footballhack: サッカーの、浮き球トラップ、上手い下手

2013年8月21日

サッカーの、浮き球トラップ、上手い下手

浮き球トラップの上手い下手

サッカーの浮き球トラップの基本は接触部位を脱力してボールの芯を捉えることです(蹴球計画)。それさえできれば普通にだれでもボールを止めることができます。体が硬くても背が低くても多少体の可動域に制限があってもだれでもできます。

一番難しいのがボールの軌道を予測することです。これはもともとの運動神経がモノを言うのでノウハウでは説明できない部分ではあります。軌道を予測する練習には、誰かに投げてもらうか、自分で投げるしかありません。だから、リフティングが効果的だと言われるんですね。トラップがうまくいかないとかリフティングが続かないとかいってくよくよ悩んでいる間に、黙々と練習したほうがいいですよ。どうやったらリフティングが続くようになりますかとか、そういう質問は受け付けてませんから。気合ですと答えるしかありません。

それでリフティングがある程度上手にできるようになったら(最低でも300〜500回)もはやリフティングは練習としては不十分になってきてしまうんです。なぜなら、サッカーでは状況判断とかフィジカルコンタクトとかプレースピードが大事であって、その場にとどまってノープレッシャーでボールを突き上げ続けるなんてプレーは必要ないからです。

ですから、上達したら次のステップへ移行すべきです。例えば、接触部位を指定したり、動く範囲を指定したり、敵をつけたり、動作そのものを指定したり、違うプレーと組み合わせたりします。その例題の一つに足上げリフティングがあります。実践で使える動作をノープレッシャーで安定して行えるように訓練するセッションです。小学4年くらいから徐々に導入しましょう。

それで今回は浮き球の処理が上手い人と下手い人の差はなんなのかというテーマでお送りしたいと思います。


まず下の動画を見てください。



普通の胸トラップの基礎練です。これを繰り返してばかりいると下手になります。

次に上手い人の基礎練です。



撮影技術の差は差し引いて考えてください笑。

ここで示した差は一体何なのでしょうか?




  浮き球トラップの2タッチ目

浮き球の処理に関しては2タッチ目をどの高さで止めるかが非常に大事です。

浮き球の処理上手いと下手 001

動画のように単純比較で同じ胸トラップをしたとします。次に地面近くでウェッジコントロールをするか、それとも空中の高い位置でタッチしてボールを動かしていくかでは雲泥の差があります。浮き球の処理ではボールにタッチする高さを変えるだけで大きなフェイントになるのです。





ここに見る例のようにトッププレーヤー達はより高い位置でボールにタッチすることで相手より優位に立っています。

なんでこうなるのか、説明は簡単にできます。

浮き球の処理上手いと下手 007

ボールは滞空中では放物線を描きます。この時、頂点近くなるほど速度が低下して攻撃手にとって扱いやすくなります。反対に落下して接地直前になると、守備者にとって狙いやすくなります。なぜなら、人間の目は落下する物体を視認しやすく出来ており、上昇する物体は目で捉えにくいからです。したがってDFは常に接地タイミングでアタックを試みようとします。そこで攻撃手はボールが完全に落下する前にタッチして動かしていけば、DFの狙いを外せるというわけです。

「ボールを弾ませるな」というのは単に浮き球の処理に時間をかけるなということではなく、何度も守備者にアタックのチャンスを与えるなということです。逆にしっかりとDFとの間に体を入れてボールを守れていれば、何度弾ませても構いません。むしろそうすることでDFを惹き付け、次の機会に高い位置でタッチしてDFを出し抜くことも可能です。全ては浮き球の処理の駆け引きを体得しているかどうかにかかっています。



  浮き球処理のファーストタッチ

んじゃあファーストタッチはどうなのと、次はこうきますよね。下に見せる画像を見れば、上手い人と下手いひとの差が一発でわかります!!では、どんっ↓

浮き球の処理上手いと下手 002

もう説明いらないですね。広いほうがいいに決まってるじゃないですか。捕球ポイントが狭い場合、ボールの落下点に合わせてステップを合わせたりポジションを前後したりする必要があります。下手な人がどたどたしている理由です。

加えて、上手い人のやり方はボディバランスを保つ上でも有利です。

浮き球の処理上手いと下手 003

前にすねコン、膝頭プッシュの回にお話したとおり、足を上げるトラップは走行中にやるとスピードを落としてしまいます。足を下げるのに時間がかかるからです。

浮き球の処理上手いと下手 004

その点、ニュートラルで腹トラ、すねコンなどを利用したトラップは走行スピードを落としません。加えて、左右からの外圧にも強く、同時に手押しなどコンタクト技も使えます。


<背負った状態で浮き球を受けて、コエントランタックルを受ける場合> 浮き球の処理上手いと下手 005 浮き球の処理上手いと下手 006

ニュートラル姿勢を維持できるので、DFにとって予測不可能、意外性のあるプレーにつながる点も上手いところです。

サッカーをよく観戦しているひと(中村俊輔を好きな人)ほど、浮き球は足で止めるのが良い選手だ、という盲信に駆られています。一度、偏見を捨て去ってニュートラルな視点でサッカーを分析し直すきっかけになってくれれば良いと思います。




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