footballhack: マクロつなぎ論5 収束と拡散

2010年9月1日

マクロつなぎ論5 収束と拡散

今回はDFの集団的意図(守備の狙い)の逆をつく攻撃法を考えます。

ゾーンディフェンスの目的は、オフサイドラインを設定し、それぞれの選手間の距離を縮めることで、それぞれの選手の移動距離を少なくして、相手にプレッシャーを与え、ボールを奪うことにあります。

ゾーンディフェンスの方法は、チャレンジとカバーの原則を守り、ボールのある場所に依って、守備者全員のポジションを少しずつ修正することで、相手に苦しい体勢でボールをポゼッションさせてミスを待ち、数人でボールホルダーを囲んで奪うというものです。

このやり方はパスコースが限定されるほど、守備の陣形がより小さくなる、収束する傾向を生みます。なので、攻撃側はDFが集まってきたらボールを密集地帯から外に逃がして、広いスペースに展開すれば、相手の逆をつけることになります。

戦術眼が優れた選手またはサッカーをよく知っている選手は、相手の守備陣形の収束する様子を感じ取り、開いているサイドにうまくボールを運ぶことができます。

では、どんなときに相手の守備陣形が収束しているのでしょう。

1 ボールを奪った直後

2 短いパスが数本続いた後

3 タッチライン際でのプレーが続いた後

4 ドリブルでタメができたとき

などです。

1のとき: ボール奪取後は素早く確実にボールをつないで、フリーの味方に預け、安定した状態でつなぎをはじめなければなりません。このとき、両サイドのスペースが活用できます。素早くボールをサイドの選手につなぎ、相手の陣形を一旦広げる意識が必要です。

2のとき: 短いパスが数本続くと、守備側にとって有利な状況が生まれます。何故なら、選手同士の距離が近くなり、お互いのカバーリングがしやすくなり、少しのボールタッチミスでもボールを奪える機会が増えるからです。

なので、攻撃側は集まってきたDF陣の裏をかいて、長いパスで広いスペースにボールを展開すべきです。そうすれば、開いたサイドからドリブルで仕掛けることができます。なにより、相手のDF陣に長い距離を走らせてスライドやカバーリングをさせることで、ゲーム終盤の体力切れを狙えます

3のとき: タッチライン際でパス交換が続くと相手守備陣を集めてしまいます。結果、パスコースを限定されてボールを奪われるか、よくてマイボールのスローインにしかなりません。ですから、サイドでのプレーが続きそうな場合、なるべく早くボールを中央か後方に戻し、サイドチェンジをするべきです。

4のとき:中盤の選手がドリブルで時間を作ったときは、その周辺のパスコースを消すためにDFが集まってきます。密集地帯からボールを出してやると、収束したDF陣形は拡散する動きを見せます。この時に広がっていくDFの間にパスを通すことで、中央でフリーの選手に前を向かせることができます。

DF陣形はアメーバのように形を変えているようにみえますが、あるひとつの法則にしたがって動いています。それが、収束と拡散です。縮まる動きのあとは広がる動きを見せ、また縮まる動きをみせる、この繰り返しの逆を取ることで、攻撃の先手をとり、ひいてはゲームを支配するのです。

ショートパスとロングパスを組み合わせたり、1タッチプレーと運ぶドリブルを間に挟んだりしながら、プレスをうまくかいくぐるパス回しが大事になってきます。

次は→マクロつなぎ論6 安定、不安定

2 件のコメント:

  1. いつも更新ありがとうございます。
    僕は中学校のサッカー部に入っているのですが、中学生はゾーンマークではなくマンマークです。なので上の記事はあまり参考にしないほうがいいのでしょうか?

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  2. @ピルロさん マンツーマンでもDFは収束と拡散の動きを見せます。なぜなら中学生くらいだと、攻撃の選手たちもボールに寄る傾向があるからです。キック力が足りないことと戦術理解が足りないことが要因です。ですから、収束と拡散を理解してプレーすることは次のステージへ向けての大事な課題ですので、頑張ってください。

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