ここまで、メッシがステップワークのリズムを変えることで、DFからすると不測のタイミングでドリブル突破を仕掛けていたということを説明してきました。
実際に、このリズムを出すにはステップワークをコントロールすることが不可欠です。
messiが出場した試合を録画して、スローモーションで見てみてください。録画してない場合はこちらのビデオを参照してください↓
0:00で一時停止すると、右足が地についてます。数秒送ると、次に地面につく足は左足ですがほとんど地面を蹴っていません。そして右足で大きな負荷をかけスピードを殺して、鋭く左足でボールの勢いを止めています。すかさずダブルタッチで縦に突破を図っています。
ここで整理すると、メッシは右足でケンケンのような格好でスピードの変化をつけてから、左足の2タッチで突破を図っています。僕はこれを見たとき、右足の使い方がメッシのドリブルを理解するのに重要なのではないかと考えました。
他の試合のプレーをスロー解析しても、メッシは意図的に右足を2度連続して地面につくようなステップワークが多く見られたのです。
これは通常のランニングのリズムでは生まれ得ない体術だといえます。普通は右左右左と各足が地面を突っ張って体を支えてますから。
メッシのステップワークを可能にするには、あるタイミングで突っ張る力を抜いて、つまずいたような格好で軸足(メッシなら右足)を二回つく必要があります。
もう一度先ほどのビデオの0:00に戻ってください。これより前の映像がないのでなんともいえないのですが、この瞬間メッシの体はあたかも宙に浮いたようになっています。右足はわずかにつま先が地についてるのみで、右足で地面を強く踏み込んでいるようには見えません。
推測ですが、このとき右足は地面を踏むのではなく、地面を払うあるいは掃くようにしてすばやく右足自体を前に振り出し、それによって得たリーチを活かして急激に体にプレーキをかけているのだと思います。その証拠に次に右足をついたときには、その位置は体よりも大きく前方に投げ出され、下半身が後傾しています。(0:03)
また、0:00の右足のあと、わずかに左足が地に着いていますが、この間隔は他のステップと比べて半分以下の短さになっています。試しにはじめからメッシのステップワークを数えてみてください。右左右左と。ここがリズムの変化です。
そして軸足の踏み込みと刈り込むようなボールタッチで急激にプレーキをかけています。実際にやるとわかるんですが、一定の速度以上で走りながら急に横移動するには、軸足の踏ん張りだけでは足りないのです。足一本に負荷がすべてかかってしまい膝を悪くするか腰を痛めてしまうことになります。アウトサイドでの切り返しに使った利き足を主に使用して体重移動することで、縦方向の力を横に逃がすことができるようになります。
そしてメッシはアウトインのダブルタッチの2タッチ目、インサイドでタッチした直後の左足を踏ん張って前へと加速しています。
アウトサイドでの切り返しの角度は必要最低限になっており、むしろボールはわずかに前へ転がっていて、メッシの進路を先読みしたDF14番が僅かに左に動いてできたスペースに侵入しています。このときDF14番には、メッシのブレーキをかけるときに右足を大きく投げ出す動作が、縦へ突破しようとする動作に見えていたはずです。マシューズフェイントといわれる動作ですね。
後ろから来たDFはメッシの左足アウトサイドで切り返したボールを奪おうとして、アプローチのスピードを緩めました。その瞬間メッシは左足インサイドでダブルタッチを決め、前へ進んだので、DFの対応を遅らせることができました。
本当に理想的なドリブル突破です。無駄な動きがなく、相手の力を利用した進路のとり方。またボールに細かく触ることで、DFに次の動きを読まれにくくする。リアル版ファントムドリブルですね。
次は→メッシのドリブル 実際にやってみる
こんにちは。
返信削除最近このブログを発見しまして、とても面白く拝見させていただいています。
僕は元テニス部でド素人なのですが、友達が元サッカー部ということで、サッカーを付き合わされてやっています。(スポーツ全般が好きなので無理やりではありませんが)
同様にバスケットもやっていて、メッシと同じような足の運びをしていて面白いなあと感じたのでコメントしました。
動画ですと
http://www.youtube.com/watch?v=xCno1K7wmXY&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=xmXoUwM2YJg
です。
一旦身体を上げて沈み込むと簡単に出来るらしいですが、メッシは腰の位置がほとんど変わってないのが凄いですね。
コメントどうも。件の動画ではフェイク直前の細かいステップ動作がメッシとよく似ています。異なる点は内足への重心移動です。動画のデモンストレーターはフェイク後、外足で踏ん張り、その力で逆方向へ抜けていますね。メッシの場合、外足の踏ん張りに加えて内足の外側に加重しながら体を左前へ倒すようにかわしていきます。これが出来るようになれば、フェイク動作全体がより大きく、より速く出来るようになります。詳しくはメッシの身体操作シリーズを御覧ください。
返信削除