こういう本が出ていますけど、買うのはとりあえず後にしてください。先に僕のラーム分析を読んでください。それからでも遅くはありません。あなたの財布を開けるのは。
世界一のサイドバック、それはダニ・アウベスで異論はないでしょう。でもあれはブラジル人の中でもかなーり上手い方でしてトラップとか神なんですよね。しかも走れる跳べるときてますから、日本人にあれを目指すのは無理でしょう。
そこでフィリップ・ラームです。Phillip Lahmはドイツ代表キャプテン、バイエルン・ミュンヘンキャプテンの頼りがいのある男です。右利きですが左サイドバックも出来るユーティリティさと小柄なのに競り合いに負けない頭脳とメンタル、そしてなによりビルドアップが巧すぎる!!!そこが日本人SBが彼を目標にすべき理由です。
もともとはテクニカルなトップ下と聞いていますが、10代終わり頃に長い距離のダッシュを繰り返せる特異な身体的特徴が発見されたのでしょうね。今ではすっかりサイドバックからゲームを作っています。
そこで今回はラームに見るサイドバックのビルとアップについて解説したいと思います。
ではおしながきをどん!
フィリップ・ラーム from silkyskill on Vimeo.
普通サイドバックからサイドハーフへ縦パスを入れると攻撃が詰まってしまいます。しかし、ロッベリーやファルファンといった圧倒的に個の能力が高い選手だと、相手を背負ったままでも局面を打開できます。ですから、ロッベリーに対してラームだとか、ファルファンに対して内田とかそういうサイドバックの選手には遠慮なくSHに縦パスを預ける場面が見られるのです。彼らは触りたがりだし、持たせれば前進できるのでチームとしてもOKとなります。
普通はワンタッチで落として相手を寄せたり、苦し紛れにマイボールのスローインをとるために行うのがこの種の縦パスです。特に受け手の能力に依存するので注意が必要です。
ここではラームが頻繁に行っている「縦パスを出すためのひと工夫」について説明します。
図を作ったんで見てください。
ここではブスケツターンで紹介した、爪先の受動的変形と足の振り下ろしでボールに逆回転をかけるトラップを用いています。回転によってボールの置所をコントロールし、体の向きから予測できない位置にトラップします。それによってDFの反応を遅らせてパスコースを作ることができます。
DFは通常ボールホルダーの体の正面に向かってアプローチをしますから、体の向きから外れるようにトラップできれば、プレッシャーを僅かな時間ですが回避することが可能です。このトラップで作った時間を利用してパスを捌ければ、事実上プレッシャーをものともしないパス&コントロールが可能になります。技術によってプレスを無効化するっつうことです。
つづいて横への展開を見てみましょう。
一点、方法で気をつけたい点があって、それは決して足を横に動かしてはいけないということです。
ファーストタッチのコツとトラップ上達法で紹介したとおり、足を横に動かすと敵にトラップの方向を事前に教えてしまうことになります。ボールタッチの直前までプレーを予測させないには、足を縦に動かしてボールを切るようにトラップする必要があります。そうすれば、足首の角度と力の入れ加減だけでプレーを変化できます。また、直前でのプレーの変更も可能ですし、トラップする足でしっかりと地面を踏み込めるのでトラップ後のスピードアップも可能です。このへんは香川ターンを扱うときに詳しくやりたいと思います。
図を見れば理解はたやすいと思います。
体を開いてパスを待ち、DFを誘っておいてから、足首でボールを刈りこんで素早く内側へプレーベクトルを移します。その後はボランチかひとつ遠いCBへ横パスを付けるのがラームの特徴です。
世界一のサイドバック、それはダニ・アウベスで異論はないでしょう。でもあれはブラジル人の中でもかなーり上手い方でしてトラップとか神なんですよね。しかも走れる跳べるときてますから、日本人にあれを目指すのは無理でしょう。
そこでフィリップ・ラームです。Phillip Lahmはドイツ代表キャプテン、バイエルン・ミュンヘンキャプテンの頼りがいのある男です。右利きですが左サイドバックも出来るユーティリティさと小柄なのに競り合いに負けない頭脳とメンタル、そしてなによりビルドアップが巧すぎる!!!そこが日本人SBが彼を目標にすべき理由です。
もともとはテクニカルなトップ下と聞いていますが、10代終わり頃に長い距離のダッシュを繰り返せる特異な身体的特徴が発見されたのでしょうね。今ではすっかりサイドバックからゲームを作っています。
そこで今回はラームに見るサイドバックのビルとアップについて解説したいと思います。
ではおしながきをどん!
