footballhack: マクロつなぎ論8 フィボナッチ数列

2010年9月25日

マクロつなぎ論8 フィボナッチ数列

つなぎとは味方に預けのパスを出すことです。その目的は、ゾーンを上げてなるべく相手ゴール近くまでボールを運び、最終的には味方に前向きかつフリーでボールを持ってもらい、そこから崩しのパスを狙うことにあります。

このこととフィボナッチ数列がどう関係あるかと聞かれれば、「??」という感じになりますよね。というかまず、フィボナッチ数列って何だって話ですよね。

フィボナッチ数列とは、数列の一種で、次の項は直前の項とそのひとつ前の項の和で求められる数列のことです。式にすると↓

F(n)=F(n-1)+F(n-2)
参考:Wikipedia フィボナッチ数

式なんてどうでもいいんです。大事なのはこの数列の織り成すイメージです。この式から導き出される数字を並べると、

0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144, 233, 377, 610, 987, …となります。

「へっ?!」って感じでしょうが、結論から言うと

崩しのパスを狙うために必要な預けのパスの本数は、時間の経過とともに増える

傾向があるということなのです。この傾向がとてもフィボナッチ数列的だということを敢えて言うことで、この傾向をより強く意識して欲しいのです。

つまり、攻撃を遅らせるほど次のチャンスを創出するまでに手間をかけねばならず、時間をかければかけるほど崩しのパスを入れるために多くの預けのパスが必要になるということを言いたいのです。

例えば、サッカーではボールを奪った瞬間が最大の好機を生むと言われています。このときに崩しのパスを入れ損ねた場合、一度味方にボールを預けるかドリブルを入れると再び崩しのパスを入れるタイミングがやってきます。これでも崩せない場合は、横に広く展開するようにパスを数本つなぐかクサビのパスから落しを貰うなど、相手の守備陣形を収束あるいは拡散させるようにして崩すタイミングを図ります。このように崩しのタイミングが訪れる時間は、つなげばつなぐほどその間隔を伸ばしてやってくるのです。

逆に言うと、速い攻めほど決定機を生む効率がよくなるということになります。このようにとると、ダイレクトプレーの重要性を支持する仮説のように聞こえます。しかし、この仮説はより重要な事象の理解を僕らに提示してくれます。

それは、やり直しの重要性です。

つまり、初めのタイミングでダイレクトプレーが不可能だった場合、直後のタイミングで再度崩しのパスを狙うと大抵守備網に引っかかってしまう。なので、もう一巡パスを回して落ち着いてやり直してから次の崩しのパスを狙わなければならないということです。

この法則に則らない攻撃を見ればそれは明らかです。特に日本のサッカーでは崩しのパスを入れるタイミングが

0,1,1,1,1,1・・・

のようになっていることがあります。常に崩しのパスを狙うためボールロストが頻発し、攻守の交替が多くおこるゲームがJリーグを中心によく見られます。

この意識がないチームは崩しのパスを入れる機会を間違い、その結果ゲームを支配できないことになるのです。

補足:この話を初めて聞いたのは自分が高校三年生のころでした。当時のサッカー部の顧問の先生が「素数のサッカー」ということを言い始めたのです。この言葉は初めは理解できませんでしたが、一晩おいて考えたら、この言葉が見事にパスサッカーを表現した言葉であることに気が付きました。ただし、自分的には素数よりフィボナッチ数列のほうがつなぎのイメージが近いと感じたので(素数には0と1が含まれませんので)、こういった記事になりました。

次→マクロつなぎ論9 フィボナッチ数列と守備意識




2 件のコメント:

  1. コメントさせてもらいます。

    速いせめほど効果的なのは相手の守備陣系が整っていない、または崩しやすいということで、フィボナッチ数列とは特に関係はないと思います。

    純粋に科学・数学、統計学を研究してると、他人の分からない難しい言葉・表現・式で相手を煙に撒く、本質とは関係のないことを好き勝手に論じてる発表・論文が多いですが、それは物事の本質を見誤らさせる原因で、そういった表現は慎むべきだと思います。

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    1. 速い攻めより時には遅い攻めのほうが相手ゴールに近づく可能性を高めることが出来るのは、一定レベル以上でコレクティブなサッカーを経験したことがある人にとって皮膚感覚で実感できる常識です。それを言語化するとフィボナッチ数列になるのであって理論をこねくり回したいからフィボナッチ数列を出したわけではありません。

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