督は攻撃/守備のフェーズをスピードで2分しているということです。遅い攻撃/守備と速い攻撃/守備の2つに。
ここから攻守の切り替えの図を新たに書き換える必要が生まれました。ドルトムントの練習からクロップの頭のなかを覗くと、下のようになるのではないでしょうか。
矢印一本一本がシチュエーションを表します。この一本一本に対応するようにトレーニングを考案していく必要があるのではないでしょうか?
もちろん全てを網羅する必要はありません。例えば、バルセロナのように高いポゼッション率を期待できるチームの場合、"遅い攻撃”に関わる矢印を中心にトレーニングを組めば良いということになります。
でも今書いていて気づいたんですが、セカンダリーブレイク/戻りながらのプレスの表記が見当たらないので、この図も完璧ではないのでしょう。
ドルトムントが攻守をスピードで分けて考えていることはわかりました。それをもとにトランジション図を作成することも出来ました。ではこの図は一体何に活かされるべきなのでしょうか?それは試合分析とトレーニングの質を改善するためです。次回はそんな話をうまくまとめられるように。
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