まず、ボールを流すプレーについてですが、以前紹介した動画が大変わかり易いのでご覧下さい。↓
なぜこのようなプレーにDFが騙されてしまうかというと、通常DFは受け手のプレー選択肢を見て先読みするからです。受け手がボールにヘソを向けてパスを待つ時、大抵受け手はボールと同サイドにプレーするだろうと、DFは予測します。なぜなら普通選手は体の正面方向にしかプレーできないからです。そこで、受け手は逆サイドへ向けてターンするとDFを欺くことが出来るのです。
ただし、逆サイドへのターンを悟らせないことが重要です。そのために、パスを待つ時に軽くジャンプし、ニュートラル姿勢をつくり、自然に足元へ止める素振りを見せます。そして、浮いた状態からボールに向かって一歩寄り、DFを釣り出します。足を大きくボールに向けて接地し、その足で急ターンを図ります。そうすることで、フェイク動作とスムーズな重心移動を両立させ、DFを出しぬくことが可能になります。
ボールを流すプレーが上手くいかない場合は、ニュートラル姿勢を作れていないか、パススピードと後方のスペースの有無の確認を怠っているかのどちらかの理由です。
次に2タッチコントロールでの回転トラップを見てみましょう。
始めはイニエスタのプレーから。下の動画の4:24からです。
画像を抜き出してみました。
イニエスタがポジションを下げてパスを受けに行きます。
軽く浮き、ニュートラル姿勢でパスを受けます。イニエスタの体は後方を向いているので、DFは水色の楕円に向かってアプローチを続けます。
この時、DFの頭の中には、リターンパス、中への横パス、外への横パスが思い描かれたはずなので、ターンはないと見込んで距離を詰めに行きます。
ここでイニエスタはニュートラル姿勢から足を踏み出し、ターンを図ります。ボールが晒された状態なのでDFは釣り出されてしまいました。
止め場を回転させ、アウトサイドでうまくいなしています。
入れ違い
バランスを崩しながらも見事にDFを抜き去りました。
プレーイメージを持つにはポゼッションやパスワークのドリルのなかで、パターン思考を繰り返すしかないです。
お次はメッシのプレーから。下の動画の4:10が該当プレーです。
右後方からパスを受けます。それを見てDFはアプローチを開始しました。
白の楕円で示したメッシの体の正面が受け場になります。
軽く浮き、ニュートラル姿勢を作っています。
接地の瞬間、足を大きく踏み出し、低重心状態を作り、同サイドにプレーするように見せかけて、逆サイドへの加速の準備をしています。
アウトサイドで左へ持ちだして止め場を回転させています。
入れ違い
加速に入ります。
このメッシのプレーで面白いのは、アウトサイドでターンをする時、上半身と下半身が捻れていることです。上の写真は、アウトサイドでのタッチの直後、左手が前に伸び、肩のラインがゴールラインと平行を保ってるのに比べ、下肢は左前方に向かってねじれています。左の写真は背番号が見えることからわかるように、肩が左へ旋回しています。
そしてこの写真では上半身、下半身共に進行方向に向かってシンクロしています。
メッシのマシューズフェイントに関する研究もまだまだ課題が残っていそうです。
以上のように、回転を用いたいなすトラップの概要は、ニュートラル姿勢からのコントロール(あるいはボールに触れず足元を通過させ)即マシューズフェイントへの移行ということで説明ができます。浮き、リズム変化、外足接地と低重心、内足の最大利用と上半身の傾斜などはドリブルのみならず、トラップにおいても重要なスキルで有ることが分かりました。
また、上記で紹介したプレーは特に横や斜め後方からパスを受ける際に有効ですので、ぜひ活用してみてください。
サッカー素人です。
返信削除ニュートラルな体勢は、反応を速めるために効果的だと思います。なぜなら、筋肉は、一度脱力した方が収縮速度がほんのわずか速くなるからです。そのため、テニスや野球で相手がインパクトする瞬間に軽く跳んで反応速度を高めていますす。これらの選手は、ジャンプすることで意図的に筋肉の緊張を解き、脱力することで相手の動きに対応しているのです(プラス経験による次のプレーの予測や対応すべきパターンのイメージ化)。だから、ニュートラルな体勢は、相手より動ききだしの動作が早いのではないでしょうか?
深く賛同します。脱力後のほうが筋収縮速度が速いというのは初めて知りました。個人的に重要視しているのは、ジャンプ後の着地姿勢です。トッププロはスポーツの種目に依らず、ジャンプ後に足を開き低重心姿勢を作り、そこから運動方向へ向けて加速しているように見受けられます。これがスムーズな動き出しの鍵だと思っているのですがいかがでしょうか?
削除