footballhack: ユベントス 3-1-4-2 攻撃分析

2012年11月15日

ユベントス 3-1-4-2 攻撃分析

バルセロナセビージャとレバンテとイングランド代表のゾーンディフェンスドイツ代表アスレチック・ビルバオのサイド攻撃サンフレッチェ広島の変則3バックなどなどの分析を終え、一息ついていたところで、他に面白いチームないかなと思っていたら、「ユベントスが面白いらしい」と小耳に挟み、観戦したらなるほど特殊だが機能的で実に興味深いサッカーをしているではないか。そう思いまして、ユベントス分析をやってみたいと思いたったのです。

ユベントス攻撃 001ゾーンディフェンスの崩し方2種を理解すると、ユベントスのフォーメーションとチームとしての狙いが鮮明に見えてきます。では早速いきましょう。













  ユベントスの攻撃戦術を理解するためのメニュー


  • フォーメーション
  • 4番スペースを起点にしたポジショニング
  • 2番スペースとインサイドハーフ
  • 中央の使い方
  • クサビを通すためのスペースクリエイト





  ユベントスのフォーメーション

ユベントス攻撃 002
今シーズンは基本は左のようになるみたいです。


















  4番スペースを起点にしたポジショニング



ユベントス攻撃 003
左図がユベントスのセットオフェンス時の並びです。

注目はビダルとマルキージオの二人のインサイドハーフ。彼らはスタートポジションが4番スペースに設定されています。

これにより、彼ら二人ははじめから4番スペースの恩恵を多大に受けることができます。


4番スペースへの位置取りはゾーン破壊に直接つながります。


ユベントス攻撃 004
また、ビダルとマルキージオは4番から2番へ抜けていくことで、最終ライン突破を図ります














  2番スペースとインサイドハーフ


ユベントスのセットオフェンス時、アサモア、リヒトシュタイナーの両WBはタッチライン際まで開き、高い位置をとるので、守備側のSHとSBは外に釣り出されます。

ユベントス攻撃 005


例えば、左図のようにSBが外に引っ張りだされたら、インサイドハーフはCBとSBの隙間を狙ってフリーランニングを開始し、パスの出し手であるピルロからボールを受け取ります。










  中央の使い方

もう一つ特徴的な動きが下に説明する動きです。
ユベントス攻撃 006
タッチラインに開いたWBにボールが渡った時、ビダルとマルキージオは2番スペースへ向かって飛び出します。


インサイドハーフにパスが渡れば、ペナルティエリア内からクロスをあげられる位置まで侵攻できます。






ユベントス攻撃 007
守備側のボランチがインサイドハーフについていけば、今度は中央が開くので、そこを使えば良いです。

中央にはピルロを進出させるか、逆サイドのインサイドハーフ、左図で言えばマルキージオを使えば良いです。



ユベントス攻撃 008


FWが引いてきてマーカーを剥がしながらパスを受けターンするシーンもよく見られます。















いずれにせよ、ビダルとマルキージオの2番へのカットアウトが鍵になり、ブロックを一つづつズラして最終的にパスで崩せるように、ユベントスの攻撃はデザインされています。


  クサビを通すためのスペースクリエイト

これらの前段階で特徴的な攻撃の形があります。それが、CBからFWへのクサビのパスです。

普通のチームがゾーンディフェンスで守るチームと対峙した時、普通はCBからFWまでクサビは通りません。なぜなら、越えねばならない緩衝帯が2つ存在するからです。ひとつはFWのライン、もうひとつはMFのラインです。そこでユーベは2つの手法で緩衝帯を取り除きます。

第一段階として、3バック+ピルロのビルドアップで相手FWのプレスを回避します。そして、前向きでフリーのボールホルダーを作り出します。

ユベントス攻撃 010
次にWBを高い位置まで進出させます。この動きに相手のSHがついていったら、


ビダルとマルキージオがいる4番スペースが空いてきます。








ユベントス攻撃 011






彼らがほんの少しバックステップで外に開くと、






ユベントス攻撃 012


見事にCBとFWの間ががらんどうになります。


この仕組を使うことで、ユベントスはピルロを経由しなくても前線へとボールを運ぶことが可能になるのです。









もちろんこのプレーは、ヴチニッチのポスト&ターンスキルやジョビンコの動的レシーブスキルに裏打ちされていることを忘れてはなりません。まだ確認してませんが、この2トップはコンビネーションランを用いて互いにマーカーから離れているみたいです。

バイタルを横切る動きも重要になってきます。クサビを横移動しながら受けるとマーカーはどうしても後手に回り、的を絞ることができません。

ここまで紹介した攻撃のパターンは旧来型のサッカー文法、スラローム思考で理解できるので、DF陣にキック精度があれば容易に導入できるかと思います。ただし、スラローム思考が必ずぶつかる問題である、"ポストプレーの成否”に結果を左右されやすいので注意が必要です。上のカテゴリーのチームと対戦した時にポストプレーがフィジカルで簡単に潰されてしまうようだと、成果を得るのは現実的に厳しくなります。

ピルロというスペシャルなパサーを擁するチームは、当然のこととしてピルロ番をつけるチームと対戦するはめになります。いわゆるマンマークというやつです。この対策を打ち破る"対策の対策”を持ち合わせていなければ、どんなに凄い選手がいようとも勝率を高めることはできません。

ユベントスは3バックピルロ、そして2番4番スペースの活用の三重の策で常勝チームを作り上げました。あっぱれです。

 スクデット店長様

次回は守備編

2 件のコメント:

  1. 初めまして!質問です。
    このブログを見て2歩1触をしり練習を始めたのですが、ドリブルをしている時に軸足の右足だけが疲労します。
    これは、蹴り足に重心を移せてないからでしょうか?
    もしそうだとしたら、改善策を教えて頂けると嬉しいです!

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    1. そうですね。軸足に重心が乗ったままなので疲れるんだと思います。足裏押し引き出しで軸足を飛ばす訓練をしてください。またゆっくりとしたスピードから始め4歩1触、6歩1触からだんだんとタッチを細かくしていくといいと思います。

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