footballhack: 足上げトラップで減速するワケ

2013年8月29日

足上げトラップで減速するワケ



今回はサッパリ行きたいと思います。浮き球を止めるとき、足を上げてトラップするとなぜ後ろから追いかけてくる相手に奪われてしまうのかについて説明したいと思います。

そもそも20m〜30mの距離で競争してもプロサッカー選手同士なら0.5秒も差がつかないと思います。でも実際には10mの間に距離を詰められたり、追い抜かれたりします。なぜなのか、それはボール扱いの動作によって減速してしまうからです。今回の話のテーマはボールという動作の足枷をいかに外すかです。


では動画を




みてわかった人はこれ以上見なくていいです。一応説明しますと、ボールを受けた選手はバイエルンミュンヘンのアラバという左サイドバックで、追走する黒白の選手はリヒトシュタイナーといってユベントスの選手です。アラバのミスを検証するのが今回のテーマですが、ちなみにいっておくと、このアラバという選手、非常に良い選手です。まずミドルシュートのパンチが凄い。そして縦突破からのクロスもよい。スピード、フィジカル、ヘディングがある。なによりグラウンダーのトラップが上手い、したがって組み立てで取られることがまずないのです。彼のビルドアップ力は中々のものなのでよく参考にしてみてください。

では本題、アラバの浮き球トラップはどこが悪かったかという点についてです。以下画像で流してみましょう。

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ボールが画像上から下へ流れてきます

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浮き球に対してアラバが利き足の左足を差し出して対応します。ここで少し踏み込んで、

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インステップ付近でボールを捉えに行きます。軸足が浮いています。アラバの体全体が浮いていることがわかります。追走するリヒトシュタイナーとの距離は3歩ほど。フィジカル的に緊迫した場面ではありません。

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前へコントロールして蹴り足を接地します。 スクリーンショット 2013 08 29 17 55 07

接地。左半身が伸びきっている様子がわかります。

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リヒトシュタイナーの躍動感に比べ、アラバはまだ腰に力が入っていません。 スクリーンショット 2013 08 29 17 55 14

ようやくダッシュ姿勢に移行したアラバに対して、急速に距離を詰めるリヒトシュタイナー。フィジカル的緊張感が急上昇します。

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結局、リヒトシュタイナーが追い越すものの、接近際にアーリーヒットを使ったアラバが競り合いを制してボールをキープします。

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もちろん手押しも使われていますし、トドメに後ろからケリをかましています笑

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飛ぶように倒れ込むリヒトシュタイナー

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起き上がるリヒトシュタイナーを横目に悠々とボールをキープするアラバ。バルザーリも両手を広げてアピール!

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問題はこの場面でなぜアラバが追いつかれたのかってことです。よく見ると、コントロールの直後から急速に距離を縮められていることがわかります。その部分を抜き出してみました。



何が違うかというと、アラバの体が一瞬ふわっと浮いている点です。トラップの時にボールの高さに足を合わせようとしてジャンプして浮き上がっているんです。その結果、着地時にしっかりと地面を蹴ることができずに、走行スピードが落ちてしまったのです。


下の図の赤線は重心の高さを表しています。重心の高さが上下すると(右側)動きに無駄が生まれスピードが落ちてしまいます。
浮き球の処理上手いと下手 のコピー  004

重心高を安定させれば(左側)ボールを持っていても、ボールを持っていない守備者の全速力の追い上げに勝てます。全速力で追いかけてくる相手に捕まらないためには、全速力で逃げるしかありません。捕まるということはどこかで減速していることを意味します。走行フォームをキープできれば減速を最小限に留められます。

また、仮に追いつかれてしまっても手押しなどのフィジカルコンタクトの技術を使うことで競り合いを制することができます。実際この局面ではアラバが持ち前のフィジカルとファールぎりぎりの(いや、間違いなくファールですが笑)プレーでボールをキープしています。

足上げコントロールだと減速する上に、バランスを崩すためフィジカルコンタクトに不利です。特にトラップ直後は姿勢を保つことで精一杯で横からの当たりにめちゃくちゃ弱いです。ニュートラルコントロールならトラップと同時に手押しが使えますが、足上げトラップではそれもできません。ですから方法論として足上げトラップは密集でのコントロールに適しません。

ボールコントロールを足枷だと思うか守備者を出し抜くための餌だと思うかが、ボールを上手く扱う者になるための分水嶺です。そのためにはいかにニュートラル姿勢を崩さずにボールを自由に扱うかがポイントになります。様々な体の部位を使うアイディアを養うことが育成にとっては重要なのではないでしょうか。


最近では柿谷曜一朗がこのへんのトラップからの抜け出しが上手いので注意深く見てみると良いでしょう。

2 件のコメント:

  1. http://www.youtube.com/watch?v=HErGEWsBZ_E
    この動画の2:36から始まるプレーなのですが、香川はトラップをするときに足の内側を使っています。この時、もし腿トラを使っていればよりスムーズにに次のプレーへ進めたと思うのですが、どう思いますか?

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    1. 腿トラするには高さが微妙に低いですね。

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