- 縦パス in line
- フックトラップ(横パス)
- 正対(クサビ)
- ドリブルでの組み立て
- 組み立てからのクサビ
- 三人称スペースの発見
- 小回りの利くターン
- パスアンドサポート
フィリップ・ラーム from silkyskill on Vimeo.
1 縦パス in line
縦パスインラインとはタッチライン上をなぞるような縦パスのことです。普通サイドバックからサイドハーフへ縦パスを入れると攻撃が詰まってしまいます。しかし、ロッベリーやファルファンといった圧倒的に個の能力が高い選手だと、相手を背負ったままでも局面を打開できます。ですから、ロッベリーに対してラームだとか、ファルファンに対して内田とかそういうサイドバックの選手には遠慮なくSHに縦パスを預ける場面が見られるのです。彼らは触りたがりだし、持たせれば前進できるのでチームとしてもOKとなります。
普通はワンタッチで落として相手を寄せたり、苦し紛れにマイボールのスローインをとるために行うのがこの種の縦パスです。特に受け手の能力に依存するので注意が必要です。
ここではラームが頻繁に行っている「縦パスを出すためのひと工夫」について説明します。
図を作ったんで見てください。
ここではブスケツターンで紹介した、爪先の受動的変形と足の振り下ろしでボールに逆回転をかけるトラップを用いています。回転によってボールの置所をコントロールし、体の向きから予測できない位置にトラップします。それによってDFの反応を遅らせてパスコースを作ることができます。
DFは通常ボールホルダーの体の正面に向かってアプローチをしますから、体の向きから外れるようにトラップできれば、プレッシャーを僅かな時間ですが回避することが可能です。このトラップで作った時間を利用してパスを捌ければ、事実上プレッシャーをものともしないパス&コントロールが可能になります。技術によってプレスを無効化するっつうことです。
つづいて横への展開を見てみましょう。
2 フックトラップ(横パス)
フックトラップとはインサイドフックでファーストタッチして軸足側にプレーベクトルを変化させるトラップです。いわゆるジダントラップです。一点、方法で気をつけたい点があって、それは決して足を横に動かしてはいけないということです。
ファーストタッチのコツとトラップ上達法で紹介したとおり、足を横に動かすと敵にトラップの方向を事前に教えてしまうことになります。ボールタッチの直前までプレーを予測させないには、足を縦に動かしてボールを切るようにトラップする必要があります。そうすれば、足首の角度と力の入れ加減だけでプレーを変化できます。また、直前でのプレーの変更も可能ですし、トラップする足でしっかりと地面を踏み込めるのでトラップ後のスピードアップも可能です。このへんは香川ターンを扱うときに詳しくやりたいと思います。
図を見れば理解はたやすいと思います。
体を開いてパスを待ち、DFを誘っておいてから、足首でボールを刈りこんで素早く内側へプレーベクトルを移します。その後はボランチかひとつ遠いCBへ横パスを付けるのがラームの特徴です。
3 正対(クサビ)
正対についてはもう言及する必要はありませんね。正対から表裏のインサイドキックを使って左右にパスを蹴り分ける中で、相手を騙してギャップを抜くのがラームの上手さです。詳しくは右上タブリンクをクリック。4 ドリブルでの組み立て
これは単純にキックフェイントなんですけど、キャプチャーしてみました。ラームはワンパターンにこれをやるんです。しかも敵もワンパターンに騙されてしまいます。それはなぜなのか。
それはファーストタッチで先手を取っているからです。1で見たようにラームは縦パスを出せる位置にボールを転がすトラップ技術を持っています。これを常に行うことでDFは後手に回り縦パスのコースをケアしに来ます。
そこでキックフェイントを繰り出せば必ず引っかかるという算段です。他にいくつかの要素も関連していて、ラームは上手く中外中のスペースを利用している点があります。
まず、タッチラインより10mほど内側に立ってパスを待ちます。パスを受けたらブスケツターンで外へ持ち出します。タッチライン間際まで来たら切り替えして中に行きます。相手はタッチラインが近づくとそれ以上先へ進めないことを悟るので、キックするだろうと無意識に思い込みます。だから普通のキックフェイントより引っかかりやすくなるのです。
あるいはキックフェイントを警戒してきたら縦に進んでスローインをゲットしたりできます。当て出しですね。
ボールを持ってから2タッチでさばくプレーより、相手の守備陣形をサイドに偏らせることができるので、組み立てに非常に向いているプレーだと言えます。個人技で相手の守備陣形を操る選手は非常に貴重です。ここにラームの希少性があると思っています。
