こうやって指導され育てられた選手は愚直に“首”を振ります。正確に言うならば、頚椎を旋回し(捻り)ます。従順な小中学生の微笑ましいほどの首を振る努力は、哀しいかな、サッカーの上達に直結するとは限りません。
何が言いたいかというと、視野を広げる行為は首を振ることだけではないのです。「首を振れ」などと言葉主導のコーチングを受けた選手は、首をふることだけが視野を確保する術だと盲目的に思い込んでしまい、その他の方法があることに気づくことが困難になります。今回は盲点になりやすい視野の確保の方法を伝授します。
周囲を観るための方法は以下の3つがあります。
- 眼球を動かす
- 首を振る
- 上半身を捻る
1 眼球を動かす
視線だけを動かして観ることが出来れば首を動かさないので、敵にプレーの意図を読まれづらくなります。普通DFはボールホルダーの体勢(静的イメージ)と挙動(動的イメージ)でプレーの意図を読もうとします。ですから、顔の向いている方向にプレーすることはDFの想定内なのです。そこで、首を固定したまま、目線だけを動かして観ることで、DFの虚を突くパスコースを探すことができます。
このテクニックはパス全般に使えますが、特にスルーパスで有効です。非常にトリッキーな方法であり視野を狭くしてしまうというリスクも含まれるので、頻繁に使うのではなく要所で使うと良いです。
お手本として紹介したいのは以前にも紹介したグティです。
まずは手始めにスローインを投げる時にやってみましょう。スロワーを任されたら、目線だけ動かして味方を探すことで、敵に投げる方向を悟らせないことが出来ます。
2 首を振る
これについては盛んに言われているので省略します。
3 上半身を捻る
どういうことかというと、首を回すのではなくて、肩から旋回するように周囲を見渡します。すると、首だけを動かした時より、より広い範囲を観ることが出来ます。首の旋回はせいぜい90度方向までしか観えませんが、腰を回し肩越しに後ろを観るようにすれば、180°の視野を確保できます。
これは体の向きを変えずに後方を見るための重要なテクニックです。サッカーでは基本的に選手はボールにヘソを向けた状態でプレーしますから(よく「視野を確保するために半身でパスを待て」なんて言われますが、これを忠実に実行しているプロ選手はいません。半身が推奨される状況はごく一部に限られ、普遍的に半身が良いといった指導や議論は不毛です。)、同じ姿勢から90度しか観えないのと180°まで観えるのでは情報量に違いが出てきます。
ただし、首だけを捻る方法に比べて、ボールから視線を外す時間が長くなるので、ボールの行方を見失わない余裕がある時に行うとよいでしょう。パスを受ける直前に肩を捻ると、その間にボールがイレギュラーバウンドしてしまうかもしれませんからね。
この見方をよく行う選手にセスク・ファブレガスがいます。
参考になるような画像があればここに追加しときます。
まとめ
周囲を見渡し、視野を確保する方法は、首を振るだけでなく、目線だけを動かしたり、ダイナミックに上半身を捻ったりする方法があります。それぞれの使用比率は目線を10%以下、首を60~70%、肩捻りを30%くらいにすると良いと思います。
次→エジルが魅せた!!フランス戦でのグティパスと眼球運動
目線、首振り、肩捻りの使用比率をそれぞれ10%,60%,30%程度にすると良いとおっしゃる、その数字の根拠がなにかあれば教えて下さい。
返信削除経験と観察の蓄積が根拠です。サッカーのゲーム構造を鑑みた時、それぞれの首振りが求められるプレーの割合は上記のように収束すると、僕の勘が言っています笑。納得いかなければご自身でお考え下さい。
削除首を振ると相手に読まれやすいと?
返信削除では首を振った方と逆のプレーを行うイニエスタのプレーはいかがでしょう?
首を振るとプレーの意図が読まれやすいというのなら、それを逆手に取りプレーすれば良いだけだと思いますよ。
ちなみに世界一のボールキーパーのシャビ・エルナンデスは首を振りまくっていますがこれはどう説明されますか?
どう読まれたらそのような解釈になるか全く判りかねますが、重ねて申しますと首をふることは悪いとは一言も言ってません。むしろ首をふることは周囲を見る方法の6割以上を占めると考えていますし、それは書いてありますね?普通は選手は見た方向にプレーします。そこでグティのように見ていない方向にプレーするには見ていないと周りに思わせておいて、しっかりとその方向を観る必要があります。その方法のひとつに眼球運動があります。また、ノールックパスのような首を振る方向と真逆へのプレーは個人的にオススメできませんし、良いプレーだとも思いません。
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