footballhack: いなすトラップ0 概要

2011年11月29日

いなすトラップ0 概要

サッカーの基本は止めることと蹴ることです。この2つがしっかり出来ればその他の技術を使わずとも良いプレーができます(ポジションは限定されますが)。今回は「いなすトラップ」と題してトラップで敵をかわす、あるいは敵のプレッシャーを回避して時間とスペースを一人で生み出すにはどうすればよいかを考えます。

本題に入る前に、sutudio c60さんによるトラップの記事群に必ず目を通してください。→「コントロール(トラップ)」-蹴球計画-

上記の記事の中でコントロールの仕組みが0から説明されています。ボールを止めるとはどういうことか、改めて考えさせられる良質な記事群なので是非読んで欲しいと思います。

個人的に、コントロールとトラップの違いは敵の存在の有無の違いだと定義しています。ここでは、敵の存在を無視した中でのボールを止める技術はコントロール、敵を意識した時にトラップと使いわけます。

では、敵をいなすトラップの基本的な考え方から説明しましょう。


 攻撃のセオリーの探求は、守備のセオリーを理解するところから始まります。まず、守備のセオリーをおさらいします。

左図のように右横からパスを受けるシーンを想定します。




 このとき必ずDFはボールホルダーの体の正面に向かって近づいてきます。

左図で言うと、赤い丸で示したエリアを目標に守備者はアプローチを掛けます。
 ボールホルダーが横を向いていたら、左図のようになります。

このようになる理由は2つあります。基本的にボールホルダーは体の正面方向にしかプレーできませんから、守備者は攻撃者の正面に回ろうとします。

また、アプローチの原則から説明すると、守備者は1インターセプト、2トラップした瞬間、3なるべく接近して自由にプレーさせない、の3つを狙っています。ですから、トラップの瞬間を狙うために、ボールホルダーがトラップしそうな方向(体の正面)にDFは的を絞ってプレッシャーをかけてきます。

以上のことから、DFの狙いを理解出来ましたら、自ずとトラップの工夫についての道筋が見えてきます

トラップでDFをいなすにはボールを止める場所を変えてあげれば良いのです。

つまり、上の図で示すところの赤い丸を動かしてやるのです。トラップの際に赤い丸(DFが狙っているポイント)を意識するだけで、かなりプレーに余裕が出てくると思いますし、実際にDFを外すことが出来るようになると思います。

ここでは赤い丸を便宜的に「受け場」「止め場」と命名します。「受け場」とはDFのアプローチの狙いを受ける場所あるいはフェイクトラップのポイントの事とし、「止め場」は実際にボールを止める位置を指すことにします。

以下に具体的な方法を提示します。
 トラップの場所を変えるテクニックには主に二種類あります。「移動」と「回転」です。

「移動」を使う場合(左図上)、 パスの軌道上をズレるようにすれば止める場所を変えられます。

「回転」を使う場合、その場で回転することで、止める場所を変えられます。

もう少し具体的に見てみましょう。



パスの出し手からボールが離れて受け手が触るまでの間に、パスの軌道上をズレるように動くことで、DFの狙いをぼかすことができます。

簡単に言うと、出し手に近づいたり離れたりすればよいのです。

ただし、パスの強さにプレー選択肢を制限されるプレーであるため、柔軟に対応しなければなりません。

この種のプレーで一番一般的なのはボールを流すプレーです。ボールを流すプレーの弊害はこちら→「ボールを流すプレーはやめよう」



 また、回転とはその名の通り、その場での回転です。

パスの受け手に求められる動作の小ささに比べ、DFのアプローチの軌道修正にかかる距離が大きくなることが最大の利点です。

上手くやらないとプレー方向が狭まってしまう点に注意したいです。





方法としては、受け場にDFを引き付けておいて、トラップの瞬間に逆を取り、いなすという順序になります。この感覚をつかむためにも、受け場を強く意識し、そこにDFを誘い込むという狙いをはっきりさせることが重要になります。

この受け場と止め場を変えるトラップの基本的概念は、DFのアプローチに余計な労力をかけさせることです。いわゆる、無駄走りというものをさせます。DFが余計に長い距離を走っている時間がそのままボールホルダーの自由に使える時間になります。ですから、このいなすトラップは大抵の場合、一瞬の時間やスペースを作り出すことは出来ても、完全に抜き切ることまでは出来ません。 「抜く」あるいは「入れ違う」技術はまた別のものであると理解してください。

受け場と止め場を動かすことはすなわち、DFのアプローチのベクトルとボールホルダーのトラップのベクトルを変えることと同義です。風間さんの言う「外す動き」を思い返した時に、まさにこのことだなと納得しました。ただし、いなすトラップは一人の判断で敢行できるのに対し、風間氏の言う外す動きは出し手と受け手の二者関係でのみ成り立つようです。


実際、トッププレーヤーを観察すると、移動と回転の両方をうまく組み合わせて使っていることが分かります。敵との距離感や駆け引きの中で、最も効果的な外し方を選ぶことが出来れば、ボールを奪われる心配は殆どなくなるでしょう。

次回からはトッププロのプレーをお手本に一つ一つの技について解説していきたいと思います

次→いなすトラップ1 シャビによるジダントラップ

3 件のコメント:

  1. はじめまして。いつもこのブログみてます。
    トラップについては、ボールをトラップするときに、目の前にいる敵とある程度距離があれば正対し、トラップするときにすぐそばに敵がいるときは「いなすトラップ」で敵と駆け引きをするということですね。

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  2. @ヘスキーさん コメントどうもありがとうございます。だいたいそんな感じですね。トラップを「狙われてる」という感覚を持つのではなく「狙わせる」と思えるようになれば良いと思います。

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  3. コメントありがとうございます。
    トラップは受動的にみえて、実は能動的なんですね。

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