footballhack: イニエスタとジョーダンのドライブ姿勢

2013年4月18日

イニエスタとジョーダンのドライブ姿勢


ドリブルの中でも正対したDFの脇を鋭く抜けていくものを”ドライブ”といいますね。今回はそのドライブにおける有効な姿勢を考察します。ここでのお手本はイニエスタとバスケ界の神様マイケル・ジョーダンです。では動画をば。




ここから少し解説します。

まず、なぜ前傾して腕を広げると並走の競り合いに勝てるのかをよく理解してください。下の動画で説明しています。



解説ページは以下です→上半身倒して前に入れる

そこでイニエスタの動画に戻ります。始めのシーンです。

スクリーンショット 2013 04 18 21 57 58足を引いて止める位置を変えてハイティンハの逆を取ります
スクリーンショット 2013 04 18 21 58 31実際のボールコントロールは受動的変形で行います。
スクリーンショット 2013 04 18 21 59 05ここから潜りこみを開始。左手はハイティンハの腹から下に向けて払います。
スクリーンショット 2013 04 18 21 59 08上半身を倒して相手の懐に潜る格好を取ります。腕を広げることも忘れずに
スクリーンショット 2013 04 18 21 59 14上半身を思いっきり倒して潜り込みます。足の位置ではボールに対してハイティンハと等距離にいますが、頭の位置ではイニエスタに分があります
スクリーンショット 2013 04 18 21 59 17ハイティンハはこのままイニエスタを横から押すとファールになってしまうので避けてしまいました。ノーファールをアピールしてます。実際この形でDFが横から押すと、審判にはドリブラーを後ろから押したように見えるためファールをとられる確率が高まります
スクリーンショット 2013 04 18 21 59 27トンネル抜けて。





次のシーンはこのプレーがいかにファールを誘えるかをよく表しています。


スクリーンショット 2013 04 18 22 22 46正対状態
スクリーンショット 2013 04 18 22 22 53ダブルタッチ開始
スクリーンショット 2013 04 18 22 22 58入れ違う
スクリーンショット 2013 04 18 22 23 01ここから腕を広げてDFの胸に押し当てます
スクリーンショット 2013 04 18 22 23 04この姿勢を作れたらもう勝ちは決定
スクリーンショット 2013 04 18 22 23 12完全に後ろから押される格好です
スクリーンショット 2013 04 18 22 23 20イニエスタの体が前に入っています。ここからDFの腕に注目
スクリーンショット 2013 04 18 22 23 27イニエスタの腕をしっかり掴みつつ(ここでもうイニエスタは倒れかけている。抜き去る意思なし)
スクリーンショット 2013 04 18 22 44 09DFの手がイニエスタの肩について伸びているということは、力が加わったということ。
スクリーンショット 2013 04 18 22 23 33ずさぁと倒れるが審判の裁量でファールにはならず。これは時間帯やスタジアム環境を考慮に入れればファールになる時もあるしならない時もある。微妙なプレー。岡崎なんかはもうちょっと踏ん張るので、その分相手と絡み合う格好になりファールを得やすいんですが、このシーンのイニエスタは安易に倒れてしまいました。



では続々と上半身倒し、腕広げのドリブルシーンを抜き出してみます。

スクリーンショット 2013 04 18 22 24 220:30
スクリーンショット 2013 04 18 22 25 341:00
スクリーンショット 2013 04 18 22 25 591:10
スクリーンショット 2013 04 18 22 26 43 1:25


前傾して相手の胸に肩甲骨を当てると、それ以上相手は押す力を入れることができなくなります。さらに押すとファールになるからです。

でジョーダンなんですが、彼も敵の脇を抜いて行く時に前傾し肩を相手の前に入れるんです。これはバスケ選手はみんなそうだと思うんですけど、ジョーダンを取り上げるのが分かりやすいかなと思いまして。

スクリーンショット 2013 04 18 23 05 57 スクリーンショット 2013 04 18 22 27 55 スクリーンショット 2013 04 18 22 28 21 スクリーンショット 2013 04 18 22 28 25


