まずは動画を。5:27からです。
では写真で少し詳しく見てみましょう。
ルーズボールの争いからイニエスタへパスが送られます。この時イニエスタに対するDFは画像左端に見切れていますが、ルーズボール後ということで、激しく猛追をかけてきます。たぶんコロッチーニかな?
それを見たイニエスタはバックステップを開始します。左を見たらわかるように、ニュートラル姿勢から素早く加速に移行するには一度重心を落として低姿勢を作るとよいです。
ポイントはパスが放たれてから後ろにズレることです。パスの強さと敵のアプローチの速さを計算に入れないと、インターセプトされる危険性が生まれるからです。
後ろにズレたことで、受け場がズレます。それによってDFはアプローチの軌道を修正しなくてはいけません。また、後ろズレから回転を使ってターンするトラップは割とメジャーなので、コロッチーニはアプローチの軌道修正を実際のイニエスタの移動より長めに考えなくてはなりませんでした。
一旦沈み込んでから4歩後退したイニエスタは、そのままボールを体の正面に弾きます。するとコロッチーニが想定した受け場からさらにズラしてイニエスタは止め場を設定出来ました。コロッチーニはターンを想定してアプローチを軌道修正し、そのために減速したため、重心が後ろに残っています。その結果、下で見るように、イニエスタとの距離を十分に狭められず、プレッシャーをかけることが出来ませんでした。
この間にイニエスタが体の向きを相手ゴールに向けたことの効果は誤差として解説には含めません。
ファーストタッチの瞬間。コロッチーニとイニエスタの体の向きが完全に入れ違っています。
こうしてファーストディフェンダーと距離を取ることに成功したイニエスタはニュートラル姿勢で2タッチ目にボールを踏んで足元に収め、第二のDFに見合いをかけて落ち着いて展開しています。
このようにパスが放たれてからバックステップで止め場をズラすテクニックは、小さな動作によってDFを欺くことができ、ポケットで受けたり、後方にオープンスペースがある時に向いています。成功の鍵はバックステップを踏むだけのスペースが後方に有るかどうかと、パスの速さと相手のアプローチの速さの見極めです。
ターンすべきか同サイドへ戻るべきかの判断は、周囲の状況によって変わってきます。最終的にはどの方向へプレーすべきかという問に集約されます。例えば上の例では、イニエスタはターンしてもボールを失わずに済んだと思いますが、その場合タッチラインに挟まれる格好となり、孤立する可能性があったので中央を向くことを優先したのだと思います。
なんにせよ、トラップの前にプレーイメージを明確に持つこと、そしてより深く読み先手を打つことが重要です。
はじめて拝見しましたがサッカーの一つ一つのプレー、技術を切り出して、理論的に正しく最適なプレーは何かを知りたいと思っていましたので、すごくうれしいです。今後も拝見させていただきます。
返信削除いきなり質問すいません。
返信削除イニエスタ選手のドリブルの特徴とはなんでしょうか?