footballhack: 子供にドリブルを上達させるには

2010年10月12日

子供にドリブルを上達させるには

サッカー選手にとって幼少期のプレー経験が一番大切です。なぜなら、大人になってから体に染み付いた身体操作の癖を修正することは非常に難しいからです。このことは選手なら経験的にわかるのではないでしょうか。伝説的なプレーヤーは幼少期からそのプレースタイルが変わっていないという事実を挙げれば、序文の説明に事足りると思います。

今回は子供にドリブルの悪い癖を付けさせず、良いドリブルを身につけさせる方法を提案します。

1 芝生あるいは砂浜でプレーさせる

2 かならず複数人でプレーさせる

3 このとき必ずゴールを二つ設定する

4 クーバーコーチング禁止 コーンを使ったジグザグドリブル禁止

5 グリッドを使用したトレーニングでスペース感覚を磨かせる

以下説明です

 土あるいは砂利のグラウンドではボールがどんどん遠くに転がっていってしまいます。このような環境ではボールを常に足元で扱う習慣はつきません。スペースにボールを蹴って追いかけるスタイルが助長されます。

芝生や砂浜の上でなら、ボールはすぐ止まります。ボールを蹴ってもすぐ止まるということは、ボールが体から離れにくくなるということです。この感覚を育むことでボールの転がり方を支配する習慣をつけさせやすくなると思います。

 子供は見て学ぶ生き物です。何も教えずとも良いプレーをみて真似しようとします。また、相手と駆け引きをする習慣を対人プレーで身につけることが重要です。

 ゴールを2つ設定することは攻撃方向を設定することと同義です。攻撃方向を決めるということはスペースの活用法を身につけさせるために必要不可欠です。

 一人で練習をさせることやシャドードリブルをさせることは、子供をファンタジーの中に閉じ込めることになります。サッカーという現実に目を向けさせるためには対人での練習が必要ですし、複数人でゴールを設定したゲームが最適です。

クーバーコーチング的な動きは、スペースの活用という観点から見て全くの無駄であると言わざるをえません。相手を騙すことだけに焦点が集まるプレーは、連続的にシーンが移り変わる特徴を持つサッカーのゲームの中で、あるワンシーンの打開だけに集中してしまう悪い癖を選手に植えつけかねません。駆け引きの中でしかフェイクは有効ではありません。また、駆け引きのあとで必ずパスやシュートなどのプレーが続くのです。連続的に判断を変更でき、生まれては消えるスペースの活用法を知る選手を育てるにはやはりミニゲームが最適です。

クーバーコーチングの動きではフェイクを入れてからその逆側にボールを動かすというものが多いです。例えばシザースフェイントでは左にまたいで右に切り返すような動きがあります。この動きを幼少期に反復的に練習すると、大人になってからもこの動きが体に染み付いて離れません。その結果競り合いになりそうな時にクーバーコーチング的動きで相手をいなそうとします。競り合いの時に体を入れることより、クーバーコーチング的動きが優先されます。こういう動きが反射的に発揮されるように育てられた選手はJリーグにもたくさんいます。大変残念なことです。また、押し通るドリブルを身につける際にクーバーコーチング的動きがその習得の弊害になります。

ジグザグドリブルの練習法でよく見られる光景として、いろんな部位でボールにタッチさせるようにコーチが条件を出すことです。利き足と逆足で同じようにボールタッチできるように練習させようとします。これも全くの無駄です。

サッカーの試合の中では、ほとんどの場合選手は利き足でプレーしようとします。そのほうが確実にプレーできるからです。加えて利き足だけでプレーする、2歩1触のスタイルでは状況判断もよくなり、駆け引きも上手にできるようになります。よって逆足のボールタッチの練習に長い時間割くことは無駄です。

ジグザグドリブルの練習では始めはゆっくり確実に丁寧にやることが主眼とされます。たしかにこれは間違ってはいません。ゆっくりやる理由は後々速いスピードでできるようにするためです。サッカーの試合の中ではテクニックをスピードの乗った状態で発揮することが重要になります。速くやることを忘れてゆっくりしたスピードの中だけで練習することは本末転倒です。これでは選手にゆっくりしたスピードでしか発揮できないテクニックや身体操作が染み付いてしまいます。こういう選手が後にテクニックを速いスピードで発揮しようとすると、幼少期に練習した”遅い癖”が邪魔になってしまうのです。 ジグザグドリブルの練習は高度なレベル(速いスピード)のテクニックを習得するのに足かせになってしまう場合があります。

 グリッド練習ではどの方向にもプレーでき、かつ周りを見ないと他人とぶつかってしまうので、子供たちは自然に2歩1触のドリブルを始めます。また、コーチが条件を付けることで色々なバリエーションでトレーニングを進められます。

大事なのはスペース感覚を身につけさせることです。そのために常にスペースを意識させる条件付をします。 またスペースは人の位置によって決まるので、他人の位置関係に目を配らせるような条件付も必要です。また子供は競争が好きなので互いに競い合える条件をつけることも大事です。

関連→日本と世界 ストリートサッカーの現状


4 件のコメント:

  1. いつも更新ありがとうございます。
    上の記事の「4」に書いてある、「コーンを使ったジグザグドリブル禁止」というのは、速い速度でやれば意味があるのでしょうか?教えて頂けるとうれしいです。

    ちなみに僕は速い速度でやれば意味があると思います。なぜなら、ジグザグに速くドリブルするということは、重心移動と敏しょう性がはやくなると思うからです

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  2. いつも更新ありがとうございます。
    上の記事の「4」に書いてある、「コーンを使ったジグザグドリブル禁止」というのは、速い速度でやれば意味があるのでしょうか?教えて頂けるとうれしいです。

    ちなみに僕は速い速度でやれば意味があると思います。なぜなら、ジグザグに速くドリブルするということは、重心移動と敏しょう性がはやくなると思うからです。

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  3. @あっちゃんさん 再度のコメントありがとうございます。仰る通りです。多様なドリブルスキルの醸成ではなく、2歩1触の高速化を主眼に置けば、ジグザグドリルは無駄にはならないと思います。ただし、ある程度スピードを維持したままこなせるようになったら、対人練習へと移行することを怠ってはいけません。ドリブルの土台は駆け引きですから、そこを誤ると前田俊介のようになってしまいます。

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  4. ご返信どうもありがとうございます。
    最終的にドリブルは駆け引きだということですね。

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