→中学サッカー部員におけるゲーム中の判断力とそのトレーニング効果について
~JFAアカデミー福島の攻撃トレーニングの取り組みをモデルとして~
長いんですがよく出来た論文です。要旨は
- 中学サッカー部員を3つのグループに分ける
- それぞれに別々のトレーニングを課す
- 半年後にその効果をテストする
突っ込みどころとしては、
- グループの選別に恣意性はなかったのか
- 練習と指導者の質の差で選手間にモチベーションの高低差は生まれなかったのか
- 実技テストの手法はそれでよかったのか
- 筆記テストの内容はそんなんでいいのか
- 最後に3つのグループで練習試合をしたらよかったのに
判断力を測るために実技テストを考案されていたようで、それに感心しました。が、実際の試合ではファーストタッチでボールを動かさなければならないシーンはそれほど多くないことを考えれば、この手法を取ったことに疑念が残ります。
これはJFA指導部の指針でもあるわけで、それに倣っていることを考えれば妥当ではありますが、しかしこれでは「JFA指導部が思い描くような選手を育成することは、JFAの提示したトレーニングによって可能か」という意味合いの実験になり、すなわち結論は実証するまでもなく自明なわけです。
JFAの言うことが間違いだと言いたいのではありません。JFAを信じ切ることは危険だと言いたいのです。なぜなら、JFAはかれこれ15年以上かけて育成指針の普及をしているにもかかわらず、未だ日本はサッカー中堅国止まりだからです。JFAが本当に世界に通用する選手を作り出せるのならば、日本はとっくにサッカー強豪国入りを果たしています。ですから、JFAの言うことの3割くらいは聞き流し、残りは自分でサッカーの研究をする方が良いのです。もちろんここのブログに対しても同じような態度が必要です。他者を信じきって自我を捨ててしまってはいけません。
と最近テクニカルアナリシスをひた隠しにするJFAに軽口を叩いといて、個人的にこの論文を見つけられたことは非常に有意義なことでした。最近の指導者はどのようにJFAに指示されているのかという点と、最近のJFA育成部が取り組んでいる練習メニューについて知ることが出来たからです。
強化部の指針もだいぶ洗練されてきて良い感じです。また、この論文のように、トレーニング効果を実証される方が現れてくるのも日本サッカーのためには良い兆候です。
僕は中学でサッカー部に入っているのですが、この年代は「判断力」を鍛えるべきだと思います。判断力を鍛えるトレーニングはどんなのがあるのでしょうか?(できれば1人で出来るトレーニングがいいです。
返信削除ポゼッションゲーム、パスワークドリルなどです。サッカークリニックなどを読めばわかると思います。残念ながら一人で出来るトレーニングでは判断力を磨けません。むしろ一人でのトレーニングはなるべく避けたほうが良いでしょう。
削除正確な判断というのは、経験からくるものと思います。
返信削除なにを持って正確な判断かということは難しい点ですが、要するに試合で発揮できる判断を正確な判断と位置づけしておきます。
その経験というのは、タスク練習〔部分分け練習〕を基点とするより、まずはゲーム理解を計らせることが必要ではないかと思います。
正確な判断というのは、ポゼッショんゲーム、パスワークドリルをしたから身につくというものではなく、本番〔試合ゲーム〕での、複雑な動き、もしくは不規則な動き〔同じ動きというものはない〕に対応することが、正確な判断につながると思います。その試合に対応することができれば、判断する余裕は生まれてくるのではないでしょうか。
判断力を鍛える練習は一人でもできると思います。何が大切かというと、とにかく試合を行った時の経験からくるイメージを、各個人〔練習者〕が大切にすることで、判断力というのは身につくのではないでしょうか。
判断力は経験です。その経験を各練習で延長させるのです。つまり、各個人の意識の度合いにより、経験を活かす力の強弱が存在し、意識が高ければ一人練習でも判断力は挙げることができます。
指導者にできることは、実践から得た経験を、普段から意識させることです。
長々とすみません。細かい練習方法を挙げれなくて申し訳ございません。私は考え方が基本と考えており、練習メニューが一番重要とは考えてませんので、このような漠然としたことしか言うことができません。
こんな意見でもお力になれば嬉しく思います。
確かに個々人が試合での経験から得たプレー感覚(成功体験、失敗体験共に)を意識して練習に取り組めば、それらを助長させることで上達を図れると思います。しかし、これができるのは本当に意識の高い選手だけで、多くてもチームに2,3人というのが現状ではないでしょうか。だからこそ、練習メニューが一番大事で、指導者は練習の状況設定を細かく決め、言葉による意識付けを行うことで、選手の意識を変えていくことができます。つまり、全体練習によってのみ全体の意識を変えることが出来、一人での練習で上達を見込めるのはプロフェッショナル意識を持った、本田や長友のような選手だけだと思うのです。特に多くのユース年代の選手は何が正しいプレーで何が無駄なプレーなのかという判断がつかないことが多いので、指導者の助けが必要なのです。練習でできることしか試合では発揮できませんし、その逆はありえません。練習を試合と近似した状況に設定することが指導者の仕事であり、ポゼッション、パスワークドリルによって選手にサッカー思考方法を植え付けるのが指導者の仕事です。よって考え方を鍛えなければならないのは指導者の方です。選手は勝つことだけを考えていればよく、サッカー観は言語化できなくとも体で表現できれば良いのです。プロサッカー選手がみんなアタマが悪いことからもそれがうかがい知れます笑
削除最近、中国で指揮する岡田監督を特集した番組がありました。
返信削除その中で、意図や答えを与えずに"気づき"を与えて自発的に発見、発想、理解させるメニューを絶えず試行錯誤を続けているといったコメントがありました。
効率よく必要な経験を練習によって作り出すといったところでしょうか。
漠然とした経験というのは、それ自体が各々のサッカーセンスに依存すると思うので、
やはり練習メニューの狙いや質は有限な時間の中で重要と感じています。
与えるだけでは指揮官の器を越えない。自分で考えさせることではじめて指揮官の力を超えたチームができる。
そんな信念をもって指導されているそうです。
成功に導ける指導者が増え、また、良い指導者を作り出す仕組みができれば未来は明るくなるでしょうか。
日本サッカー界はこれまでも地道に成長を重ねてきましたが、いつか更なる全体の底上げが成されることに期待したいです。
それには同感です。指導者の教えをすべてこなせるようになっても、それでは指導者よりうまくなることはできないと思います。サッカーは日々進化しますし、例えば10歳の子供に最新の技術戦術を叩きこんでも、その子が20歳になったときにはそれらがもう10年遅れになってしまいます。やはり自分で考えることができなければ一流の選手にはなれません。
削除とはいっても、ある程度までは詰め込みで教えることも必要かと思います。というのもサッカー選手として大成するには少なくとも150〜200の動きをマスターしなければならないからです。これらの「サッカー選手になるためのタスク」をいつかまとめてみたいと思います。