footballhack: ブスケツターン(ロール&ターン)

2013年5月19日

ブスケツターン(ロール&ターン)


ファーストタッチのコントロールで大事なのは正確に止めることよりも、どこに止めるかわからなくすることです。こう言うとまた逆張りしてるよとか言われんでしょうけど、これは真実なのでしかたがありません。

反論の反論をしてると時間がなくなるので以上のことが真だという前提で話を進めます。トラップの基本はニュートラルでいることです。余計な緊張をなくすことでクッション性を増すことは当たり前ですが、実践においてさらに重要なのが次のプレーの読まれないということです。

体に余計な力が入っていると動作を見ぬかれてしまいます。足の先から頭のてっぺんまで脱力していることで次の動作を見ぬかれないニュートラル姿勢を作ることができます。ニュートラル姿勢から足首の角度と接触の力加減を調整し、ボールの置き場所を変えるのがほんとうの意味でのファーストタッチコントロールなのです。

ここではブスケツが得意とする利き足で止めて180°ターンし利き足でキックするプレーの中で、よく用いられるロール&ターンという技法を紹介します。


まずは動画をば


control roll and turn from silkyskill on Vimeo.


これはよく中高生がやる200°以上の鈍角なターンとは根本的に違います。ボールの勢いを殺しつつボールに回転をかけて、その回転を利用して次のプレーにつなげるのがこのロール&ターンです。

これがなぜ有利なのか説明しましょう。

ブスケツターン 001左図のように下から上に攻めていて、後方からパスを受けるとします。真横からDFが来たとき、どうすればプレスを回避してボールをつなげることが出来るでしょうか。

いろいろ回答はあります。手押しを使う、ワンタッチではたく、逃げるようにスラロームする。ブスケツターンはなかでもスマートなやり方です。



ブスケツターン 002いなすトラップ概論でも見たとおり、DFのプレスポイントはボールホルダーの体の正面です。左図で言うとオレンジの楕円に向かってアプローチを開始します。



ブスケツターン 003ブスケツターンを使ってダイレで戻しパスを出す姿勢からロール&ターンすると、オレンジの楕円が移動します。これによりDFはより長い距離を走らなければプレスポイントに到達できなくなります。



ブスケツターン 004ロール&ターンのできない選手は、ボールをピタッと足元に止めることが良いプレーだという固定観念に囚われすぎています。
  

「ピタっと止められればなんでもできる」と勘違いしているから、ピタっと止めるとDFにプレー選択肢を削がれるという現実に目を向けることができません。ボールの置き場所があらかじめ予測できるということはその後のプレーのアイディアが制限されるということです。


ブスケツターン 005また、動画のピケのようにピタッと足元にしか止められない選手は、体を入れ替えないと前を向けません。結果オレンジの楕円は移動しないので、DFは最短距離でプレスポイントに到達出来ます。

これはブログ初期に紹介した2タッチコントロールでも同じ事が言えます。ボールを置く位置をズラせない選手はDFのプレスをもろに受ける格好になり、それこそフィジカルが強くないとボールをキープ出来ません。


相手の対応やその時の状況によって、止める位置を多様に変化させることが出来る選手が良い選手だと思います。また、それは必ずしも狙った位置でなくともよいのです。トラップミスを次のプレーにつなげたり、自分でもどこにボールが転がるかわからないような止め方のほうがDFにとって困ることがあります。正確に止めることより、トラップでDFを出し抜くことのほうが重要です。DFに次の動きを読まれなければ、寄せられる心配はないからです。このへんは極論です。実際にはフィジカルやアジリティのレベルも関係してきます。

このへんの指導の差、考え方の差が日本と海外の差でもあるように感じます。



じゃあブスケツターンをどうやってやるかって話をします。


ブスケツターン 006左図は右から左に時間が流れています。

まずボールを上から迎えに行き、上から切るようにボールと接触します。足を脱力しておくとボールの勢いが足に伝わり、足が後方に弾かれます。そのまま斜めに擦り落とすようにボールに回転をかけて、勢いを弱めながら後方に転がします。すると1〜2mほど転がっていきます。


初めの姿勢が大事です。いかにもダイレで戻しますよっていう姿勢をとって、まぁ最悪そのままボールを弾いてボールが来た方向に戻るようにトラップしますよっていうポーズを取ります。

すると絶対DFはオレンジの楕円に目掛けてプレスをかけてくるので、足を脱力して下ろすことで後方へいなすことができます。

練習してみてください。

参考資料は以下に

蹴球計画 「スペインリーグ第2節 バルセロナ 1-1 ラシン」 

蹴球計画 「正しいコントロール 目次」


2 件のコメント:

  1. はじめまして
    ブスケツターンの実用性がよくわかりました
    ところで、トラップでしたら横から来るDFに背を向けて軸足を踏み込んだトラップ(ターン)では駄目なのでしょうか?
    懐を使うことが出来るし、DFの位置によって切り返すこともターンも容易だと思います
    またターンとみせかけて軸足の裏を通すことで股抜きも狙えます
    ドリブルへの加速もスムーズです
    ブスケツターンと軸足踏み込みの優劣と詳細を教えてください

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    1. ブスケツターン:パス向き
      懐を使ったターン:ドリブル向き
      技術的難易度:ブスケツターン>懐を使ったターン

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