もうひとつラームの特徴は一対多の正対ドリブルでの組み立てです。スラロームと正対を上手に組み合わせてドリブルできます。
これはシャビも得意なやつです。スラロームから正対に侵入した後、2ステップで逆方向に切り返すことが出来るかどうかが鍵になります。
5 組み立てからのクサビ
ラームは姿勢に特徴があります。猫背ですね。猫背がいいってことではなくて、常に同じ姿勢でプレーできることが、予測不可能なプレーを生む大切な要因になります。ラームはキックとドリブルの境目が極めて小さく、そのためドリブルするのかキックするのか見て判断することがとてもむずかしい選手です。なぜそうなったか妄想するに、彼は無駄なテクニックの反復練習をしてないのではないでしょうか?それ故実践の中でどういう動作が相手をだますために有効なのか、観察と経験を重ねて今のスタイルがあるのではないでしょうか?でなければ才能という他ありません。実際、プレー姿勢で優位に立つというだけで才能ですがね。
ちなみにスラローム系のテクニックの反復練習とかクーバードリル系とかをとことんやると、フェイクの時に体に変な癖が染み付いてしまい、それが仇となって敵に次のプレーのヒントを与えてしまいます。手を無駄に振り上げたり、体が傾いたりとか。実践の中で直前でプレーを変更する経験値を積めれば、これらの癖がつきにくくなります。
6 三人称スペースの発見
これはキャプチャーでやります。ビルドアップで後方からパスを受けたラーム。縦ドリブルから真横パスは、ビルドアップの基本的セオリーです。
この時、ボランチが横に一列に並びました。ラームが選んだのは中間の選手を囮にして奥の選手へ出すパス、スキップパスでした。黄色が囮、赤丸がターゲットです。
結果は見ての通り、パスの受け手に時間を与えることに成功しました。
次は縦パスの時
これも選手が一直線に並んでいます。中間の選手が裏へ抜け出します。
白の点線のパスを囮にして奥の選手へボールを届けました。
このようにラームという選手は、次に生まれるスペースを見つけるのが非常に上手いです。特にスキップパスを利用した組み立てと、同時に表裏のインサイドキックを用いたフェイクパスの技術に優れています。
7 小回りの利くターン
これはマタドールターンというのを見て下さい。あとは蹴球計画さんの浮きについての記事群。蹴球計画ー「浮きと回復」ラームはマタドールで旋回するとき細かく浮きを入れながら急旋回します。相手はついてこれません。よくやるんで見てみてくださいね。8 パスアンドサポート
ラームは自分が縦パスと横パスのハブになって組み立てることも上手です。遠藤保仁がやっていることと同じことです。遠藤レベルの選手がサイドバックにしかなれない、そんな競争力の高さを感じますね。ドイツには。こういう選手がいると戦略的に幅がでるんで監督としては楽なんですよね。やはり基本は2タッチ以下でプレーすることです。それがなければキックフェイントもドリブルも活きてきません。2タッチプレーの精度向上、これがサッカー上達に直結します。覚えておきましょう。
オーバーラップをダシにしてジャゴナウって動きも見られます。参考にしましょう。
いかがでしたか。2重にも3重にも張り巡らされた罠。一つの挙動から幾つもの選択肢を持てる広がり。派手なトリックは使わないけど、スペースの認知度が高く、個人で組織にヒビを入れられる戦術眼の高さ。これらがラームの特徴であり、最大の武器であり、また長年トップレベルを維持できている理由です。本当に日本人のサイドバックには参考にしてほしい選手です。
ラームと同じくらい上手い選手は実際、星の数ほどいると思います。それこそアマチュアレベルでもいるでしょう。しかし、ラームと同じだけ走れて、責任感がある選手は他にいないでしょう。それこそ彼がトップレベルに到達した理由です。走れて、その中で特筆すべきテクニックがある、これがプロの条件じゃないでしょうか。
何が言いたいかというと、ラームの上手さを真似することはアマチュアでも出来るんです。より上手くなったほうがサッカーは面白いしやる気もでます。みなさんの、サッカーへのモチベーションが少しでも上がったのならば、この記事は成功です。ではこのへんでお別れです。
毎回、楽しく見ています^^
返信削除今回はラーム選手みたいな選手がサイドバック、チームの
幅を広げてくれる、そのようなことが分かりました^^
質問なんですが、
マタドールターンのことや正対など
取り上げてくれてくれることやろうと思うですが、
やっぱり一つとかに絞ってやった方がいいのでしょうか??
