まぁここまで読んで内容が分かってしまう人もいらっしゃると思いますが、次に繋がる記事なので。あまり深くはないけど目を通していただけるとありがたいです。
アジアカップでの香川、長友の高低の重心コントロールを見て、私が次に着目したのはドリブルの姿勢でした。つまり、上半身の前傾と後傾です。
ドリブル時の姿勢を考えたとき、まっ先に思ったのが、
攻撃的選手ほど前傾姿勢をとりやすく、守備的選手ほど後傾姿勢をとりやすい
ということです。
※ここでは対比のために「後傾」という言葉を使っていますが、実際には「直立」もしくは「後ろ重心」がニュアンス的に近いと思います。
前傾姿勢の方が速くドリブルできそうだってことはなんとなくわかると思います。ただし、視野は狭くなりそうですね。
後傾姿勢の場合、スピードは遅くなりそうですが横や後ろへもスムーズに移動できそうです。周囲360°への移動を睨んだ姿勢ですね。また、視野も広くなりそうです。
ちなみに(言うのも野暮ですが一応言うと)メッシは前傾ドリブラーです。
では例を一組↓ともに仕掛けの場面でアウトサイドで切り返す瞬間の写真です。
元鹿島のFWマルキーニョス選手です。
完全に前傾で、しかも猫背です。顔が下を向いています。
良い姿勢には見えませんが、この後マルキは驚異的な爆発力を発揮して正対したDFをかわしシュートに結びつけます。
FWを中心に攻撃的MFやウィングの選手にはマルキのような前傾ドリブルをする人が多いように感じます。
かわって、FC東京の左SB、中村北斗選手です。
上体が直立し、よくみると若干後ろに反り返っているようにも見えます。顔が上がっています。
後傾ドリブラーの典型的な姿勢です。
彼のようなSBまたはボランチ、CBなどの選手が、時折仕掛けのドリブルを見せると、後ろ重心で上体が直立していることが多いように感じます。
上の写真は右の記事中の動画から持ってきました。ドリブル方法論4 助走を活かす身体操作
件の記事を読めばわかるんですが、仕掛けのドリブルとして正しいフォームなのはマルキーニョス選手で、中村選手のように上体が直立している場合は改善する必要があります。後傾ドリブルでは内脚荷重が難しいからです。
かく言う私も後傾ドリブラーの一人でありまして、中村選手のドリブルの悩みもすごく分かっているつもりです。 それは私が守備的な選手だったからで、だからこそ、前傾ドリブルの仕組みを考えたくなったのです。
なぜポジションによってドリブルの姿勢が変わってしまうのでしょうか?その答えは非常にシンプルです。1対1において攻撃と守備のどちらを多く経験したかに依ってドリブルの姿勢は変わってくるのです。
1対1の攻撃、つまりドリブルで仕掛ける経験が多い選手ほど、前進スピードを高めようとするので自然に前傾姿勢になっていきます。
1対1の守備、つまり仕掛けのドリブルを止めたり遅らせたりする経験が多い選手ほど、後退スピードを高めようとします。
守備的な選手は、バックステップを使ってディレイしたり、後ろに重心を残しながらボールを突付くディフェンススキルを身に付けたり、アプローチの瞬間に後ろへダッシュできる姿勢を作ったりしなければなりません。当然、重心は後ろに残すほうが良いプレーが出来ます。このように守備的選手は無意識のうちに後ろに重心をとってしまい、ドリブルの最中も上体が直立してしまうことになるのでしょう。
一方、攻撃的選手の前傾ドリブルのメリットは何か?なぜ後傾ドリブルが仕掛けに向かないのか?これらが次の記事の内容になりまして、メッシの身体操作シリーズのメインディッシュになる予定です。
次→メッシの身体操作5 上半身のバネ
最近発見して見させて頂いている者です。
返信削除ドリブラーでもクリロナは前傾タイプではないと思っているのですがどうでしょうか?
特にシザースの時は車を運転しているかのような感じで
後ろに重心がのっているなと思っていまして、
違和感を感じて見ていました。
そのあたり、どう見ているか宜しければ教えて下さい。
コメントありがとうございます。
返信削除クリロナのように連続してシザーズを行う場合は重心を後に残したほうが素早く足を振れます。股関節の外旋より膝の伸展を使ったほうが速いのです。
このとき足が外側へ振り出されるため重心を後に残しておかないと上体がぶれてしまいボディバランスを崩してしまいます。このためおっしゃるとおりクリロナは上体直立のイメージが強いのです。
しかし、アウトサイドでボールを押し出して加速する際には前傾する必要があります。クリロナも例外ではなく、スローで見ていただければ、加速の時には猫背になり上体がやや前傾しているのを確認できるかと思います。
シザーズに関しては今後まとめて書くつもりですが、いつになるかわからないので笑、質問がございましたらいつでもコメントをお待ちしております。
今後もよろしくお願いします。