今日はこのプレーについてやります。自然な挙動から予測不可能なプレーへつなげるにはどうしたらよいか、それが今回のテーマです。
新しいアイディアというのは既存の組み合わせで出来ています。素晴らしいアイディアというのは継続性の中から偶発的に生まれます。突然変異を人為的に起こすことができないように、良いアイディアも主体性を持って生産することはできません。常に懐疑の目を持って変化を見落とさないことが肝心です。"違和感”が扉を開くのです。
ここではメッシのインサイドの持ち出しにフォーカスしてみましょう。
一見何の変哲もないメッシのゴラッソですが、特筆すべき技術が隠されています。それは、上のGIFアニメの2タッチ目です。
原理的にはブスケツターンと同じです。ボールの側面をインサイドで踏んで、回転をかけて進行方向に転がすんです。
連続写真でやります。
ワンタッチ目
これもキックフェイントになってます。「打つぞ打つぞドリブル」と呼称されていますが逆手を振り上げながら爪先でちょんちょん持ちだして、シュートフェイントで揺さぶるドリブルテクニックです。
そして次が問題の技術。これもシュートフェイントで、さらにインサイドフックでターンする挙動にも見えます。
ボールを流すのではなく、側面を踏むことで進行速度を遅らせます。振りかぶるだけでボールをスルーすると白の矢印で示したとおりボールが体から離れすぎてしまいます。すると、DFに体を寄せる時間を与えることになり、シュートブロックに遭ってしまいます。
わずかにボールを踏んで転がりを抑えることでボールを体の近くに置くことができます。
その後の姿勢。左右のどちらに動くのかわかりません。ニュートラルな姿勢です。アヤックスのDFはインサイドフックを読んで重心が右に傾いています。また、メッシがどちらに動くかわからないためか、ペナ内なのに距離を空けすぎてしまいました。
落ち着いて股の下を通すシュート。アヤックスのDFが逆を取られて焦って足を広げたので、余裕を持って股下シュートに結び付けられましたね。
では違う角度から
赤と白を見合いにして、実際は青の矢印を選択する狡猾さに頭が下がります。赤はインサイドフック、白はキックモーションからボールを流すプレー。どちらを選択してもこの場合DFに寄せられてシュートブロックが間に合ったでしょう。その中間を行く青矢印、だからこそDFは読みきれずにシュートを許したと僕は考えます。第3の選択肢を準備したメッシの上手さに乾杯!
シュートを打つ技術そのものも結果を残すには大事です。しかし、シュートが打てるかどうか、シュートブロックをかわすことができる自信の源はなにか、こういう点に絞って話をすると、シュート直前のトラップだとかコントロールが重要になってくるのです。シュートを打つための工夫が変わってくれば、日本のサッカーもだいぶ変わってくると思うんです。個人でシュートを決められる選手が育ってくると思うんです。そこが世界との決定的な差ではないかなと最近思ったので、こんな細々した技術を取り上げてみました。ではまた
キックフェイントでそのまま流す場合はすべてこの技術にしたほうがいいのでしょうか。
返信削除それとも流したほうが良いケースのあるのでしょうか
流したほうが良いケースも多々有ります。シュートフェイントに食いついてきた場合です。なにがベストか選択するのは選手の役割です。ここで言及したテクニックは一般にはあまり知られていないことなので意外性があることは事実です。
削除ありがとうございます。自分でも研究してみます。
削除http://youtu.be/sLW_7PYbeHw
返信削除この動画の最後から二番目のメッシのドリブルにもこの技術が使われていると考えてよろしいですか?このインサイド流しはかなり有効ですね笑