footballhack: 観る7 視野の5W1H 動機

2012年2月2日

観る7 視野の5W1H 動機

なぜ首を振らなければいけないのか。それはもちろん良いプレーをする為です。良いプレーは積み重なり、良い“一連のプレー”になります。良い一連のプレーは得点機会を生み出し、失点機会を未然に防ぎます。このようにして、試合において支配権を握り、ゲームに勝つことができます。そして、良いプレーを積み重ねることで、ひとつの試合に勝つのみでなく、長期的視点に立ってサッカーの質を向上させていくことが出来るのです。

では、最初の質問に戻ります。「サッカーでは“なぜ”良い視野を確保することが重要なのか」

これには2つの答え方ができます
  1. 敵のプレッシャーを回避するため
  2. 味方のプレッシャー(期待)に応えるため



1 敵のプレッシャー

敵の動向を探るために首を振らなければいけないことは容易に想像がつくと思います。これは各所で散々言われていることで、聞いたり実際に指導されたりしたことも一度や二度ではないでしょう。

敵のプレッシャーが速まれば速まるほど、強まれば強まるほど、先んじて周りを見なければならなくなります。さもなくば、ボールロストするだけですし、ロストが続けば、味方からパスが回ってこなくなります。先んじて観、敵の守備意図のひとつ上を行くことが肝要です。

ですから、判断力や戦術眼の向上のためにはほどよい敵のプレッシャーが不可欠です。緩すぎてもだめだし、厳しすぎてもいけません。丁度よいレベルか、少し難しいくらいのレベルの中でプレーできれば上達が早まります。

厳しすぎてもいけないというのは、人間の脳みそは急に大きな障害をクリアできるように出来ていないからです。途方も無い高い障害はいくら時間をかけても超えることは出来ませんが、階段を1つずつ登るように徐々に障壁の高さを上げていくと、確実に最後にクリアできるようになります。「続けていればいつかは出来るようになるだろう」と思って、難しすぎるレベルの中でプレーし続けることは賢明ではありません。


自分より少しレベルの高いリーグに所属したり、上の学年に混じって試合に出場すると自ずと周りを見る癖がついてきます。

2 味方のプレッシャー

「えっ!?味方からプレッシャーなんか受けないだろ」と思われるかもしれませんが、味方からのプレッシャーこそ、上達への最高の栄養です。

味方のプレッシャーとはいわば、味方からの“要求”です。「ここにパスを出して欲しい」とか「このタイミングで寄せて欲しい」といった要求は、レベルが上がれば上がるほど明確に、迅速に出てきます。上手な選手ほどプレーイメージは鮮明で、数手先が読めるのです。

上手な選手に囲まれてプレーすれば、周りは皆、自分より判断力や戦術眼に優れているわけですから、ポジショニングも速いし、飛び出しやアプローチも速くなります。そのスピードに追いつこうと努力することが、判断速度を高めることにつながり、ひいてはトラップの技術向上や、パス選択肢の増加につながるのです。また、技を盗む絶好の機会でもあります。

この要求に答えるためには、より詳細に情報を集め、迅速に判断する必要が出てきます。ですから首を振る回数も増え、観るべき対象も絞られていくのです。

レベルの高いチームへ移籍したり、上の学年に混じって練習すると、自ずと周りを見る癖がついてきます。

また、明確なチームコンセプトをもつチームでプレーする際に、この味方のプレッシャーを一段と感じることとなります。特に優秀な指導者が緻密な戦術遂行トレーニングプランを有している場合は顕著です。

まとめ                                                   

まとめますと、首を振り周りを見る習慣をつけるためには、
  1. 少しレベルの高い相手と試合をする
  2. チームコンセプトを持つチーム内の練習で味方と切磋琢磨する
ことが重要になります。

次→「観る8 視野の5W1H 位置」

2 件のコメント:

  1. 上の記事から、自分より少し高いレベルでプレーしなくても、同級生との練習でも周りを見る癖はつけることができると思うのですが。首を振ることは意識の問題ですし。また、同級生との練習では「観る」ことについて伸びしろがないのでしょうか?

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    1. 首を振る時、あなたは何を探しますか?どんな意図を持って首を振りますか?プレーの意図を持つということが良い視野の確保の最も重要な動機になります。そしてプレーの意図は敵と味方の動きによって決まります。これが今回の記事の主旨です。

      つまり一人で首を振る練習をしても全く意味が無いのです。また、チーム練習で一人だけで頻繁に首を振っていても効果は低いのです。つなぎのセオリー通りにプレーできても、味方がその意図を汲んでくれなければ、そのプレーは全体として失敗に終わります。

      チームのプレー意図に添って、味方に要求されるように、また自分から味方に要求するように周囲を観れなければ、「伸びしろ」は限られると言えます。良いチームの中で、良い監督、良いチームメイトに囲まれた環境でこそ、ほんとうの意味で首を振ることの意義を理解できます。

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