footballhack: 考えて走る6 日本人の走り方 寄るな寄るな

2010年8月27日

考えて走る6 日本人の走り方 寄るな寄るな

今回は日本人の走り方の特徴とその効果を考えていきます。

まずは日本人の走り方の特徴を整理します。ここではボールを保持している時のみ考えます。

1 サイドの選手はボールを受ける前に、外側に広がる

2 中央の選手はボールを受ける前に、ボールサイドに寄っていく

3 走るのが速い

4 チェックの動きが好き

5 パスを出した後、縦に走るコースがなければ、止まってしまう

6 FWの選手は斜め外に流れ出たり、プルアウェイをして外に広がっていく

7 前方のボールホルダーを追い越すときに、その味方の外側を通る(オーバーラップ)

まず1です。これは素晴らしい動きです。1998年から今に続くトレセン制度の効果ですね。元日本代表監督トルシェの貢献で広まった「ウェーブの動き」そのものです。

そして2です。これはダメです。重症です。日本サッカー界に巣食う病魔です。なぜこの「寄る動き」が発生するかというと、

・サイドを起点にしたつなぎを狙っているから

・育成に携わる指導者が、ボールを受けるときはボールに寄って、DFよりも先にボールに触りなさいと教えるから

です。確かに指導者の言うことは正しいんです。だけど、この状況ではルーズボールを奪い合っているんじゃないんです。味方がボールを持った時を考えているんです。パスのタイミングが読まれなければ、必ずパスは受け手に通ります。弱いパスじゃない限り。

日本で見られるサッカーの試合をスタンドから観戦するとほぼ全員がボールの方向に身体を向けて、ずるずるとボールに寄っていることがあります。サイドチェンジをして、ボールサイドが変わっても、みんなボール方向に寄って行き、時にはフィールドプレーヤー20人がピッチの6分の1程度のエリアに集まっていることがあります。



守備側にとってはとても助かります。なぜならゾーンディフェンスのやり方にかなっているからです。相手が自らゾーンの網にかかるようなポジショニングをしてくれれば、走る距離を少なくしてボールを奪うことができます。

ボールに寄るようにサポートすると、敵に簡単に自分をマークさせてしまいます。終いにはフィールドプレーヤーのほとんどがそのようにマークにあってしまいます。これがボールの動きを停滞させる要因になります。

この状況を打開しようとして、マークを外すために大胆に長い距離を走る選手が出てきます。すると、3の状況が生まれます。特に中盤の選手が縦にものすごいスピードで駆け上がり、後方からパスを引き出そうとします。

よく指導者がよく言う言葉です。「動きが止まってるぞ。動いてパスコースを作れ。中盤の選手はもっと積極的に飛び出して裏でボールを貰え。」

さて、これを繰り返すとどうなるでしょう。何回かは、チャンスを生み出せるでしょう。何回かは中盤の選手にボールが渡る前にボールを奪われ、逆襲を喰らうでしょう。そして間違いなく言えるのは、後半には選手の体力が尽き、ボールの動きだけでなく、ゲーム全体が停滞するでしょう。

まるで2006年ドイツW杯日本代表対オーストラリア戦のようですね。

これをなくすにはどうすりゃいいのか。ひとつの解決策はバルセロナが示してくれています。こちら→サイドステップと後ろ走りでボールから離れながらパスを引き出す方法


中盤とFWの選手がこの動きを取り入れ、ピッチを広く使うように心がければ、日本のサッカーのスタイルがだいぶ変わってくるはずです。

さて、4のチェックの動きに話を移します。日本人はほんとにこれが好きで、場合によっては3回4回とチェックを入れてマーカーを振り切ろうとします。これはフェイントや足技に凝るのと同じなんです。

日本人はとかくが好きで、技をもって敵に打ち勝つことが美学のような、侍魂を持っているんです。みんな宮本武蔵が好きなんですね。磨いた技で1対1に勝ち、それを積み上げれば11対11に勝てると思っている人も多いと思います。

でも、敵のマークを外す方法は他にもあるんです。それが複数人で走ってスペースを作るという方法です。原理は簡単です。背中で走ることを意識するんです。

特にスローインを受けるときに、簡単にポジションチェンジするように走れば、すぐにフリーで受けれます。

11対11に勝つには1対1に勝つことが不可欠です。しかし1対1は11対11の中で行われるのです。柔道の団体戦じゃないんです。1対1に挑むのに周りの助けを得られたほうが、遥かに戦況を有利に進められます。そのことを日本人は学ぶべきです。

では5について。これは選手がどこに走ったらいいか分からず、途方にくれているシーンです。加えて、自分がここに立って待っていることの意味もよく考えていない場合が多いです。

特にサイドハーフがタッチライン際まで開いてボールを受けたときです。このとき味方のサイドバックと縦の関係になることが多いのです。このときサイドハーフがボールをはたいてから止まっていると、サイドバックの上がるスペースを潰してしまい、攻撃が停滞することがよくあります。

これをしないためには中に絞る動きが必要です。くわしくはリンク先を見てください。

次は→考えて走る7 ゴール前のFWの動き方

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