footballhack: 考えて走る4 サイドステップと後ろ走り

2010年8月26日

考えて走る4 サイドステップと後ろ走り

スペイン代表の試合を見ていると、ありえないシーンが連発します。たとえば、FWがノーマークでくさびをうけたり、中盤の選手がどフリーでバイタルエリアに侵入してパスを受けたり。レベルが高い試合なのに、スペインがボールをポゼッションすると、敵チームはまるでプレッシャーをかけれずにゆったりとボール回しをさせてしまいます。

これはなぜか考えながらよく試合を観察しました。すると、スペインの中盤の選手たちは頻繁にポジションチェンジを繰り返して、巧みにマーカーを振り切り、フリーでボールを受けているではありませんか。

しかも決してダッシュしたり、細かくチェックの動きを入れたりするのではなく、ゆったりとウォーミングアップでもしてるような速度で動きながらボールを受けているのです。

さらによく見ると、スペイン代表の中盤3選手、シャビ、イニエスタ、アロンソはサイドステップと後ろ走りを多用しています。



この動きは日本人のFWならだれでも知っているプルアウェイの動きと全く同じです。なんとスペイン人はボールを受けるために、ボールに寄らずに敢えてボールから遠ざかっていくんですね。パスを引き出すとはまさにこのことです。

パスを受けるときに、ボールに寄らずサイドステップなどで遠ざかることの利点は

1 ピッチを広く使える

2 敵の動きと反対になるのでフリーになれる

3 体力を消耗しない

4 視野が広がる

というのがあります。

3の体力の件については、ドイツのように縦へのランニングが多いと、インターバルで負荷がかかり、ゲーム終盤で体力切れを起こす心配がでてきます。シャビのように運動力は多くとも一定の速度で移動していれば、体への負担も少ないでしょう。

また、ほとんどのすべての選手がアウトオブプレーのときに後ろ走りではなくて、後ろ向きスキップをしています。やってみるとわかるんですが、このほうが足への負担が少なく感じられます。サイドステップを多用するほうが、通常の走り方をするよりも体力をセーブできるのかもしれません。
※追記→スキップがランニングより楽な理由

4については、実際にやるとわかるんですが、サイドステップは前に進まないので逐一横や後ろを見ていないと、だれかにぶつかってしまう気がして怖いんです。なので、とても積極的に首が振れます。

また体の向きもよくなるのでボールを受けたときにすぐに前を向けます。

フットサルやミニゲームのときにくさびを受けるポジションを任されたら試してみてください。フットサルならちょうど相手4人の間に立って、誰からも遠すぎず近すぎず均等な距離を保つようにすると練習になります。

コツとしては、ボールや味方の動きに合わせてサポートの動きをするのではなくて、敵を見てサポートの動きをすることです。厳密にいうと、敵とボールと味方のすべてを見る必要があります。誰にも自分をマークさせないように、中間的ポジションをとります。

はじめはサポートに行くスピードが遅くなることが気になるかもしれないですが、そこには目を瞑って、サイドステップと後ろ走りにこだわってボールを引き出してみてください。すると今までとは全く違った感覚でサッカーを楽しめます。

サイドステップと後ろ走りなんて小学生でも習います。サッカー経験者ならだれもが行う、あの有名なブラジル体操のなかにサッカーに本当に必要なエッセンスが入っていたんですね。

次→考えて走る5 サイドの使い方

関連記事→ポジショニングという技

4 件のコメント:

  1. このブログの大ファンです。
    上の記事の通り、ボールを引き出すとき(自分よりボールが後ろにあるとき)に、バックステップで受けるというのがあります。でも、バックステップよりサイドステップで受けた方がいいと私は思います。なぜなら、そのほうが半身でボールを受けることができます。半身で受けるということは、ゴールをより意識できますし、バックステップでターンする場合180度ターンしないといけないところを、サイドステップでターンする場合90度のターンですみます。ターンする角度が小さくなるほど、前を向いて次のプレーに移るのがはやくなります。

    もし私の言っていることが間違っているのであれば、どういう所が間違っているのか教えて頂ければ嬉しいです。

    長くなってすいません。

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  2. @ネイマールさん 厳密に言えばあなたのおっしゃるように半身で構えるほうが色々と有利な点がありますが、トッププロの動きを見ると、みなそこまで厳格にやっていません。むしろ自然に動くことを優先してバックステップや後ろ走りを多用してます。

    ターンの際も半身だろうがなかろうが、速さには余り関係がないと思います。体を90°回転させるのにかかる時間はせいぜい0.2秒ほどだからです。

    パスを受ける際は、しっかりと周りが見えていれば、体がボールの方向を向いていても構わないのです。視野の確保より移動のしやすさとニュートラル姿勢の保持が良いプレーにつながり、そこからいなすトラップなど相手の逆を取る動きにつながります。

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  3. @ネイマールさん 追記ですが、ボールホルダーに体の正面を見せてパスを待つことは、ボールホルダーに対してパスの出しどころを明確に見せる意味があります。右足か左足かということですね。また、パスのズレに対して素早く反応することも出来ます。

    半身で構える場合はこれができないため、バックステップや後ろ走りを使う理由はこのように説明することができます。

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  4. ご返信どうもありがとうございます。確かにサイドステップは視野の確保やボールを受ける体勢が悪くなりますね。

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