基本は一つづつですが、時間があって環境があれば3つづつくらいできます。ワンクールは三ヶ月を目安にしてそれを過ぎてもできなければ次のに移行し、数カ月後再チャレンジしてください。
削除アマチュアでサイドバックやってるものです。
返信削除ラームの記事凄く楽しみにしてました!アウベスの記事もいつか読みたいです!ブラジルはマイコン、マルセロ、フェリペルイスとなんでこうボールを持つとワクワクしてくるサイドバックが多いのでしょうか。羨ましい。
タッチラインの10m内側で受けるというのはウィングを活かす上でとても大切なポイントだと思います。ラームのような巧い選手は破壊力のあるウィングの下でより効果的ですよね。
今回質問したいのは利き足の事なんですけど、自分は右利きで左サイドバックをやっていて、どうしても左足でボールを扱えないとプレーの幅が狭くなってきて苦労してます。コンフェデ杯の長友とかずっと右足でボールを触っててプレーに選択肢が少なくて怖さがない印象だったんですけどsilkyさんは代表の長友についてどう思いますか?
お褒めいただきどうも有難うとざいます。アウベスはポイントを絞れないほど上手いところがいっぱいあるので今すぐには無理かもです。逆足サイドのSBについてですが、これはやはりドイツ代表でのラームを参考にするといいと思います。右足で持つからといって論理的に選択肢が少なくなるようなことはありません。むしろカットインをしやすくなり中盤の構成に厚みを持たせることができます。縦に早いチームには馴染まないかもしれませんけどね。
削除基本は左足のインサイドでファーストタッチしてオモテウラで騙しながらですね。裏にとめてサイドステップで正対を維持しながらタッチラインに近づき、ライン際でマシューズで切り返すのがラームパターンと言えそうです。
長友について、コンフェデ杯は完全にコンディション不良で参考になりません。が、正対、2ステップと概ね現代サッカーのセオリーを踏襲してます。なので僕は安心してみています。明日のグアテマラ戦、今調子良さそうなので見てみたいと思います。
丁寧にお返事有り難うございます。
削除アウベスのポイントを絞れない感じはとても良くわかります。巧すぎて真似できないという意味で参考になりません。メッシとのワンタッチでの連続パス交換とか圧巻ですよね。
ドイツ代表のラームとかももう少しチェックしてみます。個人的には右サイドのラームが表で飛ばしパスや楔を入れたり裏でウィングの足元にビシっとゴロで当ててて好きです。
長友はコンディションが戻ってきたみたいで楽しみですね。日本は内田とかボールの持ち方すごく巧いと思うんですけど、両サイドともウィングが香川と岡崎ドリブラーではないのでサイドバックに求められる役割ももちろんラームとかと違ってくると思うのであれなんですけど。
ラームパターンはアウベスの超絶テクと比べると練習して身に付けれそうですね。
低い位置でのビルドアップの話なんですけど、利き足サイドでないとできないのが「対面と正対した時に体を前に向けたまま外側の足でつついてから巻いてCFまたはWGの裏ポンの選択肢を持ちながらインサイド表でボランチにあてること」です。
現状では左サイドで右足で持ちだすと「裏のインサイドでボランチを見つつ表でFWなりトップ下の楔を狙う」という感じです。ちょうどシャビアロンソが楔入れるときの体勢みたいになります。自分の印象では相手が強くなればなるほどこれが通用しなくなります。相手のスライドが簡単になってスペースやギャップが空きにくい感じです。
自分は大学生のサークルレベルでサッカーやってます。もうすぐ引退なのですが、2年間ほどこのブログにお世話になってました。またサイドバックの記事楽しみにしてます!
初めまして。いつも参考にさせて頂いております、プレーについて、質問させて頂きたく、silkyskills4bfATgmail.comにメールさせて頂きましたが、送信できませんでした。プロフィール記載のアドレスは間違いないでしょうか?
返信削除AT を @ に変えましたか?他に間違いはありません。
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