アイコンタクトは、個人的にはそれほど重要視していないのですが、アイコンタクトの意味するところがサッカー界では誤解あるいは狭義に取られてしまっているので、簡単に説明したいと思います。
アイコンタクトというと、一般的にイメージされやすいのは、「パスの受け手と出し手が互いの位置や狙いを確認しあうためのコミュニケーション」であるということです。しかしこれでは、アイコンタクトが実践されるのはパスの交換がある時だけで、実践者はパスの出し手と受け手に限られてしまいます。
時には出し手が受け手を見ないほうが良い場合もあります。ボールが近くにあるときやボールを持った状態では、敵を観ることを優先しなければならないので、味方に視線を送っている暇はありません。特にボールを持ってから受け手とアイコンタクトを取ることは、見合いの概念やつなぎのセオリーから言って、致命的なミスに繋がります。
実際には、アイコンタクトはパス交換の時のみならず、守備の時、パスが回ってくる前々段階の時、パスを受ける時に第一の受け手と第二の受け手がコンビネーションランをする時等々、あらゆる場面で使用されます。
例えば、味方ボールのスローインがあったとします。スローを受けてボールを繋ぎたいとします。この時のセオリーは
- 2選手が入れ替わるように動いてもらう→スペースは背中で作れ
- 近くにいる受け手の頭越しに投げて、遠くの味方を狙う→ひとつ飛ばすパス
- ボールを受けた選手のサポートに入る→スローインをもらう動き-サッカーステーション
- スロワーにリターンし展開する
この時アイコンタクトが必要になります。アイコンタクトの対象はスロワーではなく、自分の隣にいる味方選手です。彼に目配せをして、「俺はここのスペースを使うから、お前はそっちのスペースを使えよ」と目の合図で教えてやるのです。
コンビネーションランで突破を図る場合も、自分が囮の動きで敵を引きつけてスペースを開けるように走りぬけながら、背後に居る味方へ合図を送ります。そうすることで、各々が使うべきスペースを明確に区別でき、プレーの意図がよりくっきりとした輪郭を帯びてきます。
カウンターを受けた時は、ディレイしながら前方から戻ってくる味方に合図を送り、挟み込んで奪うことも可能です。
このように、アイコンタクトはパスの受け手や出し手になるときに行うよりも、その前段階や守備の時に行うほうが、有用であり意思の疎通も容易になるのです。
毎週あるいは毎日顔を合わせ、同じトレーニングに取り組む仲間同士なら、目を合わせただけでお互いのプレーの意図を汲み取り合うことができます。また、初めて共にプレーする選手たちとアイコンタクトだけで意思疎通できたらなら、これほどの喜びはサッカーにはありません。
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