footballhack: つなぎ論 番外3 バルサのつなぎを封じるには

2010年8月28日

つなぎ論 番外3 バルサのつなぎを封じるには

バルサのビルドアップの仕組みがわかったところで、今度はバルサと対戦するチームがどのように戦ったらよいのかを考えます。

方法は3つあります。

1 モウリーニョ・インテルや日本代表のようにドン引きしてスペースを与えない

2 マンツーマンでひたすら走りまくる

3 バルサのセンターバックとボランチに厳しく寄せてパスの出所をふさぐ

1の方法はすでに結果がでているように、守備能力の高いDF陣といいGKがいるチームでは有効です。断固たる集中力でもってゴール前を固めて徹底して守り、あとはバルサのシュートが枠の外に外れてくれるのを祈るという方法です。

この方法の問題点は、攻撃の形を作れないので、シュート数が激減することです。よほど能力の高いFWがいるか、バルサの守備陣のミスを頼りにするしか得点の機会はありません。これでも勝てることはあります。“マイアミの奇跡”のように。それを信じて守りきるのみです。

ただ、バルサのポゼッションサッカーは、相手を敵陣に押し込むことで主導権を握り、守備の時間を減らすことが最大の目的です。1の方法は敢えてバルサに主導権を渡してしまうので、いつ失点してもおかしくない時間帯が永遠と続きます。

また、この方法は格下のチームが格上のチームにとる戦略でもあります。組織で守り、判断力や予測力のレベル差を埋める戦い方に持ち込むことで、我慢比べの精神力対決になるのです。

2の方法は頻繁にポジションチェンジするバルサ攻撃陣をマンツーマンでマークしてどこまでも追いかけるという方法です。これをやってるチームは見たことないんですけど。

有効かというと、そうでもない気がします。なぜなら、攻守の切り替えが難しくなるからです。攻撃から守備に転じたときにすぐに自分のマーカーを見つけるのは難しいことですし、守備から攻撃に転じる際も、確実にバルサより切り替えが遅くなります。

また、全員がしっかりマークについていたとしても、お互いのカバーリングが手薄になるので、1対1でドリブルで仕掛けられたら、なし崩し的に守備の網がほつれていくでしょう。

ここまで、デメリットをあげてみましたが、この方法でバルサに挑むチームを一度見てみたい願望にもかられます。

では最後に3の方法です。このやり方は実はパラグアイ代表が2010南アW杯のベスト4を争う戦いで、スペイン代表相手に実践したやり方です。

ビルドアップの始まりであるピケ、プジョール、ブスケツ、アロンソに対してパラグアイの2トップとセントラルMF2人が高い位置を取って4人でプレッシャーをかけます。↓



このときサイドハーフは中に絞ってイニエスタ、シャビへマークに行きます。するとサイドバックの選手ががら空きになります。↓



サイドバックにパスを出させます。この瞬間にスライドをしてワンサイドカットしながらパスコースを限定します。サイドバックからは有効なパスが出てきません↓



サイドバックがボールを持つと、味方のセントラルMFはどうしてもボールを受けに寄ってしまいます。ボールに寄ると守備側としてはマークに付きやすいんですね。ボールとマーク対象が同じ視野に入るし、ボール際の攻防のカバーリングもできます。そうすると、守備側に有利な状況が生まれてきます。

このようにして、パラグアイはスペイン相手にいい試合を展開しました。個人的にはあの試合はパラグアイの勝ち試合だったと思います。先に奪ったPKやスペインの素晴らしいゴールの直前のサンタクルスへのスルーパスなど、パラグアイの得点チャンスは非常に濃密で頻度も多かったと記憶しています。

ただし、このやり方にも弱点があります。プレスをかける位置を高く設定していることです。一度プレスをかわされてしまうと、バイタルエリアを自由に使われてしまいます。そうなったら最後、華々しく散るしかないのです。ちょうどスペインがパラグアイから奪ったゴールのように、流れるようなパスワークで自陣を切り裂かれてしまいます。

勝負の分け目になる要素が、運任せではなく、自分たちの体力と組織的守備を頼りに戦えることが、この戦術のいいところです。

次は→つなぎ論 番外 モウリーニョ・マドリー

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