footballhack: ブスケツはなぜギャップを好むのか

2013年6月24日

ブスケツはなぜギャップを好むのか

ブスケツはなぜ隙間を好むのか 001
ブスケツターンシリーズも最終回です(予定)。なぜブスケツは敵と敵の間にポジショニングをとることを好むのか、これについてようやく回答が出たので記しておきたいと思います。

きっかけはかなり前にもらったコメントです。気になるコメントはこうやって思い出してまたエントリのネタにしたりするので、面白い意見があったらぜひ聞かせてくださいね。

かなり前に書いた焦点プレーというエントリからです。

”そんな中一つ質問があるのですが、上の記事の一番最初の図で表した例で、2人のDFと均等な位置にポジションを取ると書いてあるのは分かるのですが、この例では、2人のDFの線上にポジションを取っています。ただ、これだとボールを受けたときに敵を引きつけることは出来ますが、その分プレッシャーを受けてしまいます。そこで、図の2人の線上より右側でボールをもらえば、フリーで受けられると思います。簡単に言うと、上の例は2Dポジショニングだと思うのですが・・・”

その時の回答としては時間的制限を挙げたんですが、これは不完全でした。

現在できる回答は3点ありまして、
  • 焦点ポジショニングが与えるプレー選択肢
  • ブスケツターンに秘められたトリック
  • ブスケツターンという技術による自信
なのです





  焦点ポジショニングが与えるプレー選択肢

では1例ずつ見て行きましょう。まず、2人のDFの中間点より出し手に近い場所でパスを受ける場合。つまり出し手に寄ってパスを受ける時です。

ブスケツはなぜ隙間を好むのか 002この場合はパスの距離が短い上に、DFを背負ってプレーできるのでまずインターセプトされることはないでしょう。しかし、リスクを負ってないので敵の陣形を崩すこともできません。相手が食いついてくれば勝手に崩れてくれますが、あくまで理論の上ではこの形で崩せるとは言えないのです。

もちろんパスが良くて(タイミング、強さ、フェイク)受け手がオーバーやターンすることで2人を出し抜くことはあると思いますが、そうなるとDFのミスということはできても攻撃側の工夫で崩したとは言い難いと思います。


ボールに寄るだけのサポートでは論理的に守備網を崩すのが難しいのです。このことを証明するためのひとつの具体例が上の図のような形だと述べておきましょう。

では質問者さんのいったとおり、2人のDFの中間点より離れて(図で言うと右側に移動して)パスを受けたらどうなるでしょうか?

ブスケツはなぜ隙間を好むのか 003この場合、パスが十分に速いかパスフェイクが綺麗に決まった場合、2人のDFを上手く出し抜けます。出し手の技量に全てかかるため、パスに高い精度が要求されます。

パスが緩ければ困るのは受け手で、厳しいプレッシャーをかいくぐるフィジカルレベルが要求されてきます。
離れすぎもまたよくないのです。離れると受け手は楽になりますが、出し手に要求されるレベルが高まります。出し手を助けてあげるには周囲の適度な距離のサポートが必要であり、それは近づきすぎても離れすぎても良くないのです。このへんは最近僕の考え方が変わってきた部分でもあります。

じゃあ適度な距離とは一体・・・。それが焦点ポジショニングです。

ブスケツはなぜ隙間を好むのか 0042人の敵の中間点に位置しておけば、DFはどちらがアプローチに行くかお見合いすることもあります。パスが来たらダイレの戻しパスとターンを見合いにしてプレー出来ます。この2択にDFは悩まされる格好になります。アプローチに余計なエネルギーを使わせれば攻撃側の勝ちです。

ターンもできるしインターセプトの危険も少なく、困ったら簡単に落とせる、それが焦点プレーです。

ポジショニングについての話はここまでです。しかし、これだけだと焦点にポジショニングしさえすればブスケツのようにプレーできる、と誤解を与えかねません。焦点プレーはブスケツターンという技術があってこそ、はじめて可能になるポジショニングプレーといえることを説明していきます。



  ブスケツターンに秘められたトリック

ブスケツターンの技術的側面は以前紹介しました。
参考動画は右のリンクのYouTubeを見てください。→ The Busquets' tactical role in attacking

ブスケツはなぜ隙間を好むのか 005こんな当たり前の技術にトリック性なんかないだろ、そう思うと思うんですが、僕はあえてここを強調したい!!

落としとターンの見合いがいかに汎用性が高いか!!そう、トラップにおいてはファーストタッチの時にパスフェイクを入れるのが一番効くんです。

しかもこのブスケツターンの場合、接触姿勢を、止め足を軸足の前に持って行くと、周りから見る人はほぼ100%弾き返すだろうと思います(初見ならね)。

とにかく止め足を軸足の前に持って行きファーストタッチすることよう練習してください。

また、ボールをわずかに転がせるのもでかいです。やはりレベルが上がるとcm単位でボールコントロールすることを求められます。そこでブスケツターンを使いこなせれば、普通は転がせない角度にトラップを転がせます。足首の力の抜き加減で転がり方も調整出来ます。

また、転がしておいて、2タッチ目に切り返すのも効きます。2タッチ目のパスフェイクも実は相当有効なのですが、これはトラップを工夫することでさらに効果が高まります。よく練習してください。



  ブスケツターンという技術による自信

技術を習得してポジショニングも覚えたらブスケツのようにプレーできるかと言ったら、できないでしょう。プレーを成功させるには自信も必要です。その自信はどこから生まれるのか。一つには個人の才能というか持って生まれた負けん気の強さや図太さも重要でしょう。ただ、ここで僕が重視したいのが、技術が与えてくれる自信についてです。

技術を持っていれば、あるいは持っていると自分を過大評価していてもいいです。何度でもチャレンジ出来ますし、失敗してもいつか成功できると信じることができます。なにより技術を知ることや試すことは面白いですから、チャレンジそのものが楽しくなりますし、失敗を恐れなくなります。そして何度も成功体験をつんで自信を得るのです。

敵の間でパスを受けてさばくプレーは大変にプレッシャーのかかるプレーです。普通は怖くてできないよ、といって諦める選手が大半じゃないでしょうか?ブスケツの技術を知ること、ポジショニングのコツを知ること、そしてあのあふれんばかりの自信の源を知ることは、一アマチュアの僕達にとって非常に励みになるのではないでしょうか。

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