ドリブルの姿勢って大切です。前傾すれば相手の前に潜り込んで競り合いを制することができるし、加速力もつくので抜きやすくなります。横から当たられたらファールです。この意識を持って練習に取り組めばなかなかのドリブラーになれるでしょう。もちろん、脚が速いことは前提条件ですが。脚が速いというのは50mや100mの速さではなく、5mとか10mの速さです。つまり、ピッチが早いことがなにより重要です。だからこのドリブルを身につけるには背が小さく脚が短いほうが有利です。背が高い人がこれをやっているのは見たことないからです。

実はこのジョーダンの動画の最後のシーンはすごい技を使ってるんですけど、ちと解説すると長くなるんでまたこんどやります。いややるかわからないですが、スローで見てみてください。


14 件のコメント:

  1. 後ろの選手がデ・ヨングで、対峙してるオランダの3番の選手はヘイティンガですよ。

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    1. ありがとうございます。早速訂正しました

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  2. いつも楽しく拝読しております。

    バスケでは、この手の動きを「ダック」とか「ダック イン」と呼びます。

    一度上体を持ち上げてスピードを落とすふりの後にダックします。

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    1. 非常に有益な情報をどうもありがとうございます。やはりバスケでは統一名称があるんですね。サッカー界もこれを採用しましょう。

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    2. 私自身はバスケをしてきまして、息子たちがサッカーをしているので、サッカーを勉強しています。

      サッカーの動きは、バスケのそれとかなり近い動きが多いので、サッカー経験者でない私でも、サッカーの動きは分析しやすいです。

      これからも記事を楽しみにしております。

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  3. 私は高校でハンドボールをしていましたが、
    ディフェンスの腋に自分の肩をいれてディフェンスを抜くというのを習いました。

    ディフェンスの右側を抜きたいときは、ディフェンスの右腋にやや体勢を低くして自分の右肩をいれ、肩で相手を後ろへ押しながら抜きます。

    分かりにくかったらごめんなさい。

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    1. ハンドボールでも基礎テクニックとして定着しているんですね。おどろくべきことにサッカー界ではこれを言うと危ないとかファールだとかいう理由で禁止する指導者が大半です。あるいは気づいてないか。サッカーにも速く定着することを願います。

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  4. 質問です。
    http://www.youtube.com/watch?v=Sg9lLx93unc
    この動画の7分3秒付近でメッシが相手を縦に抜いてるんですが、まず正対して縦に抜ける瞬間ステップがとても細かくなってるように見えるんですけど、こういう抜き方はやはりスピードが必要になりますか?やっぱりステップ変化だけじゃだめですか?

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    1. これは単純に2ステップでの湾曲正対からの骨盤パニックです。たしかに抜く直前ステップが細かくなっていますが、浮きは使っていません。スピードも大切ですが、このドリブルのポイントはコースどりです。徐々に曲がりながら正対することで、正対していると相手に気づかせないようにします。すると相手も警戒を怠るので、実際に正対したときに無防備になります。その瞬間に加速すれば、出し抜くことができます。

      フィジカルの強さやスピードももちろん大切です。スピードのないメッシはバイエルン戦で見たようにただの役立たずです。だから毎日100%で練習しましょう。と同時にドリブルのテクニックやフィジカルコンタクトのスキルがあればスピードを補うことができます。ただし、相手のレベルによって通用するかどうか変わってくるので、とくかく自分にできる100%を尽くすしかありません。

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  5. 少し話題が違うかもしれませんが、左利きはサッカーで有利不有利あるのでしょうか。それと左足右足両方練習したら、変なドリブルの癖がつくとかいうことはあるのでしょうか。

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    1. 左利きは相当有利です。左利きならば左だけ練習したほうが良いでしょう。

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    2. なぜ有利なのでしょうか。それと右利きであればどうなのでしょうか。左足は練習したほうがいいでしょうか。

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    3. 右利きなら左も練習しましょう。左利きなら17歳までは左足一本でも構わないと思います。左利きはまず脳の使い方が違います。芸術的で感性的な人が多いです。一瞬のひらめきに優れた人が多く、伝説的な2人の選手は左利きです。メッシとマラドーナ。そこまで突き抜けなくても普通の選手で左利きは重要です。希少性と戦術性です。左利きが前向きの時は右利きとは想定されるキック可能な角度が変わります。これが戦術的に非常に重要なポイントです。左利きを戦術のポイントゲッターに据えることはよくあることで、左利きの有無で戦術の組み立て方が変わるほどです。キックが得意な左ききならなおのこと重要です。

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    4. ありがとうございます。練習します。

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